ツアー14年目の初優勝で涙がなかった理由は
最終18番ホールで短いウィニングパットを決めたイ・サンヒは「安心と電気が走るようなピリピリ感がありました」とその瞬間を説明しました。
ただ、これまでに2位が8回。日本ツアー参戦13年目、34歳での初優勝は涙を流す余裕もなく「日本語でスピーチしなければならないから、どうしようという心配が先に立って」と思ったのだそうです。
ポイントランキング7位に浮上も、実は影の王者!?
この優勝でポイントランキングは7位に浮上。
韓国ツアーと掛け持ちをしていることもあって今シーズンの出場試合数は6にとどまっています。
単純計算になりますが、ポイントランキングトップの細野勇策と同じ11試合に出たとすると、獲得ポイントは1600を超えて細野を抜くことになります。
平均パット数1位の実力通りの圧巻のフィニッシュ!
この机上の計算、だけでなくこの日のゴルフはツアーで平均パット数1位に君臨するパット巧者らしいものでした。
芥屋GCはツアーで唯一の高麗グリーンということでタッチなどを合わせるのも楽ではないはずです。
そのグリーンでこの日のサンヒは13番以降の上がり6ホールが全てワンパットでした。
優勝者が最終日の上がりをこれだけ続けてワンパットでフィニッシュしたのは、2009年の池田勇太の上がり8連続以来のことです。
池田はこのときが芥屋GCで初優勝でした。この後、2015、2017年と芥屋GCで計3勝をマークします。
芥屋で3勝しているのは故尾崎将司さんと並ぶ歴代最多の勝利数なので、“芥屋の王者”に匹敵するフィニッシュをしたということになります。
2022年は最終日を単独首位スタートから河本力に逆転負け
2022年は単独トップで最終日をスタートしながら河本力に逆転負けという経験をしています。
その内容は18番パー5でバーディートライが入らず2パットのパー。
バーディーパットを確実に決めた河本に苦杯をなめるというものでした。
その雪辱を6連続ワンパットでのフィニッシュという形で見事に果たしました。
「今後は日本ツアー中心に」の方針となった理由は?
日韓の両ツアーを掛け持ちしているサンヒはこの日の優勝会見で今シーズンの今後は日本ツアーに重点を置く方針を示しました。
その理由は10月に横浜CC(神奈川)で開催されるPGAツアー「ベイカレントCレクサス」に出場するためです。
同大会には日本ツアーで9月28日時点(「リシャール・ミル チャリティー」まで)での有資格者を除くポイントランキング上位6人に出場資格が与えられます。
ランキング7位となったことでPGAツアー出場のチャンスが目前となったことで「後半は日本ツアーを重点的にやっていこうかと思っています」と話しました。
出場6試合で優勝と2位が1回ずつ。
さらに平均パット数にバーディー率も1位。パーオン率は2位というスタッツは今後もかなりの高確率で優勝争いに絡んでくることを予想させます。
初優勝という“殻”を破ったことに加えて「今度はもっとカッコいい日本語での優勝スピーチをしたいと思いました」というモチベーションも、他の選手には脅威になりそうです。
(文/森伊知郎)












