ディアマナは「ゴルファーの機嫌をとってくれる」シャフト
三菱ケミカルのシャフト、「ディアマナ」は「プロが使う和製シャフト」の走り的存在。タイガー・ウッズをはじめ米ツアーで活躍する選手が使ったことでアマチュアゴルファーの憧れの的になり一気に広まりました。後発の「テンセイ」もPGAツアーでタイガーやローリー・マキロイが使い、満を持して国内デビューをしたアスリートブランド。ともに「使いこなせているアマチュアはちょっとレベルが違う」という立ち位置で私は見ています。
まずディアマナですが、私は「ゴルファーの機嫌をとってくれるシャフト」と表現しています。ある程度キャリアを積んでうまくなった人が、振っていて気持ちいいと感じられるシャフトです。気持ちよさの正体はしなり。表現が難しいですが、ナチュラルでクセがない。「赤マナ」、「青マナ」、「白マナ」、どれをとっても尖がりすぎておらず、かといってソフトスペックでもない。頑張って振ったらご褒美がもらえる、みたいな感じでご機嫌をとってくれます。
そのため一度「ディアマナ」にハマると手放せなくなる人が多い。初代が発売されてから20年以上ロングセラーとして君臨しているのはその証です。「ディアマナ」を選ぶようなレベルのゴルファーにとっては振り心地の良さが命。いくら飛んでも振り心地が悪いシャフトは選びません。振り心地が良ければ飛んでいる気になる、という面もありますが、いずれにせよ振り心地がゴルファーのハートを掴んでいるモデル。その前提で、「赤マナ」は先が走ってつかまりやすく、「青マナ」は万能型、「白マナ」は叩きにいけるといった個性もずっと受け継がれています。
「テンセイ」は欲しているものをドンピシャでカバーしてくれるシャフト
「ディアマナ」に比べると「テンセイ」はハードなモデルですが、ただハードなだけでなくピンポイントでターゲットが決まっています。極端に言うと「こういう人にはこれ」というように適正が明々白々なシャフト。求めるものがハッキリしているユーザーが適したもの使うと、そこをドンピシャでカバーしてくれます。最新モデルの「TENSEI Pro 1K」には5種類のラインナップがありますが、例えばコアモデルのブラックは左へのミスが減り、ホワイトはスピン量を減らして方向性を安定させる、といったように、5つそれぞれが際立った得意技をもっています。
その意味ではゴルファーに自信をつけてくれるシャフトと言えます。「これを持ったらミスしない」とか「これで打ってミスになったら自分が悪い」という気持ちになれる、腹をくくれるシャフトです。そのぶん安易に手を出すのは危険で、カッコいいからと合っていないタイプを選ぶと地獄に堕ちます。例えば、競技に出ていて「こういう時にこういうミスが出る」、「こういう時にうまくいかない」など明確な傾向がわかっている人でないと威力を発揮できません。
この傾向からすると、「ディアマナ」から「テンセイ」へ、というのは大変いい流れです。「ディアマナ」で自分の傾向をつかみ、「テンセイ」で次のステージにステップアップする。メーカーもこのイメージで2つのモデルを送り出しているのでしょう。「ディアマナ」は選択肢がそれほど多くありませんが、「テンセイ」になると増えるところもそんな方向性を示唆しています。
お話したように、「テンセイ」は一般アマチュアが気軽に導入できるシロモノではありませんから、「普通」のアマチュアの方が使うなら「ディアマナ」一択になります。とはいえ冒頭で記したように、「ディアマナ」とてやさしさ一辺倒のシャフトではありません。そこでクローズアップされるのが、「ディアマナ」、「テンセイ」に比べてまだ認知度が低い「ヴァンキッシュ」(VANQUISH)というモデルですが、これについては「ディアマナ」と秤にかける形で次回紹介します。

吉本巧
よしもと・たくみ ゴルフ修行のため14歳から単身渡米。南フロリダ大在学中は全米を転戦するなど11年間にわたって選手とコーチを経験したのち、日米の20年の経験から吉本理論を構築。プロやアマチュアのスイングコーチをはじめ、フィジカルトレーナー、プロツアーキャディー、メンタルコーチング、クラブフィッティングアドバイザーなども務める。現在は東京・中央区日本橋浜町の「吉本巧ゴルフアカデミー」で指導中。「吉本巧のYouTubeゴルフ大学」も人気。











