鮮やかなスピンコントロールでバーディーを重ねる

2位以下に2打差をつけて最終日をスタートした桑木は、安定したウェッジショットを披露しました。

最初のバーディーだった2番では122ヤードをPWで手前3.6メートルにつけて。8番は52度のウェッジで5.3メートル。11番と13番はいずれも48度のウェッジで1メートルと5ヤードにつけてバーディーを奪います。

いずれもウェッジのスピンコントロールが秀逸でした。

2番は手前のピンに対してきっちり手前に止めます。早い時間にはやや強めの雨が降ったこともあってグリーンはウェットなコンディションでした。

それでも桑木のウェッジショットはスリークォーターぎみでしっかりスピンをコントロールして戻りすぎず。104ヤードから48度で1メートルにつけた13番もバックスピンで戻ったのはほんのわずかで、ほぼボールの着弾地点に止めていました。

バックスピンを効かせて戻すのはアマチュアの憧れで一見カッコいいですが、どれだけ戻るかわからないリスクもあります。

桑木は来シーズンからアメリカLPGAツアーを主戦場にしますが、アメリカのグリーンは日本のコース以上に「このエリアに止めないとバーディーは取れない」というのがはっきりしていますから、適切なスピンコントロールでしっかりボールを止めるショットは必須。

ベタピンに着弾したボールがバックスピンで戻りすぎて“ピンとは違うエリア”に行ってしまうと、ナイスショットが一転してスリーパットをしないのに必死、となってしまいかねません。

このスピンコントロールの正確性は来シーズンを見据えた上で大きな収穫だといえるでしょう。

1年がかりのスリークォーターの練習が実を結ぶ

フェードが持ち球の桑木は、元々スピン量が多めでした。

それを昨年の夏ごろからスリークォーターで打つ練習を増やしたことでアイアンも含めてショットの精度が上がりました。

昨シーズンの桑木といえば、「全米女子プロ」ではカットラインに1打届かず、「帰りの車でギャン泣きした」ほどの悔しさを味わっています。さらに「AIG全英女子オープン」では初日4位から2日目に81を打って予選落ちした経験からショットの精度を徹底的に高める必要性に駆られ、取り組んできた成果だといえます。

足りなかった「勝利への気持ち」を取り戻した!

「日本女子オープン」では申ジエにプレーオフで負ける経験もしました。

この翌週に日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の小林浩美会長と話した際に「(プレーオフの敗戦は)何が足りなかったと思う?」と聞かれたそうです。

「勝つという気持ちでしょうか」答えたところ、小林会長は「申ジエさんの方が『勝ちたい』という気持ちが出ていて、プレーにも表れていた」との言葉ももらいました。

「自分でも感じていた」(桑木)ことを客観的に指摘されたことで逆に吹っ切ることができ、今週は3日目を終えた時点で「気持ちで負けないように」と話し、優勝会見でも「今回は絶対に気持ちで負けないぞ、と思ってやりました」との心意気だったことを明かしました。

新ドライバーにスイッチして5戦で2勝目!!

「住友生命レディス東海クラシック」からはドライバーを契約するブリヂストンの「B-Limited BX TOUR MAX」にスイッチしましたが、ここから5戦で早くも2勝目です。

新ドライバーについて桑木は「曲がらないから、いいドライバーと巡り合えたという感じはあります」と絶賛しています。

この言葉通り、4日間でフェアウェイを外したのがわずか4回は全選手でトップでした。

3日目はフェアウェーキープ率100%で最終日も外したのは1回だけ。

一番強い選手が最も正確なショットを打つのですから、勝利は必然だったといえます。

シーズンの残り試合へ向けては「優勝争いに絡む回数を増やして、どんどん自信をつけていきたい」と話す桑木が、この先どのようなプレーを見せてくれるのでしょう?

(文/森伊知郎)