“しなり戻り”でインパクトできるように軟らかいシャフトに替える

昨年のJLPGAツアー「住友生命Vitalityレディス東海クラシック」の開催期間中に行われたJLPGA公認「朝日インテック ドライビング女王コンテスト」で、後藤あいさんが史上初めてアマチュア優勝を果たしました。彼女のヘッドスピードは46~47m/s、飛距離は270ヤード前後ですが、使用シャフトはレディス用でRより軟らかいAシャフトです。また、田中秀道プロもシャフトをSに変えて復活しています。後藤さんのヘッドスピードや飛距離にしろ、田中プロの活躍にしろ、シャフトが大きな役割を果たしているのは明白です。

ということで、まず見直してほしいのはシャフトです。シニアゴルファーはこれまでの流れのままSを中心とした硬いシャフトやカスタムシャフトを使っている人が多いと思いますが、それを純正のSやRなど軟らかいシャフトに換えるのです。理由はシャフトのしなり戻りを使って打ちたいからです。

ゴルフクラブのシャフトはトップから切り返しでヘッドが置き去りになるような格好でグニャッとしなります。ダウンスイングでもそのしなりが維持され、ハーフウェーダウンからインパクトに向かってリリースされると真っすぐになります。でもそれはほんの一刹那。即座にヘッドがボールの方に向かうため、シャフトは切り返した時とは逆方向にしなります。これがしなり戻りで、プロは例外なくシャフトのしなり戻りタイミングでインパクトを迎えています。クラブを効率よく使うということは、しなり戻りを使って打つこと、と言ってもいいくらいなのです。

ダウンスイングではヘッドが遅れる格好でシャフトがしなり、リリースされるとヘッドが先行する形でシャフトがしなり戻る。このタイミングでインパクトすることが「シャフトのしなりを使って打つ」ということだ。

硬いシャフトは一生懸命振らないとしなりませんし、そうしたとろで期待するほどしなってくれません。おまけに一生懸命振るほど疲れてクラブの動きが不安定になる。そうなればスイングの再現性もへったくれもありません。基本的にシニアゴルファーは体を使いすぎています。軽やかにスイングしてクラブヘッドを走らせたいのですが頑張って振ってしまっている。大抵はシャフトが硬いためにそうなっていて、それがクラブを効率よく使えない原因なのです。軽くて硬い、いわゆる“軽硬シャフト”を使っている人もいると思いますが、軽量で振りやすくても硬いとしなりませんからおすすめできません。その点、軟らかいシャフトは簡単にしなってくれますし、しなればしなり戻りが使えます。

硬いシャフトを使って一生懸命振るほど力が入り本来は必要ない動作が入ってくる。手が前に出たり、手先でボールをつかまえようとする動きはその典型。

一方で、シャフトが軟らかいと曲がるという意見もあります。硬い方が曲がりにくいというわけですが、それはあくまで既成概念で、無駄な力を使って振るから曲がるのです。クラブがきれいに動けば、断然軟らかいシャフトの方が飛びます。逆に言えば、軟らかいシャフトを使うとクラブを正しく振れるようになるということでもある。クラブに求める動きは基本的にはみんな一緒で、それを自分の力をなるべく使わない省エネでやる。その第一歩が軟らかいシャフトを使うことなのです。

軟らかいシャフトなら力を使わなくてもスムーズに動く。これがクラブが効率よく動くということ。

解説:中村 修
(なかむら おさむ)

1968年3月26日生まれ。千葉県出身。26歳でゴルフを始め、2005年にPGA入会。PGAティーチングプロB級会員。コーチとして桑木志帆の指導に携わっていた経験もあるが、執筆もこなす。ゴルフクラブに対する造詣も深い。