我々の世代や少し上の世代では、生まれつき左利きであっても、箸や文字は右で使うように育てられた方が少なくありません。特に習字などは右の方が都合が良く、小さいうちに親御さんが右に矯正するケースが多かった時代です。

そのため、一見すると右利きのように見え、左利きだと気づかないこともあります。ですが、何気ない所作の中で「あれ、左利きかな?」と感じることがあり、実際に伺うと「本来は左利きだが、右を使うようにしている」という方も多く見受けられます。

ゴルフにおいては、特にこの傾向が強いように感じます。

理由の一つは、「クラブは右用の方が揃えやすい」というイメージがあるからでしょう。また、一流プロの中にも、左利きでありながら右打ちで成功している選手がいることも影響しているかもしれません。さらに、右利きであっても左側の使い方を意識するプレーヤーも多くいます。

例えば、トム・ワトソンは、ティアップやボールマークの際に意図的に左手を使うことで知られています。

右打ちのゴルファーに多いミスとして、左手がうまく使えないことや、右手の使い過ぎがあります。そのため、「左手がもっと使えたら」という発想のレッスンも存在します。

こうした背景から、「左利きの方が右で始めるメリット」も確かに理解できます。しかし私は、やはり利き手というのは非常に重要で、本来の利き手でプレーした方が、上達のスピードや将来的な伸びしろにおいて有利になる可能性があると考えています。

利き手は器用であり、力も入りやすいものです。ゴルフクラブという特殊な道具を扱ううえでは、その特性が活きる場面は多いはずです。

それにもかかわらず、「左利きの人は器用だから右でも打てるでしょう」というイメージが先行し、「右の方がいいよ」と善意でアドバイスされるケースが少なくありません。

ここで一度、逆の立場で考えてみてください。
右利きの人が、「あなたは器用だから左で始めた方がいいですよ」と言われたら、どう感じるでしょうか。

例えば野球では、右投げ左打ちが有利とされ、多くの成功例があります。しかし、だからといって全員がうまくいくわけではありません。やはり右利きの人は右で打つ方が結果が出やすい、というケースの方が多いのではないでしょうか。

近年は左用クラブのラインナップも充実してきており、「左だから選択肢が少ない」という状況でもなくなっています。

そうした意味でも、左利きの方に対して無理に右打ちを勧めるのではなく、まずは左で始めてみることを検討する価値は十分にあると考えています。

クラブ選びの基本は、左右に関わらず同じです。自分に合った重さ・長さ・シャフトを選ぶことが重要です。

ただしその前に、「左でいくのか右でいくのか」をしっかり決めてスタートすることが大切です。安易に左打ちを避けるのではなく、まずは利き手を優先するという考え方を持っていただければと思います。

ご参考になれば幸いです。

ダグ・三瓶(だぐ・みかめ) ブリヂストンスポーツ、アクシネット ジャパン インクと日米2つの大手メーカーに所属。その中でクラブ開発、ツアー担当、マーケティング、フィッティングなどを担当。ツアーレップ時代にはあのボブ・ボーケイ氏に日本で唯一の弟子と認められていた。現在、フリーとなり迷い多きアマチュアゴルファーにアドバイスを送ってくれることとなった。