フィッティングというと、多くの方は、「自分に合うクラブを探すもの」と思われているかもしれません。もちろん、それも間違いではありません。

しかし、長年フィッティングをやってきて、今強く感じていることがあります。

それは、「フィッティングは、正解探しだけではない」ということです。

むしろ私は、“間違い探し”の要素が非常に大きいと考えています。

右に行く。左に行く。ドライバーだけ当たらない。FWだけ苦手。ウェッジだけざっくりが増える。パターが入らない。後半になると崩れる。調子の波が大きい。こういった悩みを持って来られる方は、非常に多くいらっしゃいます。

そして多くの方が、

「もっと飛ぶもの」

「もっとやさしいもの」

「もっと自分に合うもの」

を探し始めます。

しかし、本当に見るべきところは、そこではないことが少なくありません。

何が、タイミングを崩しているのか?何が、クラブ全体の流れを壊しているのか?

何が、ゴルフそのものを難しくしているのか?そこを探していくことが、フィッティングの大切な役割だと考えています。

そして厄介なのは、問題が起きているクラブと、原因があるクラブは違うことが往々にしてあるということです。

ドライバーが右に行く。だからシャフトや重さを疑う。

FWが当たらない。だからスイングを疑う。

もちろん、それが原因のこともあります。しかし実際には、そこだけではないことがほとんどです。

ドライバーが悪いと思っていた。でも実際は、アイアンとの流れが崩れていた。

ウェッジのざっくりが増えたのは、ウェッジのせいだと思っていた。でも原因は、ドライバーの変更だった。

後半になると崩れるのは、体力だと思っていた。でも実際には、タイミングの合わないシャフトを一生懸命打っているうちに疲れているだけだった。

こういうことは、本当にたくさんあります。

必ず14本入れなくてもいい!

ゴルフのルールは、「14本まで入れていい」であって、

「14本入れなければいけない」ではありません。

もちろん、本数が多い方が有利です。ただし、きちんと全てが機能していれば、という前提があります。ここを誤解されている方は、意外と多いように感じます。

苦手な1本を無理に残したり、当たらない1本を頑張ったりした結果、クラブ全体の流れが崩れてしまう。

たった1本でも、そのクラブから他のクラブまでタイミングが崩れてしまい、ゴルフそのものが難しくなってしまうことがあります。

フィッティングは、足し算だけではありません。その多くは、引き算です。

当たらないものを抜く。無理に頑張らなくてはならない状況を減らす。

クラブ全体の流れを整える。タイミングを整える。

そうやって、どのクラブを持ってもストレスなくショットに臨める状態に戻していく。

私は、ゴルフをシンプルにするために必要なことは、それだと考えています。

クラブを替えるには理由が必要

これは、クラブを替える時も同じです。クラブを替えること自体は悪いことではありません。

しかし、替えるには理由や目的が必要です。

もちろん、ここでは“正解探し”も必要になります。打ちやすいクラブにしたい。高さを出したい。クラブ全体の流れを整えたい。

そういった目的です。

あるいは、調子の悪いクラブを替える。違和感のあるクラブを替える。そういったことも明確な理由の一つです。

一方で、

「誰かが良いと言っていた」「新しいモデルが出た」

そんな理由で替えてしまう方も少なくありません。もちろん、それ自体が悪いわけではありません。

そして、クラブを替えた直後は、良く感じることが多いのですが、、、時間が経つにつれて、以前より調子を崩してしまう。

そうなってしまうことは決して珍しくありません。

そして実は、調子が良いのに、欲張って替えてしまうことで、崩れていくケースも少なくありません。

今のクラブで十分結果が出ている。タイミングも合っている。流れも悪くない。

それなのに、

「もっと飛ぶかもしれない」

「もっとやさしいかもしれない」

「もっと良くなるかもしれない」

そう考えて替えてしまう。

すると、構え方が変わったり、タイミングが変わったりして、他のクラブとの流れが変わってしまうことがあります。

結果として、それまで自然にできていたことに無意識の調整が入り始め、打てたクラブも打てなくなったりします。

クラブを替えると、変わるのはその1本だけではありません。ゴルフ全体が変わる可能性があります。

だからこそ、「替えない」という判断には大きな意味があります。

問題があるものは替える必要があります。しかし逆に言えば、問題がないものまで替える必要はありません。

違和感なく振れている。自然に構えられる。無理なくタイミングが取れる。

そういうクラブは、簡単に動かさない方が良いことも多いのです。

だから時には替える。時には抜く。

そして時には、何も替えない、という決断も必要です。

抜かなくても良いのか。替えなくても良いのか。

調整や調律だけで済むのか。本当に変えなくてはならないものは何なのか。

その判断材料を探し、提示することも、フィッターの大切な役割だと思っています。

フィッティングとは、正解を探すだけではありません。最高の一本を探すだけでもありません。

ゴルフを難しくしている原因は何か。

どこに間違いがあるのか。

そこを見つけ出し、取り除いていくこと。 私は、それここそがフィッティングの本質だと考えています。

ダグ・三瓶(だぐ・みかめ) ブリヂストンスポーツ、アクシネット ジャパン インクと日米2つの大手メーカーに所属。その中でクラブ開発、ツアー担当、マーケティング、フィッティングなどを担当。ツアーレップ時代にはあのボブ・ボーケイ氏に日本で唯一の弟子と認められていた。現在、フリーとなり迷い多きアマチュアゴルファーにアドバイスを送ってくれることとなった。