ドライバーはやさしいクラブ
ドライバーがやさしい理由①
「ドライバーが一番苦手です。」
「ドライバーさえ良くなれば。」
「ドライバーが良かったことが一度もありません。」
フィッティングで、本当によく聞く言葉です。
しかし、当方は少し違う考えを持っています。多くを望まなければ、ドライバーは14本の中で一番簡単なクラブだと考えています。
まず、ドライバーは他のクラブに比べて圧倒的に使用する際の条件が良いクラブです。ドライバーを打つティーイングエリアは平らですし、しかも、範囲内で自分で打つ場所を選ぶことができます。
そして、ボールをティーアップできます。つまり、ライの影響はないと言っても良いでしょう。
さらに、ドライバーは14本の中で最も長いクラブです。長いというとヘッドスピードが速くなる効果だけで考えがちですが、「スイングの時間が長くなる」というメリットもあります。
スイング時間が長いということは、スイング中に修正が可能な時間も長いということです。
パターやウェッジショットと比べると、その違いはよく分かります。
パターやウェッジなどは、反射でしか対応できませんが、その時間も限られていますから、バックスイングしたら、もう、そのまま打つしかない時が多いでしょう。
ドライバーは、あれ?と思ってからも修正をかけられます。もちろん、それが必ずしも良い結果に結びつくとは限りませんが、そういうことができるのがドライバーショットと考えていただけると嬉しいです。
ドライバーがやさしい理由②
そして、ドライバーはショットの種類もそれほど多くありません。
もちろん、上級者は低い球やフェード、ドローを打ち分けたり、距離を打ち分けたりします。
しかし、アベレージ90前後、もしくはそれ以上でプレーされる多くのアマチュアゴルファーに必要なのは、そこではありません。
距離も、何十ヤードも打ち分けるというより、ある程度決まった距離を目指して打って行くことでしょう。
つまりは、普通に振って、フェアウェイ付近まで運ぶこと。
極端に言えば、「ぽーん」と打っておけば良いクラブなのです。
なぜ難しく感じるのか
では、なぜドライバーは難しいと感じるのでしょうか?
それは、皆さんがドライバーに求めることが多すぎるからです。
普通に打てば飛ぶのに、さらにもっと飛ばしたい。
限りなくまっすぐ打ちたい。
もしくは曲げたくない。
そして、できれば人より飛ばしたい。1ヤードでも前へ飛ばしたい。
その上で、完璧なショットを毎回打ちたい。
そう考えれば考えるほど、ドライバーは難しいクラブになってしまいます。
つまり、ドライバーが難しいのではなく、私たち自身がドライバーに多くの役割を求めることで、自ら難しいクラブにしてしまっているのです。
シンプルに考えるとドライバーはやさしくなる
当方がドライバーに求めることは、たった一つです。
「普通に振って、その人の14本の中で一番飛び、次のショットが打てる場所まで運ぶこと」
極端に言えば、それがティーショットで使うクラブの役割です。
そのため、フィッティングでもドライバーを最初に調整することは、ほとんどありません。ドライバーが苦手だから来られた方でも、まず見直していただくのは、
パター→ウェッジ→アイアン、です。
やはり、パターはスコアに直結するクラブです。そして、ショートゲームの要のウェッジはラウンドで必ず使うクラブでしょう。アイアンは1本では機能しません。
番手ごとの距離差を整える必要があり、そのためには、長さ、ライ角、振り重さが、すべてがつながって初めて、本来の性能を発揮します。
すなわち、クラブセッティングの要ですから、最初に整えるべきクラブなのです。
一方で、FWやUTは目的が比較的はっきりしています。
どの距離を打ちたいのか。どんな場面で使いたいのか。
その目的に合わせれば、比較的選びやすいクラブです。
なので、これも最後でも良いクラブです。
こうしてパター、ウェッジ、アイアンを整えたあと、最後にドライバーを合わせます。
ティーショットでスコアを崩している方ほど、まずはティーショットのプレッシャーから解放してあげることが大切です。
プレッシャーと呼びましたが、ドライバーに対する期待度を下げると言った方が良いかもしれません。
ドライバーが限られた役割と理解してもらえれば、苦手意識が減るのでは?と考えています。
例えば、セカンドショットが打てる場所まで運ぶこと。
だけにしてみてはいかがでしょうか?
すると、ティーショットのプレッシャーは驚くほど小さくなります。
ドライバーへの期待度を下げると…
例えば、ドライバー以外のクラブが次のような調子になっていたらどうでしょう。
- セカンドショットが届かなくても、3打目が近い距離であれば、確実にグリーンに乗せられる。
- 例:ウェッジで、サードショットを50ヤード以内から打てるところまで運べれば、グリーンを狙える。
- パターは5m以内であれば、2パットで上がる自信がある。
このようなクラブセッティングができていれば、たとえティーショットが思ったようなショットではなくても、ボギーオンしてボギーで上がることは決して難しくありません。
そう考えると、ティーショットで多少曲がっても慌てなくなります。
つまり、ティーショットの重要性そのものを下げることができるのです。
その結果、
「セカンドショットが届くところまで飛ばさなければ!」や「絶対にフェアウェイに置かなければ!」というプレッシャーから解放されます。
すると、これはなかなか信じてもらえないのですが、ドライバーを楽に振るようになった結果、以前より飛ぶようになる方も少なくありません。
これは、無理にクラブを操作しようとしなくなることで、本来のスイングがしやすくなるからだと考えています。飛ばそうとして力むよりも、自然に振った方がタイミングが合い、当たりが良くなって、結果として飛距離が伸びることもあるのです。
ドライバーは、一番飛ぶクラブです。その魅力があるクラブでもあるでしょう。
しかし、なかなかスコアアップに直結するクラブではありません。
普通に振って、一番飛ぶ。そして、次のショットが打てる場所まで運ぶ。
それだけで十分です。
だからこそ、多くを望まなければ、ドライバーは14本の中で最もシンプルで、最も簡単なクラブなのだと考えています。
そう考えられるようになると、ドライバー選びにも余裕が生まれます。
「新しいモデルを使ってみたい。」
そんな楽しみ方もできるでしょう。
もちろん、シャフトや長さ、重さ、振り重さなど、14本のつながりは大切です。
飛ばす能力、球を上げる能力は、皆さんもクラブもすでに持っています。
それ以上のことを求めるのではなく、その能力を普通に発揮できるクラブを選ぶことが、本当のクラブ選びだと考えています。

ダグ・三瓶(だぐ・みかめ) ブリヂストンスポーツ、アクシネット ジャパン インクと日米2つの大手メーカーに所属。その中でクラブ開発、ツアー担当、マーケティング、フィッティングなどを担当。ツアーレップ時代にはあのボブ・ボーケイ氏に日本で唯一の弟子と認められていた。現在、フリーとなり迷い多きアマチュアゴルファーにアドバイスを送ってくれることとなった。











