3打差を追いかける最終日の2番ホールでアクシデント

岩田は3打差の3位から最終日をスタート。

全体で2番目にやさしく、逆転には少なくともバーディーを奪いたい2番パー5でアクシデントに見舞われました。

ティショットを左に曲げると、一度でフェアウェイに戻せず。

この9Iでの2打目の際にシャフトが曲がってしまいました。

ただし、パっと見は気づかないほどの曲がり方だったため、その後も使用を続けます。

さすがに2回目(曲がった後。通算では3回目)の際には気がつき、「いつもより飛ぶ気がする」と思いながらプレーしていたそうです。

曲がってしまった岩田の9番アイアン。(撮影/森伊知郎)

損傷したクラブを交換できるケースとできないケース

ここまで読んで、「曲がった(損傷した)クラブをそのまま使っていいのか?と思った人もい

るかもしれません。

ツアーでは稀に、ミスパットに激高してパターを叩きつけたらシャフトが曲がってしまい、その後はフェアウェイウッドやユーティリティ。あるいはウェッジで代用する選手がいます。

ゴルフ規則では、ラウンド中にシャフトが曲がるなどクラブが「損傷した」ケースでは

①その損傷したクラブで引き続きストロークを行うこと

②そのクラブを修理するか、取り替えること

が可能となっています。

岩田のケースは①に該当するため、使用に問題はなかったということです。

怒りで叩きつけ、曲がってしまったクラブでもプレー続行可能

①については以前は、クラブを叩きつけるなど通常のプレー以外が理由の場合はその後は使うことはできませんでした。

それがルール改正により、現在ではそのまま使い続けることが可能になっています。

②については「クラブを乱暴に扱った場合」は認められません。

ですので、怒って叩きつけたりして曲がったクラブを使い続けることはできますが、修理や交換をすることはできません。

ちなみに修理や交換ができるケースとしては通常のストロークだけでなく「素振り」や「バッグからクラブを出し入れする時」「クラブを落とした時」に加えて「クラブに寄りかかる」行為も含まれています。

クラブに寄りかかって折れてしまっても、「乱暴な扱い」ではない!?

クラブに寄りかかってシャフトが折れたりしてしまうのは「乱暴に扱う」ように思えなくもないですが、ゴルフ規則には具体的な例として明記されています。

クラブが曲がる(折れる)かも…その場面でプロが行うリスクマネジメントは

ルールで交換が認められていても、スペアがないなど物理的にクラブを替えられないこともあり得ます。

その状況で木の近くにあるボールを打つなど、クラブの損傷が予想される場面では、残りのホールで最も使わないであろう番手を選ぶのがプロのリスクマネジメントです。

2007年の「マスターズ」最終日ではタイガー・ウッズが11番でティショットを右の林に曲げ、フォローで確実にシャフトが木に当たる、という場面で同様の理由で4番アイアンを強振して、シャフトがグニャリとなったことがありました。

初優勝時にドライバーを叩きつけて折った松山英樹は、交換可能だった

ラウンド中にクラブが折れたケースとして日本のファンに記憶にあるのが、松山英樹がPGAツアーで初優勝した2014年の「メモリアル」でしょう。

正規のラウンドの最終ホールでドライバーを叩きつけた際にヘッドが集音マイクに当たって折れてしまいました。

明らかに「乱暴に扱った」ケースですが、この後のケビン・ナとのプレーオフは「別のラウンド」として扱われるため、新しいドライバーに交換することも可能でした。

予備のドライバーがなかったためにプレーオフはドライバーなしの13本で戦いましたが、ルール的には交換可能だったのです。

ルール的に交換(修理)可能でも、アマチュアはケガをしない“マネジメント”を…

ルールで使い続けることが認められていても曲がったクラブは修理が必要になりますから、それには出費が伴います。

まして木の根や幹に当たると自分がケガをする可能性もありますから、一般的なアマチュアは「6インチリプレース」を活用するなどして、安全にプレーするようにしたいものです。

(文/森伊知郎)