よく、フィッティングに来られる方で、ご謙遜されていて、「僕のスイングはよくないので球が曲がる」、とか、「もし、スイングが間違っていると感じたら何でも言ってくださいね!」

なんておっしゃる方が少なくないです。

こういう方は、ショットが悪いのは、自分のスイングは悪い、という前提の方なんです。

もちろん、球筋の要因はスイング軌道ですから、良い悪いということではなくても、その振ったとおりにボールというのは飛んでいきます。

これは、完全に物理の法則ですので、それ以上のことは起こりません。いわゆる、ヘッドの軌道=パスに対して、フェースが開いているのか閉じているのか? また、打点はどこだったのか?によって、その球筋は決まると言えるでしょう。

それなのに、パスに対して、フェースが開いているのに、フックが打ちたい、と考えても、それは不可能な現象であり、それを「スイングが悪い」という判断をしてしまうのは、実にもったいないと思います。

私は、もちろん、スイングコーチでもなく、プロゴルファーでもないので、スイング論について、細かく述べる立場ではありません。

ですが、これまで1万人以上の人を見てきた感想からすると、本当にスイングが悪い人はいない、と考えています。

なぜなら、みなさん、確率はあるかもしれませんがナイスショットされます。

ということは、その際には、良い動きで良い当たりをすることができたわけですから、それができる人が、スイングが悪い、と短絡的に評価するのは違うと考えています。

もちろん、人それぞれ理想とするスイングが違い、それと比較すると自分はできていない、という評価はあるかもしれません。

しかし、少なくとも、ナイスショットができる能力は具わっている、と考えてみれば、それが継続するような状況を作ればよい、ということになっていきます。

ミスの多くの原因は判断ミス

そうなんです。

以前にも伝えたかもしれませんが、人間は、このゴルフクラブという棒状の道具を使って、ボールをあり得ないくらい遠くに飛ばすという能力をあらかじめ持っている、ということになります。

どなたにでも、「具わっている」能力です。

例えば、人間には、箸をもってご飯を食べたり、のこぎりで木を切ったり、という道具を使って何かをするという能力が備わっています。

その能力の1つに、ゴルフクラブでボールを打つ、ということも含まれていると言っていいと考えています。

え? そんなこと言っても、ミスショットするじゃない?

それは、能力が低いから起こるじゃないの? って思われたかもしれません。

もちろん、人間はシンプルに、エラーを起こしますから、それによってミスも起こるでしょう。でも、実は、ミスの要因はそれだけじゃないことが大いにあります。

おおまかにいって、人間の起こすミスの最大の要因は、判断ミスです。

そこから、やってはいけないこと、というより、やれないことをやろうとして、結果が出ないということになるわけです。

たとえば、普段ドライバーの飛距離が200ヤードくらいの人が、220ヤード先の池を越えようと思っても無理ですよね?

そんな無謀なことはしない?とよく言われるかもしれないんですが、それをやってしまうのが、また、人間でもあります。

つまり、よくあるミスは、こうしたい、ああしたい、ああなれたらいいな?という欲求から、冷静な判断を下すことができずに、結果的にできないことをやろうとして、ミスになるということなんです。

また、ゴルフクラブに例えると、ゴルフクラブに対する期待値が高すぎることが要因になっていることが多いです。

ちょっと夢のない話で申し訳ないのですが、ゴルフクラブには、人間の能力を超えたものを出す機能はありません。

上述のように、200ヤード飛ぶ人が、道具の機能にだけによって250ヤード飛ぶようになることはあり得ないわけです。

もし、ときどき、その普段200ヤードくらいしか飛ばない人が急にクラブを変えて250ヤード飛んだとしても、それはクラブの機能だけによって飛んだわけではなく、その変えたクラブによって、その人のもともと持っている能力が発揮された、ということだけなのです。

元々250ヤード飛ぶ能力が備わっている人が、クラブによってその能力が導き出されたということはあり得ると考えています。

つまり、人間には、もちろん個人差はあると思いますが、具わっている能力があり、その能力をいかんなく発揮できれば、ゴルフクラブでそれなりにナイスショットが続けられ、それなりのスコアでは上がってこられると考えています。

それがゴルフクラブ選びで最も大事な要素だと考えています。

極端な話、だれでもシングルプレーヤーになれる素質は持っているはず、と考えています。

なので、冒頭のご質問のように、僕のスイングはどこか悪いですか? と聞かれれば、全くありません。という答えになるわけです。

クラブの違いにも反応している

では、ほかにどんな能力が具わっているでしょう?

ここからはゴルフクラブに関連することを述べさせていただきます。

たとえば、クラブ選びに役立つ能力として、重い軽い、長い短いはもちろんのこと、角度(ライ角・ロフト角)にもちゃんと反応しています。それはもう、すごいもので、重さは0.1g〜、長さはmm単位の違いも分かっています。

言葉にできなくて、「そんなのわからないよ」と言われる方も多いですが、体は必ず反応しています。

角度もそうです。

ライ角がフラットだな〜と感じれば、ボールから遠くに立とうとしますし、アップライトだな〜と感じれば、自然に近くに立とうとします。

その大小は人それぞれではありますが、反応していないということはありません。

それが、人間に具わっている能力だからです。

ロフト角もそうですよ! 立っているな〜と思えば、上げたいと感じているし、実際に動作にも出やすくなってしまいます。

これらは、人間本来の能力で、それをいかんなく発揮すれば、ちょうどよい重さ、長さなどを見つけることもできるでしょう。

そうはいっても、どこまでも長いクラブが打てるわけでもなく、重ければいいというものでもありません。

そこには、やはり具わっている能力の範囲というのがあります。

そして、それは人間の本来持っている能力ということになり、それは、いま皆さんが思っているよりも意外と短いものだということを少しだけ覚えていただけると嬉しいです。

こういう能力をいかんなく発揮していただき、自分基準で、少し良く押さえていただき、一番心地よく振れるものを選んでいければ、きっとナイスショットが続きやすい状況になると思います。 なかなか、ご自身では難しいということであれば、そういったことを相談できる、工房さんやフィッターさんを探してみていただければ嬉しいです。

ダグ・三瓶(だぐ・みかめ) ブリヂストンスポーツ、アクシネット ジャパン インクと日米2つの大手メーカーに所属。その中でクラブ開発、ツアー担当、マーケティング、フィッティングなどを担当。ツアーレップ時代にはあのボブ・ボーケイ氏に日本で唯一の弟子と認められていた。現在、フリーとなり迷い多きアマチュアゴルファーにアドバイスを送ってくれることとなった。