右肩がアゴを押し出すのが正しいヘッドアップのメカニズム
「頭を残せ」とか「ボールを最後まで見続けろ」というのは古くから頻繁に出てくるゴルフスイングのキーワード。始めたばかりのビギナーからおじさんゴルファーまで、誰もが一度は耳にしたことがあると思います。それだけに「具体的にいつまで頭を残し続ければいいのか?」と疑問をもつのは真っ当です。
一般的には「ボールの行方を追わない」あるいは「クラブがボールに当たる瞬間までは見続ける」といった解説がなされることが多いですが、スイング動作の本質に踏み込むと、答えはさらに一歩先を行くものになります。結論から言うと「できるだけ長く残す。ただし、自分の意志で顔を上げる意識は一切必要ない」というのが正解になります。

みなさんが思うように、スイング中に頭を残す意識が過剰になるとスムーズな運動を阻害するケースが多々あります。自分の意志で必死に見続けようとするほど、体の滑らかな回転にブレーキがかかるのは想像に難くありませんよね。かといって「打球を確認したい」という気持ちから、自ら顔を上げてボールを見に行くと頭が上がって上半身が起き上がり、ミート率の低下やスライスなどのミスの原因となります。

ここで大事なのは、人間が機械になったつもりでスイングをとらえてみることです。マシンには「ボールがどこへ飛んだか確認したい」という感情や意識は存在しません。スイング軸を中心に体が回転し、その運動の結果としてヘッドが走り、ボールにコンタクトします。つまり、ボールを見に行く(顔を上げる)という主体的な意識や動作は、本来は必要ないのです。
では、自ら顔を上げない場合、最終的に頭はどのようにして前を向くのでしょうか。その鍵を握るのが「肩の回転とアゴの接触」です。スイングで体の各部位は連動します。インパクトの瞬間、体のラインは完全に正面を向くわけではありません。アイアンショットを例に挙げると、インパクト時には腰がターゲット方向に約40度開き、肩のラインはほぼスクエアか、ややオープン。フォローからフィニッシュにかけてもクラブと体は勢いよく回転を続け、インパクト時にスクエアに近かった肩のラインは、フォローにかけてさらに回転し、45度、60度と深く回っていきます。
この過程で頭を固定し、顔を下に向けたままにしようとしても、回転し続ける右肩が必然的にアゴにぶつかります。それでも肩は止まらず回り続けるため、回転する肩が物理的にアゴを押し上げます。これが頭を上がるメカニズムであり、正しいタイミングです。

つまり、プレーヤーがボールを追いかけようとか、顔を上げようと意識しなくても、右肩に押し出される格好で頭は自然と上がり、視線はボールの飛んでいった方向へと誘導されます。打ったボールは自ら見に行くのではなく結果的に見えてしまう。これこそが力強いスイングを生み出す正しい頭の残し方、いや「残り方」です。ゴルファーがやるべきことは、無理に頭を固定せず、軸を保って体をしっかりと回転させることだけ。物理的なメカニズムを理解し、頭を上げる意識を捨てることで、スイングの再現性とスムーズさは劇的に向上します。


勝又優美
かつまた・ゆみ JLPGAティーチングプロA級。就職したホテルが所有するゴルフ場勤務となりゴルフをスタート。ゴルフを楽しむ人々にふれ、日本の大人たちを笑顔にしたいとティーチングプロの道に。2010年に認定ティーチングプロとなり13年には A級ライセンス取得。やさしくてきめ細やかな女性らしいレッスンで大人気。堀尾研仁氏主宰の「KEN HORIO GOLF ACADEMY」に所属。











