ツアープロのグリップはほぼ100%、極めて硬いコード入りか高硬度グリップ
グリップの素材や硬さを選ぶ際に、おしなべてアマチュアゴルファーは、握った時に手が痛くならない、モチモチとした軟らかいフィーリングのモデルを選びがちです。しかし、スイングの再現性、とりわけ方向性の安定を高めるには、手が痛くならない範囲でギリギリ硬いグリップを選ぶのが原則です。
ツアープロのグリップセッティングを見ると、ほぼ100%の選手が極めて硬いコード入りや、高硬度ラバーグリップを好んで使っています。前述したようにアマチュアは軟らかいグリップを好む傾向にありますが、この差は車のハンドルの“遊び”や、精緻で細かい作業におけるレスポンスの差と一致します。
例えて言うなら、「ボクシンググローブをはめた状態で鉛筆を持ち、ノートにきれいな文字を書けますか?」という話。当然、書けません。グローブの素材が柔らかく、手の動きに対して内部でグニュグニュと動いてしまう、いわゆる遊びが多すぎるからです。
スイング中、ゴルフクラブには強烈な遠心力と慣性モーメントがかかり、シャフトはただでさえ激しくしなり、ねじれます。ショットごとにヘッド側で大きな物理的誤差がもたらされているにもかかわらず、グリップまでが軟らかく動いてしまったらどうなるでしょう。
ゴルファー自身はフェースをスクエアに戻してインパクトしているつもりでも、軟らかいグリップ素材が肉厚のクッションのように歪むことで、フェースが1度開いたり閉じたり、という致命的なズレが毎ショット、ランダムに発生しているのです。
松山英樹プロの選択。硬度「57」が意味するもの
手前味噌で恐縮ですが、現在私が開発・提供している最高精度のグリップは、硬度を「57」という非常に高い数値に設定しています。この硬さは、世界のトップランカーである松山英樹プロが実際に使用しているグリップの硬度と同じです。一般的な感覚からすると相当硬い部類に入りますが、ツアーを戦うプロゴルファーで、これより軟らかいグリップを使っている選手はほぼ存在しません。
では、なぜ大手のグリップメーカーは、硬度57の素晴らしいグリップを大々的に作って販売しないのでしょう。理由は非常にシンプルで、硬く作るとグリップが摩耗しにくくなり、買い替え需要が減ってメーカーが儲からないからです。
世の中で大ヒットしている某有名グリップなどは、非常に軟らかく、握ると親指の部分が消しゴムのようにボロボロと削れることで有名です。消耗させて頻繁に新しいものを買わせるビジネスモデルとしては正解かもしれませんが、ゴルファーのことを考えればマイナスでしかありません。
毎週のように新しいグリップに替えるプロ並みのサイクルを維持できるのなら軟らかくても構いませんが、一般アマチュアゴルファーが一度挿したグリップを1年も2年も使い続けるのであれば、経年劣化しづらい高硬度エラストマーや硬質ラバーを選ぶ方が圧倒的に高い再現性をキープできます。特にエラストマーは、不純物による分子結合の低下が起きないため、何色に着色しても松山英樹プロと同じ硬度57という均一な超高硬度を完全にキープできます。
グリップが硬ければ硬いほど、スイングのレスポンスはピーキー(敏感)になります。自分の手の動きがダイレクトにヘッドに伝わるため、全く同じ動きをしたときの再現性は統計的データで見ても圧倒的に高くなるのです。

浦 大輔
うら・だいすけ
1985年生まれ。関西ジュニアをはじめアマチュアタイトルを多数獲得。ゴルフ部特待生として松山英樹と同じ明徳義塾高→東北福祉大の道を歩み数々のアマチュアタイトルを獲得したが諸事情により大学を中退。サラリーマンをしながらゴルフの物理学、スポーツ力学、ゴルフクラブのメカニズム、人体構造などの研究を進めて独自のゴルフ理論を確立。2016年には「ゴルフダイジェストドラコン選手権」で優勝(399ヤード)した。「√d Golf Academy」代表取締役兼ヘッドコーチ。YouTube『かっ飛びゴルフ塾』塾長。
「多くのゴルファーは”上達のカギはスイングが9割、クラブ性能は1割程度”と思い込んでいますが、それは誤解。クラブの重要度は最低でも7割」と浦大輔。その理由と自分に合ったクラブの選び方を提示し、レッスンとは全く別角度で上達のロードマップを示した書籍『ゴルフはクラブが7割』が9月30日に発売。













