最終日は21ホールに渡る直接対決 

申が2008&2012年。桑木が今年と2人合わせて「全英女王オープン」3勝という豪華なメジャー覇者対決が、国内最高峰の大会の最終日に実現しました。

JGA(日本ゴルフ協会)が主催する男女の日本オープンは悪天候による進行遅れなどがない限り決勝ラウンドは2人1組のツーサムで、スタートも1番ホールからのみのワンウェイで行われます。

「日本女子オープン」最終日の終盤は3位以下との差が開きました。

また10番からスタートする選手が猛烈に伸ばしてくることも気にする必要がありません。

決勝ラウンドはツーサム&ワンウェイ

いわゆる“裏街道”からスタートする選手は、順位が真ん中より下位なので、優勝争いにからんでくるのははレアケースとはいえ、実際につい最近も起こりました。

前週のアメリカLPGAツアーでは最終日を首位でスタートした西村優菜が、10番から朝イチでプレーした岩井明愛が15ホールで8つのバーディーを奪う猛追で一時は逆転されてラウンド中に驚いたということがあったばかりです。

ワンウェイスタートではこれと同じことは起こり得ないので、申と桑木の2人にとっては目の前の相手との勝負に集中すればいいことになります。

プレーオフの3ホールはもちろん1対1のサドンデスマッチですが、正規のラウンドと合わせてほぼ同じ状況が続いたことになります。

「日本女子オープン」ならではの“禁止ルール”

「日本女子オープン」では、ローカルルールで距離測定器の使用が禁止されています。

これは「距離の情報は目で判断する要素を残したい」というJGAの考えによるものです。

日本女子ツアーでは2022年から試合での距離測定器の使用が認められています。

毎年開催コースが変わる大会でこれができなくなることで、練習ラウンドでしっかり情報収集して、本番では目で見てしっかり正確に判断する。

さらに宝塚GCのアップダウンを加味した距離を正確に判断し、その通りのショットとパットを最も多くすることができた選手が頂点に立つことができる。

これはキャディーも含めた“ゴルフ力”を試されていたともいえます。

逆に“解禁”されている独自のルールも

一方で、他のほとんどの女子トーナメントと違い、ギャラリーは無音アプリを使用した上でのスマホでの撮影が認められていました。

テレビ中継などを見て多くのギャラリーがスマホを構えている姿に、あれ?と思った方もいるかもしれませんが、これも普段の女子ツアーとは違う景色です

海外では多くのトーナメントでスマホによる撮影が認められているので、このことに対する集中力も、海外経験が豊富な2人は違和感なくできたということでしょうか。

世界ランキング1位になった経験もあり、「全英女子オープン」2勝の実績は、現在日本女子ツアーに参戦している選手ではトップといっていいものです。

今年の「AIG全英女子オープン」を制してポイントランキング独走状態の桑木は、文句なしの現在の日本女子ツアーで最強の選手です。

最高VS最強の対決が「日本女子オープン」という舞台で実現し、プレーオフにまでもつれる21ホールの激闘となったのには、このような条件があったからでした。

(文/森伊知郎)