いい意味で八方美人なモデルを選ぶならピンの「G440 MAX」が筆頭

国内外大手メーカーのドライバーに、もれなくラインナップされているMAX系モデル。慣性モーメントが大きめのオールラウンダーとされていますが「アベレージゴルファーにとって本当にやさしいの?」と問われると、首を傾げたくなる面もあります。そこで今回は、テーラーメイド、ピン、キャロウェイの海外3大メーカーのMAX系ドライバーを俎上に乗せてやさしさ比べをしてみます。

一口にMAXと言ってもその実はいろいろで、全体的に曲がりにくいMAX、フックフェースでスライスしないMAX、超低重心&高スピンで球が上がるMAXなど、メーカーによって性格に違いがあります。得意分野もあれば不得意分野もあるわけで、自分の直したいところがヘッドの不得意部分と重なったら目も当てられないので注意が必要です。

最も安全なのは、いい意味で八方美人なモデルを選ぶことですが、そう考えた場合は、ピンの「G440 MAX」が筆頭です。ミスヒットによる飛距離ロスが抑えられ、ボールがつかまりやすいのに上がる。食べたいおかずが程よく入った幕の内弁当のようでトータルバランスがよく総合点が高いヘッドです。中でも球の上がりやすさはダントツ。高めの弾道はアベレージゴルファーに安心感を与えてくれるので点数が高く、実施的な効果も高いと考えられます。

テーラーメイドの「Qi4D MAXは」ミスに強い印象のMAXで、打点が安定しない人にとっては大きな受け皿になると思います。熟成された独自のカーボンツイストフェースに、新しいロールデザインが加わったフェースの賜物でしょうか、オフセンターヒットした場合でも思ったほど曲がりません。飛距離ロスは否めないとしても、OBだと思った球がラフに止まり、ラフかと思った球がフェアウェイに止まる。この違いはアベレージゴルファーにとって絶対アドバンテージになります。

キャロウェイの「QUANTUM MAX」は、ボール初速が速く、実際、飛距離も出ますが、どちらかというとスイングのしやすさ、扱いやすさが先に立つヘッドです。例えばG440は、ヘッドをトンと地面に置いた時に、よすぎるくらいヘッドの座りがいいのですが、裏を返すと、動き出したら自分ではどうにもできません。もちろんこれはヘッドの挙動が安定することにつながり、そこが利点とされているわけですが、操作性の観点から見ると一転してデメリットになります。その点、QANTUM MAXはヘッドを動かせる。ある程度操作しながら扱えることが振りやすさにつながっていて、そこは他とMAXと一線を画しています。

ヘッドの適正はスイングタイプによっても変わりますし、形状やブランドイメージを重視して選ぶのも悪くはありません。しかし、アマチュア目線で実利を取ると、やはりG440に一日の長があります。不評だった打感と打音も、前モデルのG430から飛躍的に改善されて死角が消えました。スコアに直結しない部分は後回しにしたのが奏功した感じですね。

老婆心ながら記しておくと、ヘッドスピードを基準にヘッドを選ぶのは間違いです。ヘッドスピードを左右するのはシャフトです。アイアンでもマッスルバック、キャビティ、デカヘッドといったヘッドサイズの区分で適正ヘッドスピードを分けますが、これはヘッドスピードが速い人は上手い傾向があるので小さいヘッドでも大丈夫というイメージ。ドライバー、とりわけMAXの場合、そう単純ではありません。

そもそもヘッドが大きいぶん空気抵抗が多めのMAX。おまけに高慣性モーメント=ヘッドが返りづらいということで、よほどパワフルに振れるか、ベストマッチのシャフトがないとヘッドスピードは上がりません。基本的にはパワーがあればあるほど飛ばせるシロモノ。と同時に、取り立ててヘッドスピードが速くなくてもヘッドのブレが抑えられるぶん、ある程度飛ばせるヘッドです。

そうなると何を基準に選べばいいのかややこしくなりますが、やはり冒頭で記したように、自分が欲しい要素とヘッドがもつ機能を擦り合わせてチョイスするのがベストな選び方になります。逆にMAXが合わない人を挙げた方がわかりやすいかもしれないので紹介しておくと、まず、アドレスで違和感があったらアウト。基本的にMAXはヘッドが大きく、フェースの向きもモデルによって違います。理由はどうあれアドレスで気持ち悪さを感じたら選ぶべきではありません。

重心深度の深さが合わない人もアウトです。この傾向はプロのように子どもの頃からゴルフをやっている人に多く、私もこのタイプですが、そんな人はフェース面からヘッドの重心までの距離が長い(深い)ヘッドだと振りにくさを感じます。フェースターンを使ってヘッドスピードを上げつつボールをつかまえるので、MAXだと恐ろしいほどそれができません。プロがみんなロースピン系のヘッドを選ぶのはこのためです。

極端な言い方をすると、MAX系はフェースローテーションを使って打つのが難しいヘッドです。うまい人がMAXを使わない理由もそこで、自分でボールをつかまえたり、シャフトのトルクを使いづらいからです。反面、ヘッドスピードがそれほど速くなくても真っすぐ飛ばす機能を享受できます。曲がって飛ばない人がMAXを使うと曲がり幅が大幅に減り、結果的に今までよりも飛ぶようになる。 こう考えた方が過度な期待をしないぶんMAXとうまく付き合えると思います。もちろんこれはヘッドの特性に限定した話。シャフトを組み合わせることで可能性はさらに広がっていきます。


吉本巧
よしもと・たくみ ゴルフ修行のため14歳から単身渡米。南フロリダ大在学中は全米を転戦するなど11年間にわたって選手とコーチを経験したのち、日米の20年の経験から吉本理論を構築。プロやアマチュアのスイングコーチをはじめ、フィジカルトレーナー、プロツアーキャディー、メンタルコーチング、クラブフィッティングアドバイザーなども務める。現在は東京・中央区日本橋浜町の「吉本巧ゴルフアカデミー」で指導中。「吉本巧のYouTubeゴルフ大学」も人気。