「PT」と「GC」はニュートラル、「DI」と「UB」はちょっとハードなコアモデル
グラファイトデザインのツアーADというと「〇〇プロが〇〇に換えた」というドライバーのシャフト交換情報をよく目にします。それだけ多くのプロが使い、かつ愛されているということですが、一方でアマチュアの方からは「モデル名がアルファベット2文字だけで、どれがどんなシャフトか違いがわからない」という意見も聞きますので、そのあたりを考慮しつつ解説していきます。
その前に、プロのシャフト交換情報をどうとらえるかですが、プロが換えたからといって、そのシャフトが全面的に優れているわけではありません。選んだプロがその時点のスイングや、イメージした球を打つのに必要だったシャフトと受け止めるべきです。プロによっては多少飛距離を犠牲にしても左を消したい、あるいは切り返しのタイミングでもっと振りたい、といった理由でシャフトを換えることも多い。いわば一身上の都合で換えるので「プロが換えたから飛ぶんだ」と短絡的にとらえてはダメです。
参考にするのであれば、そのプロのスイングタイプとシャフト性能の兼ね合いまで見ないといけません。例えば「VF」にしたなら切り返しの剛性が欲しいんだな、とか「CQ」なら今よりつかまるようにしたいんだな、というような見方ができて初めてプロのシャフト交換情報がシャフト選びの拠り所の一つになります。
そもそもツアーADは、プロからのフィードバックを細かく反映してできた製品。そのため新旧含めて80種類ものモデルがあります。誰が見ても選択肢が多すぎますから迷子になって当然のブランド。厳選に厳選を重ねればピッタリのモデルが見つかるはずですが、全て試打するわけにもいかないので、まずは最新モデルから自分が付き合えそうな数本を見つけることからスタートしましょう。
新しいモデルには、「EK」「FI」「GC」「VF」「CQ」「UB」「DI」「IZ」「PT」の9種類がありますが、まずはそこから、
① PT
② GC
③ DI
④ UB
の4つに絞ります。この4モデルは人間で言うところの血液型みたいなもので、アマチュアゴルファーのスイングは4本のうちのいずれかのタイプに適合すると考えられます。
4つの中で最初に打ってもらいたいのが「PT」で、全てはここから始まります。もちろんツアーADを使ったことがない人も同様です。というのも、「PT」はクセが少なく素直でタイミングも取りやすいから。最新モデルの中では守備範囲の広いシャフトで、ツアーADの入口として最高なのです。
具体的には「PT」の50g台から始めます。なぜ50g台かというと、60g台から始めるとすでにオーバースペックの人がいるから。ちょっとアンダースペックからスタートした方が、シャフトの違いがわかりやすいということもあります。重量級から下げるより、軽量級から上げていった方が感覚も鈍りません。これはどのモデルを打つ場合でも同じです。
「PT」を打って合えばそのまま「PT」でいい。実際PTがハマるアマチュアゴルファーはかなり多いと思います。「PT」に物足りなさを感じたら次は「GC」。ツアーADの中では中心的な立ち位置で、つかまりやすさや弾道の高さも中庸です。ハードではありませんが「PT」を打った時に「もうちょっと振りたい」と思った人に合います。
「GC」で「もっと振りたい」とか「安定感がほしい」と感じたら次は「DI」。松山英樹選手が長年エースシャフトとして使っているのでご存じの方が多いと思います。ロングセラーなのは優秀さの証。中上級者好みのしっかり感が特徴です。ボールがつかまるタイプではありませんが、スイングに対して敏感に反応しくれるところが多くの支持を集める所以だと思います。
4つめの「UB」もしっかりしていますが、「DI」よりも低スピンで強い弾道のボールが打てます。メーカー表記では中調子になっていますが、私的には中~先がしっかりした元調子の印象で、ねじれが少なめです。
紹介した順に4本を打つとツアーAD内での好みがわかり、自分がどっち側のゴルファーか、すなわち「PT・GCタイプ」か「DI・UBタイプ」かがわかります。「PT」と「GC」はニュートラルで打ちやすく、「DI」、「UB」はちょっとハードですが、いずれもツアーADの中ではコアモデルです。ニューモデルのうち残りの5本は、「PT・GCタイプ」よりやさしいモデルと、「DI・UBタイプ」よりハードなモデルに振り分けられています。
自然に振れるフィーリングが好きなら「 PT」、安定性を重視するなら「GC」
80~90台を行ったり来たりしているアマチュアゴルファーに私がオススメするとしたら「PT」か「GC」です。前述したようにこの2つはかなり近い系統。どちらも中調子のニュートラルな仕様です。違いを挙げるなら、「PT」は昔ながらのクセのなさでタイミングが取りやすい。「GC」は「PT」のニュートラルさを残しつつ、ねじれを抑えてミート率が高くなるのが特徴です。
違いを生んでいるのはシャフト先端の剛性で、「PT」より「GC」のほうがシャフト先端の剛性が高い。そのため「GC」はねじれが少なくヘッドの動きも小さめ。ミート率が上がるので初速が出やすいです。一方、ヘッドの先の動きがある「PT」は、「GC」よりドローが打ちやすいと言えます。「PT」と「GC」それぞれが合う人をまとめると以下のようになります。
PTが合う人
- しなりを感じながら振りたい人
- 振った時の気持ちよさを重視したい人
- 切り返しでシャフトが適度に動いてほしい人
- 手で無理やり振りたくない人
- ドローからストレート系の球筋がほしい人
- シャフトに仕事をしてもらいたい人
GC が合う人
- インパクトでヘッドの動きを抑えたい人
- 左右のブレ、散らばりを減らしたい人
- ミート率を上げたい人
- インパクトの再現性を高めたい人
- インパクトでフェースの向きを安定させたい人
- 打点のブレを減らしたい人
「PT」はシャフトの存在感が強すぎないので、多くの人のスイングのタイミングに合いやすい。それがロングセラーたる所以だと察します。しなり方がハマると、それこそ“どハマり”するので、タイミングを重視する人にはおすすめです。「PT」の振りやすさとタイミングの取りやすさに剛性をプラスしたのが「GC」なので「PTは気持ちいいけど、ちょっと暴れるな」と感じるならなら「GC」です。「GC」を打ったところ「真っすぐ飛んだけれど、動きがなくて面白くない」と感じたなら「PT」がベター。自然に振れるフィーリングが好きなら「 PT」、安定性を重視するなら「GC」となります。

吉本巧
よしもと・たくみ ゴルフ修行のため14歳から単身渡米。南フロリダ大在学中は全米を転戦するなど11年間にわたって選手とコーチを経験したのち、日米の20年の経験から吉本理論を構築。プロやアマチュアのスイングコーチをはじめ、フィジカルトレーナー、プロツアーキャディー、メンタルコーチング、クラブフィッティングアドバイザーなども務める。現在は東京・中央区日本橋浜町の「吉本巧ゴルフアカデミー」で指導中。「吉本巧のYouTubeゴルフ大学」も人気。













