足の裏で地面を掴むのはアドレスでカカト体重になるのを防ぐため
おじさん世代のゴルファーが教えられてきた「足の裏で地面を掴む」。まさに昭和の教えですが、結論から言うと、現代のスイング理論やデータ解析から鑑みても間違いではなく、本質を突いた表現だと言えます。なぜなら「地面を掴む」感覚は、スイングで重要視される地面反力の働きを表していると解釈できるからです。
反復横跳びやジャンプなどのアクションを思い浮かべるとわかりやすいですが、左右に素早く足を踏み出す、あるいは上に高く跳び上がる際には、必ず足の裏で力強く地面を掴んで踏ん張るタイミングがあります。
スイングでも全く同じメカニズムが働いていて、回転運動を生み出すために、回転する方向とは逆方向へ地面を強く踏み込み、その反動を利用しています。切り返しで左足を踏み込む動きや、ダウンスイングで右足を蹴り出す動きは、腰を切り、回転を加速させるための地面反力を得ている状態。これらの瞬間に足の裏で地面を掴んでいるというわけです。

注意してほしいのは、アドレスからフィニッシュまで、ずっと地面を掴み続けているわけではないこと。常に足指や前足部で地面を掴んでいると下半身がロックされて自由な動きが失われ、体の回転が強く制限されます。これは足圧データの計測結果を見ても明らかで、スイング中の足圧位置や重心は止まることなく、前後にダイナミックに移動しています。バックスイングでは右ツマ先からカカト側に重心が移動し、インパクトからフォローではカカト側に抜けていくことでスムーズな回転運動が可能になる。地面を掴みっぱなしでは回転を妨げてしまいます。

では、なぜ昭和の教えでは「地面を掴め」と表現されたのでしょう? その本質は、アドレスでカカト体重になりすぎるのを防ぎ、すぐに動ける状態を作るという点にあります。野球で野手が飛んでくる打球に備えている時は、母指球付近のツマ先寄りに重心を置いて素早く動ける体勢をとっています。アドレスもこれと同じで、当時の指導者が素早く動き出せる体勢をとる、すなわちツマ先寄りの適切なポジションに重心を置かせるべく「地面を掴む」という表現を使ったと考えられます。

ということで「地面を掴む」という昭和の教えには、アドレスで動きやすい体勢を作るという側面と、スイング中に地面反力を利用して回転力を生み出すという動的な作用の両方の意味が含まれています。ずっと足を固めて動かさないように掴むのは間違い。アドレスでいい準備をし、スイングの瞬間的な踏み込みで反動を得ると理解しておけば、全てのゴルファーに有益で合理的な教えであると言えます。

勝又優美
かつまた・ゆみ JLPGAティーチングプロA級。就職したホテルが所有するゴルフ場勤務となりゴルフをスタート。ゴルフを楽しむ人々にふれ、日本の大人たちを笑顔にしたいとティーチングプロの道に。2010年に認定ティーチングプロとなり13年には A級ライセンス取得。やさしくてきめ細やかな女性らしいレッスンで大人気。堀尾研仁氏主宰の「KEN HORIO GOLF ACADEMY」に所属。


















