松山英樹もマスターズで使用!スリクソンZX5/ZX7ドライバーの飛びは!? どちらも高初速だけど、直進性と操作性で選ぶなら!?
試打のスペシャリスト・高橋良明プロがスリクソンの最新ドライバー2機種を打ち比べ
世界最高峰のPGAツアーのトッププロをターゲットに開発された『スリクソンZX5ドライバー』と『スリクソンZX7ドライバー』。その戦闘力を証明するかのように、松山英樹は『スリクソンZX5ドライバー』を初投入したプレーオフ第2戦「BMW選手権」で平均飛距離を20ヤード以上伸ばして優勝争いを演じてみせた。また、日本ツアーでも星野陸也、稲森佑貴、香妻陣一郎によって『スリクソンZX7ドライバー』が3連勝を達成。俄然注目を集めている2本の実力を高橋良明プロが検証する。
きれいな「顔」にこだわりつつ、世界最高初速を目指した2本
前作『スリクソンZ585ドライバー』と『同785ドライバー』にはドライバーをゼロから作り直すという意味で「ゼロスリクソン」という開発コードネームが与えられていたが、最新作『スリクソンZX5ドライバー』と『スリクソンZX7ドライバー』も前作に匹敵するほど大きな進化を遂げている。
「ゼロスリクソン」のキーテクノロジーは『ゼクシオ』譲りのカップフェースだった。広いエリアで高初速を実現すると同時にフェースの軽量化によって重心設計の自由度も上がるという利点がある。
だが、『スリクソンZX5ドライバー』と『スリクソンZX7ドライバー』では、ボディのフェース開口部に板状のフェースを溶接する従来型の構造に戻された。ボール初速世界一を目指しながら、有利なカップフェースをあっさり捨てた理由は「顔」である。カップフェースの場合、プロがもっとも気にするトップラインと溶接部分が重なるため面が歪んでアドレス時に違和感が生じやすい。トップラインをきれいに仕上げるにはフェース開口型が適しているのだ。高橋プロはアドレスした瞬間に設計者の意図を感じ取った。
アドレス時の迷いがなくなり、自信を持って打っていける
「『スリクソンZX5ドライバー』も『スリクソンZX7ドライバー』も見た目がすごくよくなりましたね。どちらもきれいな顔をしています。『スリクソンZX7ドライバー』はトップブレードの膨らんでいる部分とヘッドの中心がきれいに揃っているので、どこで打てばいいかイメージしやすくなりました。『スリクソンZX5ドライバー』も三角っぽい顔からきれいな丸型になって構えやすくなりました。また、どちらもすわりがよく、ポンと置いたときにフェースが開かないのでターゲットに合わせやすくなっています。やっぱり日本のメーカーは形の作り方が上手いなと思います」(高橋)
プロの多くはアドレス時に違和感があれば試し打つこともしない。松山はじめ契約プロがスイッチしていきなり活躍できたのは正しく彼らの求める形を実現できたからにほかならない。
カップフェース不採用、それでもボール初速はアップしている
『スリクソンZX5ドライバー』と『スリクソンZX7ドライバー』は構造的にカップフェースよりもたわませにくい板フェースを採用しているが、むしろフェース全体の反発力は前作よりも上がっていると高橋プロは断言する。
「『スリクソンZX5ドライバー』と『スリクソンZX7ドライバー』で一番進化したのは飛距離性能です。とくに『スリクソンZX5ドライバー』は飛距離に特化しています。けっこう弾きが強くて高弾道、低スピン。スピンが少ない分コントロールはしづらいかわりとにかく曲がりません。米国のメーカーが作ったような感じで、松山が使いはじめたのも納得できます。『スリクソンZX7ドライバー』も同じくらい弾きます。打ち方やヘッドスピードにもよりますが、スピンが入るので球の高さは『スリクソンZX5ドライバー』と同等かそれ以上によく上がる印象です」(高橋)
高橋プロにわざと芯を外して打ってもらったところ、前作よりもスイートスポットが広がっていることも確認できた。
「それぞれトゥ、ヒール、上め、下めでも打ってみましたが、センターに当てた場合と飛距離の差は縮まっています。とくに『スリクソンZX5ドライバー』はとくに先の方や上めに強く、高弾道・低スピンで飛びます」(高橋)
『スリクソンZX5ドライバー』のつかまりはほどほどだがスライサーにも適している
飛距離性能が大幅にアップしたスリクソンのニュードライバー。どちらを選ぶべきか、高橋プロにアドバイスしてもらった。
「『スリクソンZX5ドライバー』は基本的にストレートに近い球をオートマチックに打つことができます。球が落ち際にほんの少し右に切れることもあり、つかまり自体は前作の方がいいかもしれません。でもヒールに当たったときでも球が左に出てセンターに戻ってくれます。カット打ちでスライスする人にはピッタリです。逆にトゥに当たったときは右に出てセンターに戻るのでフッカーでも合います。打点のミスをカバーしてくれるところ某社の『ねじれたフェース』と似ていますね」(高橋)
パワーヒッターやテクニシャンも満足させる『スリクソンZX7ドライバー』
一方、『スリクソンZX7ドライバー』はどんなゴルファーに合うか?
「球は上がるけれどパワーが必要です。今回試打したメーカー純正シャフトでもヘッドスピード42m/sくらいは欲しいところです。また、打点を変化させてスピンの入り方で球筋をコントロールしやすいのも『スリクソンZX7ドライバー』の特徴です。少しパワーがある人や自分で操作したい人にはすごく使いやすいクラブです」(高橋)
純正シャフトのスペックは日本人ゴルファーにぴったり
振り心地がいいですね。バランスがそんなに重くないから平均的な体力の日本人ゴルファーでも楽に振り切れます。もちろんカスタムシャフトを入れればパワーヒッターにもマッチします。飛距離も申し分ないし、この2本ならプロでもアマチュアでもみんな使いたがるでしょう」(高橋)
『スリクソンZX5ドライバー』と『スリクソンZX7ドライバー』は「グローバルで戦えるスリクソン史上一番のドライバー」。これが高橋の出した結論だ。
スリクソン ZX5 ドライバー
クラブ名 | スリクソンZX5ドライバー |
---|---|
ヘッド素材 | ボディ:8AL-2Vチタン鋳造、フェース:Super-TIX®51AFチタン鍛造、クラウン:CFRPコンポジット、チューニングウエイト:ステンレス(8g) |
ロフト角 | 9.5、10.5度 |
ライ角 | 59度 |
ヘッド体積 | 460㎤ |
シャフト | Dhiamana ZX 50(R、SR、S) |
長さ | 45.25インチ |
バランス/重さ | D2/304g |
価格 | 66,000円+税 |
スリクソン ZX7 ドライバー
クラブ名 | スリクソンZX7ドライバー |
---|---|
ヘッド素材 | ボディ:8AL-2Vチタン鋳造、フェース:Super-TIX®51AFチタン鍛造、クラウン:CFRPコンポジット、チューニングウエイト:ステンレス(8g)・アルミニウム(4g) |
ロフト角 | 9.5、10.5度 |
ライ角 | 59度 |
ヘッド体積 | 460㎤ |
シャフト | Dhiamana ZX 60(SR、S) |
長さ | 45.25インチ |
バランス/重さ | D2/309g |
価格 | 68,000円+税 |
テスター
高橋良明(たかはし・よしあき)
1983年生まれ。東京都出身。2013年プロ入会。サザンヤードCC所属。ツアーに挑戦するかたわら、ゴルフ専門紙やウェブメディアでテスターを務める。毎年出る新製品をほぼ打ち尽くす試打のスペシャリスト。
取材・文/吉田宏昭
撮影/相田克巳
協力/サザンヤードカントリークラブ
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