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タイトリスト|TSi2・TSi3ドライバーの飛びは!? 真っすぐ系か操作性重視系か! 好みの飛ばし方で選ぶ

試打のスペシャリスト・高橋良明プロがタイトリストの最新ドライバー2機種を打ち比べ

2020/11/30 ゴルフサプリ編集部

「タイトリストスピードプロジェクト」とは、その名の通り「クラブスピード」と「ボールスピード」をテーマとした開発プロジェクト。その初の成果として2018年に披露された『TS2ドライバー』と『TS3ドライバー』は、タイトリスト史上最高の飛びと評価を受けた。そして2020年11月に発売された『TSi2ドライバー』と『TSi3ドライバー』はさらにスピードを追求した進化版。その飛びっぷりを高橋良明プロが検証した。

『TS』から『TSi』へ。「アイ」が増えて一体何が変わった?

タイトリストの歴代ドライバーはPGAツアーのトッププレーヤーを筆頭に多くのプロや上級者に支持されてきた。その理由は、飛距離だけに特化することなく、顔、音、打感、操作性といったプロや上級者にとって必要な性能がバランスよくまとめられていたからだ。しかし、近年のPGAツアーはパワーゲームの様相を呈し、トッププロもいままで以上に飛距離を求めるようになってきている。これに応えるため新たに立ち上げられたのが「タイトリストスピードプロジェクト」だ。

新プロジェクトから生まれたドライバーは、従来の『900シリーズ』(905D〜917D)とは一線を画すという意味合いも込め名称を一新。プロジェクト名の頭文字から『TS2ドライバー』『TS3ドライバー』と名付けられた。そして、その後継モデルとして登場したのが『TSi2ドライバー』と『TSi3ドライバー』です。ちなみに「i」は「impact」の頭文字といわれていて、速さに加えてさらに正確で強いインパクトを期待させるネーミングとなっている。

「『TSi2ドライバー』(写真左側)も『TSi3ドライバー』(同右側)も高初速で飛ばせます」(高橋)

フェース周辺部のボール初速が目に見えて速くなった

「フェースの弾きがアップして、芯を外してもボール初速が出ます」(高橋)

今回はタイトリストにしては珍しくフェースの素材をキーテクノロジーとして強くアピールしている。ゴルフクラブでは世界初採用の「ATI425チタン」は従来のチタン合金よりも強靱で、フェース面のより広いエリアで高初速が得られることが特徴。その効果は打ちはじめてすぐに体感することができた。

「『TSi2ドライバー』も『TSi3ドライバー』も明らかにボール初速が速くなっています。初速と飛距離は比例するのでスペックさえ合っていれば間違いなく飛ぶクラブといえます」(高橋)

高反発時代には真芯に当たれば滅法飛ぶが、少しでも芯を外すとまったく飛ばないドライバーもあったが、『TSi2ドライバー』と『TSi3ドライバー』の寛容性の高さは特筆もの。

「上下左右にスイートスポットが広くなって、フェース面のどこに当たっても初速が出るようになりました。前作と比べても平均して飛ぶようになりましたね」(高橋)

打点が上下にぶれてもスピン量が変化しにくい

フェースの反発性能に加えて、ヘッドの慣性モーメントが大きくなったこともミスヒットに強い理由だ。

「トゥ・ヒールというより上下の慣性モーメントがかなり上がっている感じです。とくにフェースの下に当たったときの飛距離ロスが小さくなっています。スピンが増えてめくれるような球が出ないし、打ち出し角も十分にあります。逆に上に当たったときもスピンが減り過ぎません。スピン量と打ち出し角が安定しているので、初速の速さがそのまま飛距離に結びつきます」(高橋)

『TSi2ドライバー』と『TSi3ドライバー』はインパクトの打感も極上

ライバルに負けない飛距離性能を実現しながら、ただ飛ぶだけのクラブになっていないところがタイトリストらしさ。

「『TSi2ドライバー』も『TSi3ドライバー』もすごくきれいな顔です。『TSi2ドライバー』は少しシャローで安心感があります。『TSi3ドライバー』は見た目が超スクエアで後ろの丸みがきれいなので自分の打ちたい方向や球筋をイメージしやすいと思います」(高橋)

最近はチタンとカーボンのコンポジットが主流となりつつあるが、『TSi2ドライバー』と『TSi3ドライバー』はフルチタンを堅持している。

「弾く感じがありながら、ボールのつぶれ感もある気持ちのいい打感です。飛距離も操作性も求める人にはけっこうハマるでしょう」(高橋)

シャフトから読み解くタイトリストの本気度と自信

左がオリジナルシャフト2種。右がプレミアムシャフトとしてラインナップしているTOUR AD DIシャフト(グラファイトデザイン社製)。

今回試打したクラブに装着されていたのはオリジナルシャフトの『TSP110 50』と『TSP322 55』。

「オリジナルシャフトはどちらも全体がしなるタイプでヘッドの特性を素直に引き出している印象です。また、シャフト自体にクセがないのでいろいろなゴルファーに合いやすいと思います」(高橋)

さらに標準装着シャフトとしてグラファイトデザイン社の『ツアーAD DI-5』『同DI-6』も用意されている。

「『ツアーAD DI』は先がしっかりしていて強いインパクトが可能。打たなくても『TSi2ドライバー』と『TSi3ドライバー』の性能を引き出してくれることが想像できます。セールスを考えればメーカーとしては最新のシャフトを入れたいところでしょう。そこにあえて10年前のシャフトを持ってくるところに本当に飛ぶクラブを提供したいというタイトリストの本気を感じます」(高橋)

一方、『TSi2ドライバー』『TSi3ドライバー』ともにカスタムしやすいヘッドともいえそうだ。

「ヘッド自体のスピン量が安定しているので自分の好きなシャフトを選んで組み合わせても適正なスピンに収まって飛ばせるでしょう。そういった意味でも許容範囲の広いドライバーといえます」(高橋)

『TSi2ドライバー』と『TSi3ドライバー』の違いはどこにある?

ともに完成度の高い『TSi2ドライバー』と『TSi3ドライバー』。どちらを選んだらいいのか悩んでしまう人のために高橋プロがアドバイスしてくれた。

「飛距離を求めると低スピン・高弾道の似たような球になりやすく、確かに以前のモデルと比べると両者の違いは少なくなってきています。ただ同じ460㎤でも『TSi2ドライバー』はシャローで球が上がりやすく、弾き感も少し強くなっています。『TSi3ドライバー』は見た目がコンパクトで、球のつぶれをより感じやすく強い球が出ます。また、慣性モーメントのより大きな『TSi2ドライバー』はシンプルにまっすぐ飛ばしたい人。ウエイトを調整できる『TSi3ドライバー』は自分のイメージ通りの弾道で飛ばしたい人に向いています」(高橋)

TSi2ドライバー

ソール後方にウエイトを配置したことでトゥ・ヒール、上下方向の慣性モーメントがアップ。後方ヒール側にボリュームを持たせることでMOIヘッドでもフェースが返りやすくなった。
フェースには反発力の高い「ATI425チタン」を採用。打点がブレてもボール初速が落ちにくい。そして『TSi3ドライバー』よりもシャローフェース・バックで球が上がりやすい。

クラブ名タイトリストTSi2ドライバー
ヘッド素材ボディ:チタン、フェース:ATI425チタン
ロフト角9.0、10.0、11.0*度 *はカスタム対応
ライ角58.5度
ヘッド体積460㎤
シャフトTSP110 50(SR、S、Tour S)
TSP322 55(SR*、S、Tour S) *はカスタム対応
Tour AD DI-5(S)
Tour AD DI-6(S)
長さ45.5インチ(TSP110 50、TSP322 55)
45.0インチ(Tour AD DI)
バランス/重さTSP110 50(S):D2/301g
TSP322 55(S):D3/312g
Tour AD DI-5(S):D1.5/311g
Tour AD DI-6(S):D2.5/319g
価格●TSP110 50
75,000円+税

●TSP322 55
75,000円+税

●Tour AD DI(5S/6S)
85,000円+税

TSi3ドライバー

「Sure Fit®CGトラックシステム」を搭載。打点と重心を近づけることでより安定した飛びを実現。伝統的な洋梨形状を採用。つかまりは抑え気味で左に行かない安心感がある。
『TSi3ドライバー』と同じく「ATI425チタン」を採用。フェースの広い範囲で高初速が得られる。『TSi2ドライバー』とよりもディープフェースかつディープバックな形状が風に負けない強弾道を実現。

クラブ名タイトリストTSi3ドライバー
ヘッド素材ボディ:チタン、フェース:ATI425チタン
ロフト角8.0*、9.0、10.0度 *はカスタム対応
ライ角58.5度
ヘッド体積460㎤
シャフトTSP110 50(SR、S、Tour S)
TSP322 55(SR*、S、Tour S) *はカスタム対応
Tour AD DI-5(S)
Tour AD DI-6(S)
長さ45.5インチ(TSP110 50、TSP322 55)
45.0インチ(Tour AD DI)
バランス/重さTSP110 50(S):D2/301g
TSP322 55(S):D3.5/313g
Tour AD DI-5(S):D1.5/311g
Tour AD DI-6(S):D2.5/319g
価格●TSP110 50
75,000円+税

●TSP322 55
75,000円+税

●Tour AD DI(5S/6S)
85,000円+税

テスター
高橋良明(たかはし・よしあき)
1983年生まれ。東京都出身。2013年プロ入会。サザンヤードCC所属。ツアーに挑戦するかたわら、ゴルフ専門紙やウェブメディアでテスターを務める。毎年出る新製品をほぼ打ち尽くす試打のスペシャリスト。

撮影/相田克巳
取材・文/吉田宏昭
協力/サザンヤードカントリークラブ


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