テーラーメイド「P・770アイアン」「P・7MCアイアン」|どっちがやさしい系でどっちが操作系?
試打のスペシャリスト・高橋良明プロがテーラーメイドのアスリートアイアン2機種を打ち比べ
「かっこいいアイアンを使ってビタッと寄せたい」。そんなアスリートマインドをくすぐるのがテーラーメイド『P700シリーズ』。2020年秋モデルの中から中空構造を採用した『P・770』とマッスルキャビティの『P・7MC』をピックアップ。アマチュアゴルファーにとって、よりかっこよく、より気持ちよく打てるのはどちらのアイアンなのか、高橋良明プロが検証する。
シンプルだからかっこいい『P・770』と『P・7MC』
『P700シリーズ』はPGAツアーのトッププロの要望を形にした本物のプロモデル。シンプルな見た目はもちろんのこと、その生い立ちからしてアマチュアにとって一度は使ってみたい憧れのアイアンである。
当初はカスタムオーダー専用モデルとして発売されていたが、人気の高まりに応じてカタログモデルとしても販売されるようになった。同シリーズは2020年秋にモデルチェンジされ、マッスルバックの『P・7MB』など3機種が発売されたが、そのうちアマチュアでも使いこなせる中空アイアンの『P・770』とマッスルキャビティ(いわゆるハーフキャビティ)の『P・7MC』を高橋プロに打ち比べてもらった。
すっきり顔の『P・770アイアン』は中空ヘッドには見えない
まず高橋プロを驚かせたのは『P・770』だ。先代の『P・770』はバックフェースにタングステンウエイトを装着した軟鉄鍛造キャビティだったが、新しい『P・770』は中空構造へと大変身。しかもそうといわれなければ中空とは気付かないほどのコンパクトなサイズに収まっているからだ。
「こんなにトップブレードを薄くできるなんて、中空アイアンの進化にびっくりしました。顔もすごくきれいで、構えた感じはふつうのマッスルバックアイアンにしか見えません」(高橋)
ヘッド自体の大きさは従来からある中空アイアンの『P・790』よりも一回りほど小さくなっている。
「ヘッドが小さくなって、ソールも薄くなったから抜けがすごくよくなっています。これなら操作性も期待できます」(高橋)
ボールを打つと中空アイアンのやさしさが前面に出てくる
それでいて打ってみると中空構造のメリットがしっかり感じられるところが『P・770』の最大の特徴だ。
「先代のキャビティの『P・770』よりもボールが楽に上がって飛ぶようになりました。また、同じ中空の『P・790』よりもシャープな顔になったけれどまったく難しくなってはいません。見た目のかっこよさと打ったときのやさしさがうまく両立できています」(高橋)
中空アイアン特有の打感の問題も『P・770』ではかなり改善されている。
「確かに昔の中空アイアンは打感がよくありませんでした。テーラーメイドの中空アイアンも打感が硬い印象でしたが『P・770』では気になりませんでした。そして何よりも中空に見えないところがいい。これならライバルに引け目を感じることもないでしょう」(高橋)
今までの中空アイアンといえば長い番手がユーティリティ感覚で使われることが多かった。だが、『P・770』はフルセットで使いたくなるアイアンだ。
『P・7MC』には上級者の求める縦の精度の高さがある
『P・7MC』の出来映えは高橋プロを納得させた。
「『P・7MC』と『P・770』は構えたときの見た目は似ていても中身は別物です。『P・770』は左右のミスに強く、フェースの下の方で打っても球が上がります。重心が低くて深いからでしょう。これに対して『P・7MC』の重心はそんなに低くなく、スイートスポットが上下に広くなっています。アイアンで左右にミスすることはあまりなく、縦の距離のブレを気にする上級者やプロにとっては安心です」(高橋)
タイガーばりのスティンガーショットに挑戦したくなる
わざと打点をずらして球筋をコントロールすることも技術があればたやすい。
「左右もそうですが高さを打ち分けるのが一番やさしいアイアンです。高い球はふつうに打てますが、『P・7MC』がとくに真価を発揮するのは低い球を打つときです。インパクトロフトを立てるとフェースの上に当たりやすく低重心アイアンだと球が弱くなりがちです。でも重心がそれほど低くない『P・7MC』ならちゃんと芯に当たります。タイガー・ウッズのように低くて強いスティンガーショットも打てます」(高橋)
ただし、『P・7MC』を使いこなすにはある程度のパワーも必要だ。
「ロフトがかなりあるので、意識してヘッドを上から入れないと番手通りの飛距離が出ません。とくにシャフトが『ダイナミックゴールド』の場合はかなり重くなるので体力が要ります」(高橋)
最近は軟鉄鍛造といえどもロフトを立てたり異素材を複合したり飛び系の要素を取り入れたアイアンが増えているが、『P・7MC』は正真正銘のアスリートアイアンだ。
テーラーメイド「P・770」アイアン
クラブ名 | P・770アイアン |
---|---|
ヘッド素材 | [#3〜7]ボディ:軟鉄(8620)鋳造+タングステンウエイト、フェース:クロモリ鋼(4140)鍛造 [#8〜PW]ボディ:軟鉄(8620)鋳造、フェース:クロモリ鋼(4140)鍛造 |
番手/ロフト角 | 3I/19.5度 4I/22.5度 5I/25.5度 6I/29度 7I/33度 8I/37度 9I/41.5度 PW/46度 |
シャフト | スチール:Dynamic Gold EX Tour Issue(S200)、N.S.PRO MODUS3 TOUR105(S) |
長さ(5I) | 38インチ |
バランス/重さ(#5) | Dinamic Gold EX Tour Issue(S200):D2/432g N.S.PRO MODUS3 TOUR105 (S):D2/411g |
価格 | ●Dinamic Gold EX Tour Issue 6本セット(#5〜9、PW):156,000円+税 単品(#3、#4):26,000円+税 ●N.S.PRO MODUS3 TOUR105 6本セット(#5〜9、PW):156,000円+税 単品(#3、#4):26,000円+税 |
テーラーメイド「P・7MC」アイアン
クラブ名 | P・7MCアイアン |
---|---|
ヘッド素材 | 軟鉄(S25C)鍛造 |
番手/ロフト角 | 3I/20度 4I/23度 5I/26度 6I/30度 7I/34度 8I/38度 9I/42.5度 PW/47度 |
シャフト | スチール:Dynamic Gold EX Tour Issue(S200)、N.S.PRO MODUS3 TOUR105(S) |
長さ(5I) | 37.75インチ |
バランス/重さ(#5) | Dinamic Gold EX Tour Issue(S200):D2/435g N.S.PRO MODUS3 TOUR105 (S):D2/414g |
価格 | ●Dinamic Gold EX Tour Issue 6本セット(#5〜9、PW):144,000円+税 単品(#3、#4):24,000円+税 ●N.S.PRO MODUS3 TOUR105 6本セット(#5〜9、PW):144,000円+税 単品(#3、#4):24,000円+税 |
テスター
高橋良明(たかはし・よしあき)
1983年生まれ。東京都出身。2013年プロ入会。サザンヤードCC所属。ツアーに挑戦するかたわら、ゴルフ専門誌やウェブメディアでテスターを務める。毎年出る新製品をほぼ打ち尽くす試打のスペシャリスト。
撮影/相田克巳
取材・文/吉田宏昭
協力/サザンヤードカントリークラブ
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