タイガー・ウッズが育んだ新しい家族の形
佐渡充高のテレビでは語れなかったPGAツアー
ゴルフ番組やゴルフ雑誌ではあまり語られることのないトピックを、ゴルフジャーナリストやトーナメント中継の解説者として活躍する佐渡充高が取り上げ、独自の見解とともにお届けします。今回は誰もが憧れ、愛するゴルフ界のスーパースター、タイガー・ウッズのお話。※この記事は、2021年2月23日以前に執筆されたものです。
GOLF TODAY本誌 No.585/99ページより
長男チャーリーのイーグル奪取に大喜びの“タイガーぱぱ”
昨年12月、タイガー・ウッズ(45歳)はメジャー勝者が親子で組み競うPNC選手権(フロリダ州)に長男チャーリーと初出場。20組強豪ペアとの2日間バトルでウッズ父子は、勝者ジャスティン・トーマス父子に5打差の7位タイと大健闘した。チャーリーは史上最年少出場11歳とは思えぬプレーで初日に見事イーグル奪取! 息子のスーパープレーにウッズは驚きと喜びにあふれ満面の笑みだった。
ウッズの現パートナーのエリカ・ハーマン(36歳)、元妻エリン(41歳)、長女サムも(13歳)一緒に見守り歓喜! チャーリーはホールアウトを待ちかまえていたエリカにしがみつき熱いハグ。10年という歳月を経てたどりついた新しい家族の形を象徴するシーンだった。
ウッズは09年12月スキャンダルで家族を失った。当時チャーリーは生後9カ月、妻エリンと別居し翌年離婚。エリンが子供の親権を得て、条件はウッズ宅近くに住むこと等だった。ウッズは学校送迎やスポーツ観戦に連れていくなど、子供たちと一緒にいる時間を最も大切にしてきた。エリンは子育てをしながらフロリダ州ロリンズカレッジで心理学の勉学を続け、6年前に卒業。最優秀の成績で卒業生代表としてスピーチをした。テーマは「シングルマザーの子育て」。ウッズにも相談しながら内容を練ったそうで元夫婦は親友のような関係に。一昨年、エリンは交際中の元NFL選手ジョーダン・キャメロン(32歳)との間に息子アーサーが誕生し新たな人生を歩み始めた。
一方ウッズは、自身経営レストランのマネージャーだったエリカと2017年から同居。彼女は抜群のマネジメント能力でウッズを公私共に支え、潤滑油的な役割を果たしている。エリンの出産前後は負担を減らそうとウッズとエリカは子供たちを伴いウッズの母の母国タイに長期滞在。2018年全英オープンでウッズ惜敗後も応援で同行した子供たちと4人でフランス旅行をするなど、エリカは育ての母のような存在だ。
エリンの父はスウェーデンのラジオ局政治記者。母は子供の人権や福祉の専門家で、スウェーデン外務大臣、州知事などを歴任。両親は離婚し少女時代のエリンは双方の親を行き来しながら成長。エリンの現状と似た経験がある両親は、先輩としても良き相談相手のようだ。
チャーリーはサッカーの大ファンだったが、コロナ禍で父と一緒に過ごす時間が増えゴルフに覚醒。メキメキ上達しジュニア大会で2勝後、大好きな父とペアで今回の試合出場を切望した。兄になった自覚もあり、堂々のプレーで拍手喝采! 父をしのぐ話題をふりまき世界のゴルフファンを釘づけにした。長女サムも母に並ぶ身長となりロングヘアーが似合う少女に成長。ウッズは子供たちから得た喜びと刺激を胸に45歳のシーズンをスタートする。
●文/佐渡充高
さど・みつたか
上智大学法学部卒業。1985年に渡米し、USPGAツアーを中心に世界のゴルフを取材。NHKゴルフ解説者。
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