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PGAツアーに治療デバイス公式導入「マッサージガンでリカバリーショット!」

佐渡充高のテレビでは語れなかったPGAツアー

2021/01/26 ゴルフトゥデイ 編集部

ゴルフ番組やゴルフ雑誌ではあまり語られることのないトピックを、ゴルフジャーナリストやトーナメント中継の解説者として活躍する佐渡充高が取り上げ、独自の見解とともにお届けします。

GOLF TODAY本誌 No.584/115ページより

リカバリーステーション設置は選手たちからの強い要望が背景に

昨年11月PGAツアーは「ハイパーアイス社と提携し、リカバリーステーション設置と回復デバイスの携行許可」とのメールをPGAツアー、チャンピオンズツアー全選手に配信した。 同社は米国トップアスリートの協力で負傷予防、疲労の軽減と早期回復、パフォーマンス向上などに有効な最先端のポータブルデバイスを何種類も開発し、すでに大リーグ、NBAの公認機器に。プロテニスの大坂なおみ選手も愛用者のひとりだ。

PGAツアーの選手たちも強敵ひしめくプロゴルフ界で生き抜くために限界への挑戦を続け、常に負傷と背中合わせ。ツアーが提携を決めた背景には選手の強い要望もあった。

導入最初の試合だった11月第3週のRSMクラシックでは練習場にステーションが設けられ、デモンストレーョンや選手への直接対応も行われていた。画期的なのはポータブルのガン型器を携行し、プレーの最中でも使用可になったことだ。身体に何らかの異変を感じた際、プレー遅延を避け、同伴競技者へ配慮した上で、タイムリーに応急手当ができる。最も人気があるのはガン型のもの。強い振動で深部筋肉の活性や筋膜ケアに効果が期待できるという。

これまでツアーでは多くの選手が試合中に負傷などによる途中棄権を経験している。 最近ではツアー12勝ジェイソン・デイが、CJカップ最終日6位で迎えながら首痛で棄権。

9月全米プロ選手権で3連覇を狙うブルックス・ケプカはプレー中に臀部に強い痛みを発症、その場で地面に横たわり帯同トレーナーにストレッチとマッサージを受けていた。ケプカのように全選手がトレーナー同行のプレーができればいいが、現実はかなり難しい。

2020全米プロゴルフ選手権の2日目、12番ホールのロープ外で帯同のトレーナーにストレッチを受けるブルックス・ケプカ。

身体ケアの重要性を誰より痛感しているのはタイガー・ウッズかもしれない。前人未到の活躍も、猛練習と限界トレーニングの反動で満身創痍。栄光の歴史は負傷の歴史でもあった。

帯同トレーナー飯田光輝氏によるコンディショニングでプレーに集中する松山英樹を見て「キャリア当初からそうしていれば」と悔やんでいるかもしれない。

効果的トレーニングによる身体の進化、スイング洗練の一方で負傷者が減らない状況をずっと残念に思っていただけに今回の出来事を大きな転換にしてほしいと願わずにいられない。

ツアー公式HP「アクティブ」(PGA Tour.com/Active) には選手たちのトレーニング風景やサーフィンなど趣味の動画が公開され、鍛え方の多くのヒントを得ることができる。それに加え2021年は「ケア&リカバリー」のノウハウ動画も続々アップされるのを楽しみにしたい。祈願! 負傷者ゼロへ!

●文/佐渡充高
さど・みつたか
上智大学法学部卒業。1985年に渡米し、USPGAツアーを中心に世界のゴルフを取材。NHKゴルフ解説者。


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