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ナンシー・レーガン大統領夫人登場ではじまった!妻たちのPGAツアー

佐渡充高のテレビでは語れなかったPGAツアー

2022/02/02 ゴルフサプリ編集部

 ナンシー・レーガン大統領夫人登場ではじまった!妻たちのPGAツアー

ゴルフ番組やゴルフ雑誌ではあまり語られることのないトピックを、ゴルフジャーナリストやトーナメント中継の解説者として活躍する佐渡充高が取り上げ、独自の見解とともにお届けします。

GOLF TODAY本誌 No.596/115ページより

一流プレーヤーの妻も、やっぱり一流のようです

PGAツアー選手夫人による「ツアー・ワイブス・アソシエーション」はツアーの活況を大きくバックアップしている。チャリティ活動、子供支援の募金活動やボランティアで試合開催地域との絆を深め、今や大会成功に欠かせない存在だ。

組織結成のきっかけはホワイトハウスへの熱烈ラブコール。75年全米オープン勝者ルー・グラームの妻パッツィは家族一丸でツアーを盛り上げたい! と「妻たちのチャリティコンペ開催」が願いだった。米プロスポーツ界は政界と関りが強く、パッツィはいきなりホワイトハウスに直談判、何度も何度も電話でコンセプトを説明。あまりの熱心さに当時の大統領ロナルド・レーガンのナンシー夫人が動くことになった。

34年前(87年3月)ザ・プレーヤーズ選手権の週にシークレットサービスに囲まれた夫人が鮮やかなゴルフウェアにサドルシューズ姿でフロリダ州の会場に登場、第一回大会が実現した。J・ニクラスやL・トレビノら大スターらがプレーする妻のキャディを務め、かつてないイベントにギャラリーも大喜び! 多額の収益金は現地近くに夫人が創設した薬物リハビリ施設に全額寄付され大ニュース、政権もツアーも大成功を収めた。

大切な職場であるツアーのためにと妻たちは団結し、その翌年に非営利団体としてPGAツアーと下部ツアー選手の妻たち121人で組織を発足。多くのサポーター、企業の協力も得て試合開催地の活動と連動し様々なイベントを開催。中でも20歳で初観戦して以来の熱狂的ファンで「PGAは人生の一部」と言う俳優クリント・イ―ストウッドの協力やアイデア提供は大きかった。

前書きはクリント・イーストウッドと妻のダイアナによるPGAツアーへの愛ある一文が掲載されている。

前書きはクリント・イーストウッドと妻のダイアナによるPGAツアーへの愛ある一文が掲載されている。

各地での交流会や多額のチャリティでファンが急増し、熱い声援と拍手へつながっていった。コロナ禍で試合中止だった20年も「できることがあるはず」とオンラインオークションを催し、J・トーマスやR・ファウラーら提供のキャディバッグなどによる収益を各開催地のフードバンク、特別学校などに寄贈。

テネシー州開催セント・ジュードのクラブハウスには毎年大きなクリスマスツリーが用意され選手提供のボール、手袋などを夫人たちが飾りつけるのが恒例で、これもオークションの収益を地元小児病院に寄贈。ツアー再開後は選手たちも家族と一緒に各地の学校、病院、施設訪問を再開し気持ちのキャッチボールを行っている。

現在の会長ロジャー・スローンの妻ケーシーは、ビジネスマーケティングの経験を活かし活躍中。役員たちは広告代理店、小学校教員、金融関係、看護師など培った経験から知恵を出し合いツアーや家族の未来のため奮闘し続けている。

数多く実施されたチャリティイベントの写真も。
数多く実施されたチャリティイベントの写真も。
仲睦まじいフィル・ミケルソン一家も登場。
仲睦まじいフィル・ミケルソン一家も登場。

●文/佐渡充高
さど・みつたか
上智大学法学部卒業。1985年に渡米し、USPGAツアーを中心に世界のゴルフを取材。NHKゴルフ解説者。


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