ベン・ホーガン たぐり動作が生むシャローインパクト
アイアンが際立つ!強い”決め球”の作り方[第6回]
弾道を安定させるには、ヘッドがゆるやかに入るシャローなインパクトゾーンがベスト、と森プロ。ヘッド軌道は原則的に円弧を描くが、たぐり動作でより直線的な動きに近づけることが可能になるという。
GOLF TODAY本誌 No.596 73〜77ページより
前方に「押すベクトル」が“決め球”の精度を上げる
ほぼ直線軌道はたぐり動作で実現できる
フェードでもドローでも、飛距離や方向性の精度を上げるには、インパクトの再現性が大切。それには、シャローなヘッド軌道が一番有効だと森プロは言う。
「地面にある球には、上からヘッドを打ち込みたくなりますが、それだとインパクトロフトやスピン量が変わりやすく、弾道がまとまりにくくなります。ヘッドの入射角をなるべくゆるやかに、低く長い、直線的なインパクトゾーンを作ることで、弾道の安定性はグッと高くなります」
だが、ヘッド軌道は円弧を描くはず。直線的に動かそうとすると、無理が生じてヘッドスピードが落ち、逆に乱れるのでは?
「それを実現するのが〝たぐり動作〟です。グリップエンドのたぐり込みで、ヘッドを本来の円弧より内側に引きつけることで、より直線に近い軌道にすることができます。ヘッドの動きを目標へ〝押すベクトル〟にできます」
トレビノの超シャローインパクト
手元のたぐり動作がストレートゾーンを作る
<たぐり動作のヒント>グリップエンドは左腰に引きつける
タテに引き上げるとフックになりやすい
右手のスナップに合わせてたぐる
「インパクト手元が首の下まで来たくらいで、左手をたぐり始めると、右手のスナップ動作と上手く合います。グリップエンドは左腰に引きつけて、スナップでヘッドを出すイメージで、シャローインパクトになります」
フラットプレーンのほうがショット精度は上がる
アップライトでもフラットでもインパクトは共通
「タテに振ったから方向性が良くなる、というのは錯覚。プレーンの角度では、インパクトゾーンの精度は変わりません。むしろフラットのほうがシャロー軌道を作りやすくなります」
合うイメージは「右肩を下げてサイドスロー」
「シャローインパクトをイメージすると、タメを早めにほどいてヘッドを落とし、ひたすら円弧を大きくしようとする人がいますが、それはダメ。フェースコントロールも効かなくなり、パワーもロスします。タメながら、低く入れるにはインサイドから振ることと、右肩を下げることです」
右肩を下げても、頭が下がらなければダフらない、と森プロ。
「右肩を下げることで側屈が入り、手元が先行しやすくなります。そこで、グリップエンドを左腰方向にたぐり込むと、ヘッドの下降と手元の上昇が相まってシャローなヘッド軌道が実現できます」
手元を引きつけ過ぎると、カット軌道にならないのだろうか。
「ヘッドをインサイドから低く入れているので、たぐりが甘いと逆にドローやフックになります。むしろカットするくらいをイメージしたほうが、違和感なく身につけやすい動きだと思います」
Ben Hogan
ベン・ホーガン(1912~1997)
アメリカ・テキサス州出身。身長173㎝、体重68㎏。ツアー通算64勝。メジャー3勝後の1949年に自動車事故で瀕死の重傷を負うが、翌年に復帰。以後、メジャーでは1953年の3冠を含む6勝を加え、グランドスラマーに。1948年に『パワー・ゴルフ』、1957年にレッスンのバイブルと呼ばれる『モダン・ゴルフ』を著し、現代でもそのスイング理論は多くのゴルファーに影響を与え続けている。
ホーガン アナリスト
森 守洋(1912~1997)
ベン・ホーガンを手本としたダウンブローの達人・陳清波に師事。現在もホーガンの技術研究に余念がない。
イラスト/久我修一 取材協力/東京ゴルフスタジオ
【アイアンが際立つ!強いスイングの作り方】
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