ベン・ホーガン スピン量を変えるヒンジング動作
アイアンが際立つ!強い”決め球”の作り方[第7回]
最近は、トップで左手を“掌屈”するプロが目立つが、ホーガンは逆。甲側に“カッピング”していた。「この違いは、インパクトでのフェースのタテ回転とスピン量の増減に大きく影響します」と森プロは言う。
GOLF TODAY本誌 No.597 73〜77ページより
フェース上端の加速度でスピン量の大小が決まる
フェースを〝立てる動き〟が抑えられる
最近、トップの位置で左手首が手のヒラ側に曲がる〝掌屈〟動作を行うトッププロが目立つ。ホーガンの、甲側に曲がる〝カッピング〟とは真逆の動きだ。
「よく、つかまりが良くなるとかフェースターンの量が少なくなるとか言われますが、一番のポイントは、インパクトエリアでのフェースのタテ回転が減り、打球のスピン量が抑えられることです。だから、持ち球がフェードでもドローでも、余計なスピンを減らして強い弾道を打ちたいプロが採用しています」
手首を甲側や手のヒラ側に曲げる動きは〝ヒンジング〟だが、この手を左右に動かす、うちわをあおぐようなリリースを行うことで、フェースの上端がソールを追い越す加速度や運動量が抑えられる。「フェースの上と下がほぼ等速で動くので、フェースが立つ方向に回転しません。だから、バックスピンが減少するんです」
シャット=スピン量(減)
オープン=スピン量(増)
左手の“掌屈”動作はスピン量を抑える技術
ヒールとシャフトを背中側に倒し込む
うちわをあおぐようにヒンジングをほどく
<スナップ+ヒンジング>〝掌屈〟は右手主体のスナップ動作に従う
トップの位置は右手で決める
シャフトを立てず背中側から下ろす
“カッピング”のホーガンはフェースを開き切る
トゥをめくるように下げるとタメが効く
スナップを補助する左腕のローリング
スナップ動作を使えることを最優先にする
「トップからの左手の〝掌屈〟は、リー・トレビノやトム・ワトソンといったレジェンドや、ダスティン・ジョンソン、ジョン・ラーム、コリン・モリカワといった現代のトッププロも採用しています。
ですが、ホーガンは逆の〝カッピング〟を採用してスピン量を確保していました。私の師匠の陳清波も、ダウンではフェースの背面を落とすように、とフェースを開く動きを教えてくれました」
要は、打球時にフェースを起こす動作の違いでスピン量を増減させるテクニック。基本ではなく応用技術だが〝決め球〟を作る手段としては非常に有効だという。
「ただ、左手首のヒンジング動作なので、左手主導で考えがちですが、あくまで右手のスナップ動作を主体にすべきです。スナップ動作を促すように〝掌屈〟や〝カッピング〟を採用すると、振り遅れやリリースのミスなく、安定したスイングと弾道を得られます」
Ben Hogan
ベン・ホーガン(1912~1997)
アメリカ・テキサス州出身。身長173㎝、体重68㎏。ツアー通算64勝。メジャー3勝後の1949年に自動車事故で瀕死の重傷を負うが、翌年に復帰。以後、メジャーでは1953年の3冠を含む6勝を加え、グランドスラマーに。1948年に『パワー・ゴルフ』、1957年にレッスンのバイブルと呼ばれる『モダン・ゴルフ』を著し、現代でもそのスイング理論は多くのゴルファーに影響を与え続けている。
ホーガン アナリスト
森 守洋(1912~1997)
ベン・ホーガンを手本としたダウンブローの達人・陳清波に師事。現在もホーガンの技術研究に余念がない。
イラスト/久我修一 取材協力/東京ゴルフスタジオ
【アイアンが際立つ!強いスイングの作り方】
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