NBA最高のシューターステフィン・カリーのゴルフ愛あふれる二刀流

2015年12月号米ゴルフダイジェスト誌のカバーに登場したステフィン・カリー。

PGAツアー3季目で未勝利のウィル・ゴードン（26歳）は、NBA最高のシューター、ゴールデンステート・ウォリアーズのステフィン・カリー（34歳）との親交で知られる選手だ。

2人は学生時代からのゴルフ仲間で、ゴードンはカリーの活躍を原動力に奮闘、カリーはゴードンの成長を願い応援を続けている。

ゴードンはノースカロライナ州出身で両親は地元デイビッドソン大学バスケットボール部のホストファミリーを長く続け、部員とも家族ぐるみの関係だ。

同校バスケ部だったカリーも度々遊びに来ていて、いつしか2人はゴルフのスパーリング相手になっていった。

2019年プロ転向したばかりのゴードンが推薦出場したRSMクラシックで優勝争いに敗れ10位タイ終了。その直後、中継を見ていたカリーから「誇りに思う」とメールが届くなど交流が続いている。

カリーはNBA名選手でゴルフ好きの父デル・カリーの影響で幼少期からプレーをはじめ、NBAで活躍中の弟セスと父子揃って仲良くコンペに出場するなど微笑ましい様子が話題だ。

カリーのゴルフ好きはあまりにも有名だが、彼にとって単なる趣味ではない。少年時代から本気で取り組み、バスケのボールよりはるかに小さなゴルフボールに翻弄されつつゴルフとゴルファーへの思いは募るばかり。

松山英樹がマスターズ優勝の際にも自分のことのように喜びツイッターで「Bigups!」（凄いぜ！）と大興奮。2カ月後メモリアのプロアマ戦で松山との同組プレーを心待ちにしていたそうだ。

2019年初めてリリースした自身デザインのゴルフウェアを着用。帽子にはOKのトレードマーク。シャツの鮮やかな花柄はゴルフ愛の告白のように感じた。

2018年にはオレゴン州出身選手スコット・ハリントンの妻ジェンが悪性リンパ腫で闘病と知ると「治療費の一部に」と2万5000ドルを贈るなど、いつも選手たちに思いを馳せている。

2019年から全米プロゴルフ協会協賛でアイシャ夫人とともにチーム戦によるチャリティコンペを開催し、約1億5000万円を寄贈。全米ジュニア協会とは恵まれないジュニアたちの遠征費などを全面支援。

2021年からは黒人のハーバード大学と言われ、カマラ・ハリス副大統領などパワーエリート多数輩出のハワード大学（ワシントンDC）ゴルフ部強化を目指し6年計画で支援を開始。

カリーのサポートでメキメキ実力をつけ今年5月ウェルスファーゴ選手権に3年生グリゴリー・オドムが推薦出場を果たした。

●文／佐渡充高
さど・みつたか
上智大学法学部卒業。1985年に渡米し、USPGAツアーを中心に世界のゴルフを取材。NHKゴルフ解説者。