右ヒジ支点の感覚でクラブをオンプレーンに

右手の感性はシンプル動作に落とし込む

ラリー・ネルソンは右手をおとなしくさせる左腕リードでスイングを完成させたが、デビッド・レッドベターに師事し、全英オープン1勝、全米プロ2勝を挙げたニック・プライスは真逆、と森プロ。

「基礎練習ではもっぱら右手だけでアイアンを打ち、右手主導で安定感抜群のオンプレーンスイングを極めました。テンポの速さも、クラブの動きがシンプルな証拠。

器用な右手(利き手)は、無意識にインパクトで合わせるような動きになりやすく、そのためショットのバラツキやミスの原因になりがち。それで〝右手を使うな〟というレッスンも多いわけですが、テニスや卓球など、片手で打面コントロールする球技は当然利き手を生かしています。ゴルフだけ別というのはおかしい」

右手を使わないようにするよりも、右手の正しいシンプルな動かし方を覚えるほうが、上達が早まる可能性も高いという。

左腕をかわさないと右手がこねる動きに

グリップエンドを支点にヘッドを走らせようとすると、右ヒジが外れて右手でこねる動きになりやすい(下)。左腕をかわし、グリップエンドをたぐり込むから右手で叩いていける(上)。

右手で叩ける抜き方

右手とクラブの通り道は右ヒザと左ヒジでクリア

ボールを打ち抜くまで右ヒザを左に流さない

ホーガン流のサイドスローが右腕動作の基本

「ダウンを右ヒジでリードして、目標方向にボールを投げるイメージでリリースする動きは、特に右手主導では欠かせないイメージです。スナップを利かせて右腕を振り抜く感覚をつかんでください」

ヘッドを振ると腕もカラダも動きすぎない

右手主導のメリットは、クラブを必要以上に大きく振り回しすぎないこと、と森プロ。

「飛距離アップを目指すと、トップを高く、フォローを伸び伸びとなど、スイングアークを大きくする意識が強くなりがちです。ホーガンの若いころのオーバースイングも同様ですが、大きなアークにはあまりメリットはありません。

その点、プライスのように右手で叩こう、ヘッドを振ろうと意識すると、クラブはカラダの正面から外れなくなり、スイングは自然とコンパクトになります。

大きく振ろうとすると、腕とカラダが動きすぎてバラバラになりがちですが、右手でヘッドを振る、ホーガン流のサイドスローのイメージなら、カラダも必要十分なだけ、バランスよく動くはず。最初はハーフスイング、スリークォーターで練習して、いかにカラダを動かしすぎずに右手でヘッドを振れるか、試してみてください」

フィニッシュから手元を正面に引き戻す理由

「右手主導のプライスは、フォロー以降でも右ワキは緩みません。トップで左ワキが締まるのと同様に、テンションを維持しているため、フィニッシュの反動で手元が引き戻されます」

ヒールダウンで左脚をロックする

「右手主導でも軸ブレは禁物。プライスはヒールダウンで瞬時に左腰を切った状態にしてロックします。左ヒザが流れず、腰も空回りしない状態から右手で叩き、左ヒジも抜いて上体のターンを促します」

Ben Hogan
ベン・ホーガン(1912~1997)

アメリカ・テキサス州出身。身長173cm、体重68kg。ツアー通算64勝。メジャー3勝後の1949年に自動車事故で瀕死の重傷を負うが、翌年に復帰。以後、メジャーでは1953年の3冠を含む6勝を加え、グランドスラマーに。1948年に『パワー・ゴルフ』、1957年にレッスンのバイブルと呼ばれる『モダン・ゴルフ』を著し、現代でもそのスイング理論は多くのゴルファーに影響を与え続けている。

ホーガンアナリスト 森 守洋

ベン・ホーガン(1912~1997)を手本としたダウンブローの達人・陳清波に師事。現在もホーガンの技術研究に余念がない。


【アイアンが際立つ!強い自分流の作り方】
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