スナップ動作を抑えてスイングマシンに近づく

  • インパクトをイメージし、左腕とクラブを真っすぐ伸ばして構えるラリー・ネルソン。オープンスタンスでボール位置もやや中寄りにしている。

  • ネルソン自身は、ホーガン同様に右脚の位置を変えず、両モモの内側とヒップの外側を引き締めるイメージでターンを行い、手元はクラブの慣性で左親指側に曲がるだけ、という。

両手セパレートで試す

マシンのように軸ブレのない振り方を探求

セルヒオ・ガルシアやホーガンのように、手首や腕のしなやかさでスナップ動作を生かした強打を生む選手もいるが、逆に今年の全米オープンで優勝したブライソン・デシャンボーのように、腕や手首の緩みを排除して、ミート率やヘッドの入射角、弾道安定性を最優先させるタイプのスインガーもいる、と森プロ。

「21歳でゴルフを始め、全米オープン1勝、全米プロ2勝を挙げたラリー・ネルソンが典型的です。上達の過程でホーガンの『モダン・ゴルフ』を読み込んだようですが、ホーガンのスイングとは似ていません。スイングの5つの基本は学び、アレンジしたそうです」

スイングマシンのように、ヘッド軌道を安定させるため、腰やヒザのスライドをなくし、体重移動を最小限に。軸ブレのないスイングは、ボディターンで出力を上げて飛距離を伸ばしたデシャンボーとの共通点も多いという。

手首の柔軟性を生かし深いタメを生んだホーガン

左肩を回してたぐる

“左肩を遠くする”インパクトをイメージ

右ヒジのタックインでカット打ちにならない

ネルソンのチェックポイント「左ヒジと左手甲を下向きに」

フォローの振り抜きはホーガンとそっくり

引いた左肩からヘッドまでを長くすると飛ぶ

左サイドを詰まらせてヘッドを走らせるのは、弾道安定性とは相容れない、と森プロ。

「弾道安定性は、ヘッド軌道、入射角、フェース向きの安定が不可欠です。どこか動きを止めて弾くような打ち方より、加速するヘッドの動きを促すほうが合理的です。

ホーガンもネルソンも、左腰のターンを止めないことを重視していました。さらにネルソンは、左肩をインパクトで後方に遠ざける意識で、アークを最大限に生かし、飛距離アップに成功しています。左肩を引く、というとカラダが開いて振り遅れるカット打ちになる不安があるかもしれませんが、切り返し以降の右ヒジのタックインと、左腕のローリングが伴えば問題ありません。

ネルソンは、極力手元に頼らない意識でしたが、インパクトエリアでは左手甲を下に向ける、ロフトを立てるイメージでフェースをコントロールしていました」

左肩と左腰は“上”ではなく“後ろ”に回す

軸ブレのない体重移動は“前後”で

Ben Hogan
ベン・ホーガン(1912~1997)

アメリカ・テキサス州出身。身長173cm、体重68kg。ツアー通算64勝。メジャー3勝後の1949年に自動車事故で瀕死の重傷を負うが、翌年に復帰。以後、メジャーでは1953年の3冠を含む6勝を加え、グランドスラマーに。1948年に『パワー・ゴルフ』、1957年にレッスンのバイブルと呼ばれる『モダン・ゴルフ』を著し、現代でもそのスイング理論は多くのゴルファーに影響を与え続けている。

ホーガンアナリスト 森 守洋

ベン・ホーガン(1912~1997)を手本としたダウンブローの達人・陳清波に師事。現在もホーガンの技術研究に余念がない。


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