プレーオフを制し大会史上初の複数回優勝
3打差の3位からスタートした岩田寛は、2番パー5でティショットが左に曲がり、ボールは木の根に張り付いた状態に。
この状態から9番アイアンで脱出を試みたが、シャフトが曲がってしまい、ボールもフェアウェイには戻らず。全体で2番目にやさしかったホールをボギーとしてしまいます。4番パー3もスリーパットのボギーで後退したものの、13番からは3連続バーディー。
18番パー4でのプレーオフでは176ヤードから2メートルに乗せ、そこからカップに沈めてバーディー。三つ巴の戦いを制しました。
45歳127日での優勝は、2年前に自身が作った大会最年長優勝記録を更新。また、この大会は2003年から宍戸ヒルズカントリークラブが舞台となっていますが、ここで複数回優勝を達成した初の選手となりました。

14本中11本のクラブのヘッドに鉛を貼っている理由とは?

岩田のバッグを見せてもらうと大会2日目から投入したドライバー(タイトリスト/GTS3)、5番ウッド(テーラーメイド/Qi10)とパター(オデッセイ 2ボール ブレード)以外の、11本に鉛が貼られていました。
また、貼られた鉛の量もツアー選手では見たことがないぐらいの重さとあって、その理由が気になるところです。
そこでその意図を本人に聞いたところ「(クラブの)重さを調整する時にメーカーの人に頼むとシャフトの中に錘(おもり)を入れるんですけど、それが何となく嫌なので、自分で貼っています」とのことでした。
岩田が言うように、ツアーの現場ではクラブの重量調整をする際はシャフトの内側に錘などを入れるため、外見からは判別できません。
そうした際の感触がいまひとつ好きになれず、自分で貼って細かい調整をしているのが理由でしたが、ビックリしたのは52度と58度のウェッジです。

岩田は「ウェッジは特に軽かったのでいっぱい貼っています」と、1枚が5gの鉛をバックフェースに貼っていました。仮に、この鉛を45インチのドライバーのヘッドに貼るとバランスが3ポイントも変わります。1グラムの差でも感じ取る選手たちがいるツアーの現場では、珍しいと例だと言えます。
また、他の番手に貼られている薄いタイプの鉛だとかなりの枚数を重ねる必要があるので、一枚5グラムの鉛を貼っている、ということでした。
ウェッジだけ別モデル。グリップにも表れる繊細なこだわり
前述した2本のウェッジのグリップは、他の番手とは異なるものが使われています。
ドライバーから48度のウェッジに挿さっているのは「MCC」で、52度と58度は「TOUR VELVET」(いずれもゴルフプライド)。

その理由は「アイアンとかに入っているのはコードが入っていてちょっと硬いんですけど、ウェッジは色々な打ち方をしたいので、柔らかい方がいいと思ってコードなしにしています」と説明してくれました。
フルショット中心の長い番手は左手の部分がコード入りになっていてしっかり握れる「MCC」に。繊細な操作をしたり、グローブをしないで打つこともある52度と58度はグリップ全体がラバーになっている「TOUR VELVET」にと、使用用途によってグリップのタイプ(感触)を変えているとのことです。
故・尾崎将司さんに「ずいぶんやさしいアプローチの打ち方をするな」と言われたことがあるという岩田。“やさしい打ち方”をするクラブは柔らかいグリップにして、柔らかく打てるようにしているようです。
45歳になっても進化を追求「もっと飛ばしたい」
日本男子ツアーは今シーズンから獲得賞金ではなく、獲得ポイントのランキングで年間王者を決めるシステムに変わりました。
そのランキングで5位に浮上して年間王者も視野に入る位置になり「そうなれば海外への道も開ける。去年DP(ヨーロッパツアー)に出たらすごく楽しかった」と海外進出にも意欲を見せます。
1月で45歳となった岩田は、今大会の優勝で5年シードを手にし、シニアになる50歳までレギュラーツアーに出られる資格を手にしました。
それでも「もっと飛ばしたい。もっと強くなりたい」と年齢を感じさせない向上心を口にします。通算8勝のうち6勝は40歳以降という岩田は、まだまだ進化を続けそうです。
(取材・文/森伊知郎)



















