相性の良い「全米女子オープン」で見せた復活の兆し

渋野とメジャーというと何といっても優勝した2019年の「全英女子オープン」のイメージが強烈ですが、「全米女子オープン」でも昨年大は7位でトップ10フィニッシュをしています。また、一昨年は優勝した笹生優花と最後まで争っての2位。

コロナ禍で12月に開催された2020年も、極寒の中で優勝争いをして4位でフィニッシュしており、相性の良い大会といっていいでしょう。

その大会で、今年は初日に首位と2打差の3位発進。待望のメジャー2勝目へ期待が膨らみました。結果は17位だったものの、スタッツを見ると今後の復活を予感させる数字がありました。

USGAが計測した渋野のドライバーの曲がり幅は1ヤード!?

「全米女子オープン」」を主催するUSGA(全米ゴルフ協会)は大会のオフィシャルサイトで「Range Cast」という情報を提供していました。

Rangeの名前の通り、ドライビングレンジ(=練習場)でのショットのデータを詳細に計測したものを公開したものです。

ネリー・コルダがカップを掲げている写真の下の紫のバナーの下にある「RANGECAST」と大文字で書かれたバナーのリンク先で下写真のように選手一人ひとりのデータを見ることができる。画像はUSGA公式から引用。

さすがに各ショットの番手までは把握されていないので飛距離によって推測するしかないのですが、渋野は好発進した初日のスタート前の練習で45球打ち、そのうち36~39球目がドライバーと思われるデータでした。

「Range Cast」にはキャリーの飛距離とボール初速。打ち出しと着弾時の角度に加えて左右に何ヤード曲がったかのデータが表示されます。

渋野の36~38球目は曲がり幅が4ヤード。そして、39球目のキャリーで237ヤード飛んで、曲がり幅はなんと右に1ヤードという、ほぼストレートな弾道でした。

会心のショットに満足したのか、その後はクラブを持ち替えて短い距離のショットを6球打ってレンジでの練習を終えていました。

最も過酷な試合で、シーズン平均を大幅に上回るスタッツ

「オープン」の名前が示す通り、予選にはアマチュアでもハンディキャップ2.4以下(男子の「全米オープン」は0.4以下)の実力であれば誰でも挑戦でき、最強の選手を決めるのが「全米女子オープン」のポリシーです。

そのためセッティングもタフなものになります。

その過酷な舞台で、渋野の部門別ランキングのフェアウェイキープ率は現在66.67%(70位)で、今大会の4日間トータルは68%とほぼ同じ。ですが、シーズンの70位に対して、今大会では23位だったので、多くの選手がフェアウェイキープに苦労している中でティショットが安定していたことがわかります。また、最終日も14ホール中10回をフェアウェイキープ(15位)しています。

パーオン率はシーズンが61.81%で今大会は57%と、こちらもほぼ同じでしたが、ランキングはシーズンの138位に対して今大会では26位と大幅にアップ。最終日の83%は全選手の中でトップでした。

バーディー数の12も全体の23位とまずまず。単純計算で1ラウンドあたり3つとなりますが、これもシーズン平均の2.875を上回り、シーズンのトータルバーディー数部門での115位を大きく上回っています。

いずれも4日間トータルの数字とシーズンの数字はほぼ同じですが、年間で最も過酷かもしれない大会で同じ数字を維持することの難しさは、各スタッツの順位の違いが物語っています。

渋野の今シーズンは「全米女子オープン」前までは7試合で4試合が予選落ち。

最高順位も47位にとどまっていました。 その状況からすると、「全米女子オープン」で記録したスタッツは復活を予感させるものといっていいのではないでしょうか。

「まだまだ伸びしろがいっぱい」

復活の手応えを本人も感じているのか、ホールアウト後のU-NEXTのインタビューでは「スタート(初日)が良かった分、こういう終わり方で悔しいですけど、まだまだ自分は伸びしろがいっぱいだと思うしかない」と話していました。

次戦は勝みなみとコンビを組んで出場する「ダウ選手権」。

さらに翌週の「マイヤー・クラシック」まではエントリーしていますが、3週後のメジャー「全米女子プロ」はまだ出場資格がないので、「全米女子オープン」の勢いで出場を果たし、ここでも好結果を出してほしいものです。

(文/森伊知郎)