効率よいインパクトと正確なダウンブロー

シニアゴルファーが7番アイアンのフルショットで常時150ヤード打つということですが、7番はグリーンを狙うことも多い番手です。そうなると、ただ150ヤード飛べばいいというわけではなく、グリーンに止まりやすい高弾道の球を打たなければなりません。アイアンで飛距離と弾道の高さを両立させるには、インパクトにおける効率的なエネルギー伝達と、正確なダウンブローの入射角が不可欠となります。

まずはスイングで生まれるエネルギーをヘッドに伝えるメカニズムから考えてみましょう。頭、腕、上半身、下半身など、体のすべてのパーツがターゲット方向に動くと、いわゆる“体が流れた”状態になります。一見エネルギーがボールに集中するような気がしますが、回転運動のスイングでは逆効果。どこかに支点を設け、そこを中心にクラブが動かないとヘッドスピードは上がりません。車が急ブレーキをかけると車内の荷物が前方へ強く投げ出されますが、これは制動がかかることによって物体にエネルギーが転達されるから。これと同じように、インパクトの瞬間にどこかにブレーキをかけると、体のすべてのエネルギーが一気にヘッドへと移って爆発的なスピードが生まれます。

ターゲット方向である左に体が流れると回転運動が損なわれて平行運動になりヘッドスピードが上がらない。

続いてダウンブローの入射角についてですが、多くのゴルファーは「ダウンブロー=上から鋭角に打ち込む」と考えていますが、アイアンの理想的な入射角は“打ち込む”という表現が不適切なほど緩やかで、7番なら2~3度です。時計の長針が1分間に動く角度が6度ですからどれほど緩やかか! ボールの手前からの距離と高さで換算すると、ボールの50cm手前で高さ約5.5cm、25cm手前で高さ約2.5cmです。つまり、ヘッドは地面スレスレから入るのが正解で、この入射角をイメージすることがファーストステップでになります。

7番でダウンブローに打つ場合の適正入射角は2~3度。アマチュアがもつ打ち込むイメージに比べると極めて緩やかだ。

理想的なダウンブローにならない理由は大きく分けて二つ。一つはすくい打ちで、軸がブレたり右足体重のまま打つことで、ボールの手前からヘッドが上昇軌道になってインパクトロフトが寝てしまいます。もう一つは上から打ち込もうと意識するあまり、上体や頭が突っ込むこと。クラブの軌道がズレてチーピンやヒッカケが出ます。

ボールを上げようとしてすくい打ちになったり、打ちに行って突っ込む。多くのアマチュアは、いずれかの理由でダウンブローに打てない。

インパクト時に左足で「ガシッ」と急ブレーキをかける

さて、お待たせしました。効率的なエネルギー伝達と正確なダウンブローの入射角、二つを両立させる要素となるのが「左足のブレーキ」で、インパクト時に左足(体の左サイド)で「ガシッ」と急ブレーキをかけることです。ブレーキのかかった左足でしっかり体を受け止められると軸ができ、頭を残したままクラブが振られるので、上体が突っ込むことなく理想的な緩いダウンブローでボールをとらえることが可能になります。

インパクト時に左足でブレーキをかけることが、効率的なエネルギー伝達とダウンブローを両立するカギ。

インパクトの瞬間に左足で強力なブレーキをかけるためのキーワードは、下半身を動かすタイミングです。多くのアマチュアゴルファーは、下半身を動かすタイミングが決定的に遅い、という問題を抱えています。インパクトの瞬間に合わせて力を入れたのでは到底間に合わないのです。感覚的にはバックスイングの終盤=トップに至る手前から左足を踏み込み、切り返しでは地面を強く踏み込んでいなければいけません

トップに至る手前、バックスイングの途中で左足を踏み、切り返しで強く踏み込む感じでちょうどいいタイミングになる。

こうして切り返しの瞬間に最大パワーで地面を踏み込めば、その反動として、インパクト以降で勝手に左ヒザが伸びてきます。いわばこれが左足にブレーキがかかった状態というわけです。手前からしっかりと踏み込んで準備しておくからこそ、インパクトでバチッと完璧なブレーキが効くのです。

左足を踏み込んでタイミングよくブレーキがかかるとインパクトで左ヒザが伸びる。

現代の7番アイアンはモデルによってロフト角が多様化していますが、ロフトが何度であれ、ラウンドで使える150ヤードを打つためのポイントは同じ。すなわち、バックスイングのエネルギーを右股関節で受け止め、トップの手前から左足へ強烈に踏み込むこと。そしてインパクトの瞬間に「左足のブレーキ」で体の動きを一瞬で止めることです。メリハリのある下半身の使い方が、シニアゴルファーに効率的なヘッドスピードの向上と正確なダウンブローをもたらします。


解説:中村 修
(なかむら おさむ)

1968年3月26日生まれ。千葉県出身。26歳でゴルフを始め、2005年にPGA入会。PGAティーチングプロB級会員。コーチとして桑木志帆の指導に携わっていた経験もあるが、執筆もこなす。ゴルフクラブに対する造詣も深い。