ルールに適合しながら、ボール初速を上げるために生まれた
今春ミズノから発売された「JPX ONE」シリーズドライバーが大ヒット。同社によればドライバーでは20年ぶりのヒット作だという。ヒット作というものは、複数の要因が合わさって生まれるものだが、「JPX ONE」に関しては複合構造の「ナノアロイ フェース」がその筆頭に挙げられるだろう。
2026年モデルドライバーを見渡すと、ミズノよりも先に、キャロウェイが「クアンタム シリーズ」に複合構造フェース「TRI-FORCEフェース」を搭載し発売。その後ミズノを追うようにプロギアも複合構造の「DUOフェース」を搭載した「RS DUOシリーズ」を発売している。



ポスト高反発がスタートライン
3社で構造と素材が微妙に異なるけれど、開発の背景や目指した機能は同じものだ。開発のスタートラインは、高反発を規制するルールが2008年に施行されたことにある。
2000年にUSGAとR&Aが高反発規制を検討し始めた時点では、圧縮空気でボールを発射してヘッドにぶつけ、跳ね返ったボールの速度を測定することで求められる反発係数で規制しようとしていたが、実際にルール規制の基準として採用したのは、錘をフェースにぶつけた時の接触時間となった。
この接触時間によるルール規制を採用したことが、複合構造フェースが開発されるきっかけとなった。この時クラブ開発に携わるエンジニア達が注目したのは、実際のインパクトの衝撃と接触時間を計るテスト基準の衝撃が大きく異なることだ。

小さな力ではたわまず、大きな力が加わった時に大きくたわめばいい
反発係数ではなく、接触時間で反発を規制すると発表された瞬間に、クラブ開発に携わるエンジニアは衝撃の大きさに違いがあるのだから、小さな衝撃ではたわまず、大きな衝撃が加わった時により大きくたわむものを作れば、ルールに適合しながら、それまでよりも高い反発が得られるものを作ることが可能であることに気が付いていたが、その実現に時間がかかったということだ。
そして、その研究の成果が2008年の高反発規制ルールの施行から約20年のタイミングで、3社から発売された複合構造フェースとして製品化された。同じ時期になったのは偶然の一致でもあり、各社の開発力が拮抗しているということだろう。
開発陣の20年に及ぶ努力に敬意をはらい、是非、多くのゴルファーに複合構造フェースのドライバーを使用して、最新の飛距離を手に入れて欲しい。
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文/大塚賢二(ゴルフギアライター)
1961年生まれ。大手ゴルフクラブメーカーに20年間勤務。商品企画、宣伝販促、広報、プロ担当を歴任。独立後はギアライターとして数多くのギアに関する記事を執筆。有名シャフトメーカーのシャフトフィッターとしての経験も持つ。パーシモンヘッド時代からギアを見続け、クラブの開発から設計、製造に関する知識をも有するギアのスペシャリスト。













