■まずは構造や形状の変化をチェック

タイトリストのドライバーはカーボンコンポジットではなく、ポリマーをコンポジットしていることが他社との違いです。「GTSシリーズ」もポリマーコンポジットですが、「GTシリーズ」はクラウンからトゥ側、ヒール側にヘッドの上部を包むようにポリマーを使用していたのに対して、「GTSシリーズ」はフェース以外のヘッド後方すべてをポリマーで造り、ヘッドの後端にウェイトを装着した構造に進化しています。

「GTシリーズ(左)」はフェースとソールとヘッド後端はチタン、クラウンとトゥ側ヒール側にポリマーを使用していたのに対して、「GTSシリーズ(右)」はソールまでポリマーに置き換えられた構造。

ソールが軽量化された分の重量を、ヘッド後方とフェース側に振り分けられるので、ヘッドの慣性モーメントが向上しています。

それ以外にヘッドの形状も変わっています。「GTS2」は微妙な違いですが、「GTS3」と「GTS4」はそれぞれ、前作と比べて、ヘッド後方のヒール側の膨らみがシェイプされ、洋ナシ形状が強くなっています。

「GTシリーズ」と比較すると「GTSシリーズ」はヘッド後方ヒール側がシェイプされた引き締まった形状に進化。

フェース以外をポリマーとしたことで、引き締まった形状にしながら、慣性モーメントの大きさや重心位置の最適化が可能になったということでしょう。また、「GT4」は430㎤だったのに対して「GTS4」は460㎤にサイズアップしています。それでも構えやすさは、むしろ向上しているくらいです。

「GTSシリーズ」3モデル共に、ソールの後方を持ち上げ、ヘッド後端をやや高くした形状。こうすることで空力特性を向上させている。

■シリーズ全体にやさしさが増している

「GTSシリーズ」を試打したところ、3モデルすべてが前作と比べて球の打ち出しが高くなり、スピン量も少し増えています。その結果前作よりやさしさが増しています。

特に「GTS2」と「GTS4」は前作と比べてやさしさが増しています。構えやすさが向上したのに、やさしさも向上しているということになります。ここが「GTSシリーズ」の一番の進化ポイントと言えるでしょう。

具体的には「GT2」は、形状はやさしそうなのに低スピン傾向が強かったので、ランを含めた飛距離は出るものの、キャリーの安定感が少し不足していました。これに対して「GTS2」は、打ち出し角が高くなり、スピン量も少し増したことで弾道の安定性もキャリーの安定性も増しています。スイートエリアも少し広くなっています。

「GT4」は、低打ち出し&低スピン、球のつかまりも控えめで、つかまり過ぎと上がり過ぎを嫌う超ハードヒッター向けモデルでしたが、「GTS4」はスピン量と球の打ち出しの高さが少し増えたことと、ヘッド体積の拡大でミスヒットにも強くなりました。超ハードヒッター向けからハードヒッター向けに、少しマイルドになった感じです。

「GTS3」は前作との差は少ないものの、私の試打データでは少しスピン量が増えた分、ちょっとやさしくなった印象です。3モデルともに、タイトリストらしい、弾道の操作性は維持されています。

「GTシリーズ」と「GTSシリーズ」の特性を、スピン量と操作性、打出高さと球のつかまりでチャート化すると、3モデルの差とポジションが均等になり、全体的に飛びも追求しながら、やさしくなっている。

前作の「GTシリーズ」では「GT1」だけ特性の差が大きく、「GT2」と「GT3」の差は小さく、「GT4」は超ハードヒッター向けの特別なモデルという位置づけでしたが、今後発売されるであろう「GTS1」の性格が前作に近いものであれば、「GTS1」から「GTS4」までのラインナップで、幅広いゴルファーを綺麗にカバーできるラインナップとなるはずです。

実は、僕自身「GT2」を持っていて、「GTS2」を試打する時に同じシャフトで試打して飛距離を比較しました。「GT2」の方が低スピンなのでランを含めた飛距離は飛んでいましたがキャリーは「GTS2」の方が飛んでいました。最近はレッスンに専念していて試合には出ていませんが、試合で使うなら迷わず「GTS2」を選びます。

解説/高橋良明(たかはし・よしあき)

1983年生まれ、東京都出身。2013年プロ入会。ツアーにチャレンジする傍ら、多くのゴルフメディアでクラブの試打を行って来たベテランテスター。DSPEゴルフスタジオ、ヘッドコーチ。