5Uはやや左寄りにボールを置いた方がクラブの重心特性を活かせる

みなさんもご承知のように、ゴルフクラブは種類によって長さが異なります。例えば5番ウッドと5番ユーティリティ(以下5U)では長さが異なり、ほぼ同じロフト角をもつ7番ウッドと4番ユーティリティを比較しても、ユーティリティ(以下UT)の方が短く作られています。

これは重心の深さとロフト角の兼ね合い、言い換えると、球が上がりやすいかどうかで長さが設定されているためです。ウッドもUTもアイアンも、球が上がりにくい番手はシャフトを長くしてヘッドスピードを補う必要があり、逆に球が上がりやすい番手は、短くても番手に見合ったキャリーを出せるようになっている、というのが基本です。

ですが、今回のテーマである5番アイアンと5Uのように、種類が異なるクラブの間だと、長さが同じになるケースも出てきます。この場合、それぞれの重心位置を考慮して対応するのがポイントです。

5番アイアンと5Uではクラブの重心位置が異なります。ボールを当てたいフェースの芯の位置も違いますから、アドレス時にボールの位置を調整してフェースがボールに当たる角度(入射角)を適正にしなければなりません。

5番アイアン、5Uともに適正な入射角を把握してボール位置を決めるのがクラブの性能を活かすポイント。

アイアンの重心は、低重心モデルを除けば、概ねフェースのやや高い位置にあり、球が上がりにくい特性をもっています。そのため、上からやや鋭角に打ち込んでボールを押し潰すようなダウンブローの軌道で打つのが理想です。こうすることで、やや上めにあるフェースの芯でボールをとらえると同時に、適度なバックスピンを発生させてボールを上げることができます。そして、このロジックを活かすには、アドレスでボール位置をセンターあたりに置くのが合理的です。

5番アイアンでダウンブローに打つには、ボールを体の真ん中あたりに置きハンドファーストで打つのが合理的。

一方、ヘッドに奥行きがあるUTは重心が深い位置にある構造のため、ダウンブローに打たなくても球が上がってくれます。ボール位置を真ん中にしなくても芯に当てることができる。むしろやや左寄りに置くことで、クラブが下降してくる途中の強いダウンブローではなく、スイングの最下点付近、あるいは1度ほどダウンブローに入る程度(ほぼレベルブロー)の緩やかな角度でとらえることができます。無理に打ち込む必要はなく、体の正面をヘッドが通過していくプロセスで自然にボールをとらえれば、クラブの性能によって打球が理想的な高弾道になります。

5Uのボール位置はセンターよりやや左寄り。強いダウンブローにならなければ重心特性で勝手にボールが上がる。

ということで、5Uを利用する際には、球を上げてくれる重心特性を活かすため、5番アイアンよりもボールをやや左寄りにセットするのが正しい対応です。上から打ち込んだり、球を上げようとする意識を捨て、スイングアークの最下点付近でボールをクリーンに払い打つことで、UTの強みであるミスに対する寛容さ、高い弾道といったメリットを享受できます。老婆心ながら、ヘッドスピードが50m/s以上あるようなハードヒッターが5Uを使った場合、打球が吹け上がって飛距離がバラつくリスクがあるので注意しましょう。

ボールをつかまえようとして上から打ち込むと5Uのクラブ特性が活かせない。打ち込み傾向がある人は目線を上げてアドレスしよう。

蛇足になりますが、現在アマチュアゴルファーで5番アイアンを使用する人は減少一途。ヘッドスピード不足で球が上がらないからです。グリーンにボールを止めるには45度以上の落下角度が必要と言われますが、ドライバーのヘッドスピードが40~42m/s付近のアマチュアや女子プロが5番アイアンを打っても十分な高さが出ません。落下角度を確保できず、グリーンをヒットしても止まらずにオーバーしてしまうため、5番アイアンに代わって5Uや9番ウッドを入れるセッティングが主流になっています。

でも、5番アイアンの方が重心が前にあるぶん、方向性を出しやすいというメリットもあります。例えば、広い花道などのスペースを狙い、低く転がしてグリーンに乗せる、といった明確な使い方をすれば、ヘッドスピード40m/sのゴルファーでも5番アイアンの利用価値を見出せるのではないかと思います。


解説:中村 修
(なかむら おさむ)

1968年3月26日生まれ。千葉県出身。26歳でゴルフを始め、2005年にPGA入会。PGAティーチングプロB級会員。コーチとして桑木志帆の指導に携わっていた経験もあるが、執筆もこなす。ゴルフクラブに対する造詣も深い。