ラウンドでは「いいスイング」ができても「いい結果」になるとは限らない
省エネスイングを具現するテクニックはたくさんありますが、今回はちょっと趣向を変え、これまでお伝えしてきたことを踏まえて、この夏のラウンドで試してほしい実戦的な技を紹介します。それはスイングする前のセットアップについて。以前の連載記事でも「ラウンドでは右脳を使う」と話しましたが、それに深く関わる内容です。
話をわかりやすくするためにショットを打つ手順を追って説明していくと、まずやるべきは、これから打つボールの弾道をイメージすることです。ボールの後ろに立ってターゲットを決めたら、ボールとターゲットを弾道で結び「こうやって打とう」、「こう球が飛んでいく」などとイメージします。
アマチュアゴルファーの多くはそれを忘れてスイングのことばかり考えます。やったとしても形式的で、すぐに思考がスイングに向かいます。普段から熱心に練習している人ほどそうなりがち。欲しいのはいい結果なのに、いいスイングを求めてしまうのです。
いいスイングをすれば100%いい結果になるならそれでもいいでしょう。でも、これだと脳の仕事は「いいスイングをする」で終わります。いいスイングが必ずしもいい結果をもたらさない一因はそれで、いいスイングのためだけに脳が頑張ってしまうのです。
それならいい結果だけ求めた方が合理的です。練習やラウンドで経験を積んだシニアゴルファーの脳は、いわばオールインクルーシブ。いい結果を得るために、それなりの対応をするはずだからです。

セットアップと結果を結びつけるには、いま一歩踏み込んだマインドセットをします。例えば飛ばそうと思ったら、ある程度高い弾道の球が必要ですが、そのマインドで構えれば目線は高くなるはずです。逆にアゲンストの風に対して低い球を打ちたいマインドなら目線は自ずと低くなる。クラブを短く持ちたいと思う人もいるでしょう。フェードを打ちたいと思えば左に、ドローなら右に打ち出す構えになる、といったようにマインドがアドレスに反映されます。

アドレスとは本来そういうものです。プロのアドレスはみんなそうで、アドレスを見ればどんな球を打とうとしているかわかります。スイングのデータ化が進んだ今は、例えばスイング軌道が5度インサイドアウトになっている、といったようにスイングを数値化できますが、だからといって意図的に5度カットに振っても直りません。
ところがフェードを打つイメージで構えてみると簡単に直ったりします。タイガー・ウッズも打つ方向に窓をイメージすると言っていますが、そうすることでアドレスが変わり、スイング軌道もヘッドの入射角も自然と変わるのです。

こう言うと「イメージしてもできないから」と言ってやらない人が多いですが、できなくてもいいんです。プロだって毎回イメージした通りに打てるわけではないのですから。でも、やらないことにはできるようにならないし、そもそもの目的は右脳を使ってプレーをすること。すぐに結果が出なくても、続けていくうちに、それがどういうことであるかがわかってきます。
練習ではうまく打てるのに実戦では体がスムーズに動かないのも、左脳がメインのスイングになっているからです。「叩こう」とか「強く打とう」と思うだけでも害がある。そもそも長いドライバーにうまくエネルギーを伝達する方法は人によって違います。腕が長い人はクラブを高く上げてスイングスピードを上げることができますが、短い人には難しい。でも、スイングに奥行きを出せばスピードを上げることができます。山下美夢有プロはその典型で、奥行きを深くしてヘッドが加速する時間と距離を作っています。
最後に一つコツを授けるなら、セットアップでスタンスはばや向きを変える時は、左足とボールの位置関係は変えず、右足を動かして変えるとうまくいきます。いずれにせよ、ターゲットがなければアドレスできませんし、「こういう球を打とう」と思わないとそれに見合ったスイングはできません。ラウンドでスムーズに動けなくなっている人ほどスイングのことばかり考えています。矛盾するようですがこれがゴルフの現実。ここで一旦左脳を解放し右脳を使っていきましょう。


解説:中村 修
(なかむら おさむ)
1968年3月26日生まれ。千葉県出身。26歳でゴルフを始め、2005年にPGA入会。PGAティーチングプロB級会員。コーチとして桑木志帆の指導に携わっていた経験もあるが、執筆もこなす。ゴルフクラブに対する造詣も深い。


















