亀をモチーフにした愛らしさと生物デザインの機能美を両立

「TRTL」とはturtle(タートル)の略。言わずと知れた亀のことだ。言い得て妙とはこのことで、深緑のカラーを纏ったボディを見ると、真ん中の六角形の甲羅から前足と後足が出ている。アドレスしてフェースにボールを合わせるとボールが頭になり、グリーン上にまごうかたなき亀のシルエットが浮かび上がる。

「亀をモチーフにしたデザインがとっても可愛らしい、というのが第一印象でしたが、じっくり見ると単に可愛いだけでなく、マレット特有の“置物感”が亀の輪郭そのもので理に叶っていると思えてきます。俊敏に動くチーターのようなイメージではなく、“ゆっくり、そーっと”といった、ゴルファーがパッティングでイメージする動きに亀さんがマッチしている。それでいて、一度動けば海の中をスーッと泳ぐような推進力も想起させてくれる。コースですぐに使いたくなるような格好良さも絶妙なバランスで同居しています。ヘッドをポンと地面に置いただけで、こんなに楽しいイメージが膨らむパターは初めてかもしれません」(石井)
これまで目にしたことがない深緑色のヘッドも亀の色に由来するが、グリーンと同系のカラーリングのせいか、ヘッドに引かれた白く太いアライメントラインが浮き上がって見え視認性が非常に高い。これは石井も感じたようで、

「そうなんです。太くて白いラインがボールに合わせやすく、真ん中の細いラインはくっきり見えて方向性が出やすい。それだけでなく、太くて特徴的な六角形のヘッドは、目標に対して真っすぐな線をイメージさせてくれます。目標へのフォーカスが徐々に狭まっていくような視覚効果があって、集中しやすと同時にとても構えやすいです。亀のデザインが単なるお飾りではなく、わざとらしさのない生物デザインの機能美を備えているため、パターの推進方向を自然にイメージさせてくれます」
と続けた。
安定感がありながらもフレキシブルにヘッドを動かせる絶妙な設計
では実際に打った感じはどうなのだろう。オデッセイのツアーレップによると「TRTL」の売りの一つはMOI(慣性モーメント)が高いこと。ミスヒットした時にヘッドがブレにくいため、多少芯を外しても球の転がりに影響しないということだが……。

「世界のツアーでブレード型より大型マレットのパターが支持されていますが、それはオフセンターヒット時の当たり負けやブレに対して圧倒的な強さがあるから。デリケートで高速なグリーンをプレーするゴルファーにとって、この安定感は大きな武器になりますが、TRTLも例外ではなく、ヘッドの挙動がすごく安定しています。オフセンターヒットに強い、という前にオフセンターヒットしづらい、と言ってもいいくらいです。というのも、昨今の大型マレットは安定している反面、操作性に乏しい部分があります。それに比べるとTRTLは融通が効く。これはヘッドサイズが大きすぎない、ミッドサイズに留まっているからだと思います。安定感がありながらもフレキシブルにヘッドを動かせる絶妙な設計と言えるでしょう。打感はAIインサート自体の仕上がりがやや硬めな印象で、昔のホワイトホットを彷彿させます。好き嫌いはあると思いますが、インパクトの感覚がボケず、距離感を出しやすいところは一定の層にとって大きなメリットになるでしょう」

石井が感じた通り、インサートは「Ai-ONE」シリーズでも使われていたウレタンとアルミの2層構造。インサートに溝を入れることで、硬すぎない打感に仕上げているという。
ネックで変わる振り心地と進化した「スクエア 2 スクエア」
打感や振り心地はネック形状によっても変わる。現時点「TRTL」にはクランクネック、ダブルベントネック、ショートスラント、ストレートネックの4つのネック形状があり、ストレートネックは「スクェア 2 スクエア」、いわゆるゼロトルク仕様となっている。
ダブルベント

クランク

「打感や振り心地、出球の方向性はネック形状によって大きく変わりますが、私はL字パターのように少しフェイスが開くタイプが好み。TRTLではクランクネックやショートスラントが打ちやすく感じました。これらは一部のマレットパターで発生しがちなヒッカケが出ず、打ちたいライン上に正確にボールを打ち出すことができました。フェース面を常にスクエアに保ちやすいスクエア・トゥ・スクエアも用意されていますが、従来のゼロトルクパターのように“真っ直ぐ動かしなさい!”と強制されているような感覚が薄く、多少ファジーに動かしても許してくれるフレキシブルさを備えています」
ショートスラント

スクエア 2 スクエア

オデッセイのパターでは初搭載となる4つのウエイトも大きな特徴。トゥ側とヒール側の四隅に配したウエイトの配置を変えることで、ストロークタイプに合ったバランスにアジャストできる。ウエイト重量をネックの形状によって変えるといった細かい配慮も光る。その調整機能と打感、転がりの違いについて石井は言う。
「ソールの前後4ヵ所に搭載されたウェイトを入れ替えることで、ユーザーの好みに合わせて前重心(浅重心)と後重心(深重心)を自由に調整できます。基本的には前重心がベースとなっているようですが、ウェイトの配置を変えると、総重量が同じでも持った瞬間の重さの感じ方(バランス)が劇的に変化します。4モデルの中ではショートスラントの変化が大きく、15gと5g、2つづつあるウエイトを前重心にしたらすごく重く感じました。

ダブルベントは前が15g、後ろが10gが標準のようで、前後を入れ替えて深重心にしたらまったく別物ように感じられるほど変化がありました。総じて前重心にすると、やや硬めの打音で、分厚さやずっしりした打感。手元の棒の延長線上で打っているような直線的な感覚が得られ、地面にベタッと張り付くような重たい球で非常に転がりがいいです。後ろ重心では、打感が少し軽く軟らかくなり、後ろから真っすぐヘッドを押してくれるようなオートマチックな安心感が得られます。調子やその日のコンディション、フィーリングに合わせて調整することもできて、使い方によって価値が上がる仕組みだと思います」

では、最後に「TRTL」パターについてまとめてもらおう。
「その前に一つ。今期のモデルから採用されているホームベース型のグリップも推しポイントです。指の引っかかりや手の収まりが抜群にいい。表面の仕上げや加工も変更されており、亀とオデッセイ、双方のマークの合体具合を含めて、ハイセンスで機能的なデザインに仕上がっています。目下のところ4種類のTRTLですが、ネック形状とウェイト調整機能の組み合わせにより選択肢はグンと広くなります。ショップのマットで試打する時は、“カップに入ったか”ではなく、“自分が打ち出したいと思ったラインにストレスなく真っすぐ球が出るか”にこだわってください。TRTLが優れたパターであることを実感できるはずです」

大型マレットながらコンパクトなボディで、安定感を担保しつつ、操作できる余地も備えている。日本発ということで大いに親しみが湧くが、近い将来世界のツアーを席巻していそうな匂いもするエポックメイキングなパターだ。

























