シンプルに軽いぶんだけ速く振れて安定感もあるヴァンキッシュ
前回お話ししたように三菱ケミカルのテンセイは、ゴリゴリのピンポイント対策系シャフト。そうなると一般のアマチュアゴルファーは、ディアマナ一択と考えがちですが、そこで忘れてならないのがヴァンキッシュです。耳慣れない人が多いブランドかもしれませんが、私は個人的に好きなシャフトで、埋もれた感じになっているのがちょっともったいないと感じています。
ヴァンキッシュのキャラクターをざっくり言うなら軽量で高性能。軽いながらもしっかり振れてヘッドが走ります。軽いシャフトは軟らかく、安定性に欠けると一般的には思われているようですが、ヴァンキッシュはスピーディーに振れる割に安定感があります。ゴルファーにはクラブの重さを使って振るタイプと、主に腕力に頼って振るタイプの人がいて、アマチュアの方は圧倒的に後者が多いですが、そんな人にはすごく合うと思います。シンプルに軽いぶんだけ速く振れるということです。
重さは30g台から60g台まで。重量帯からもアマチュアゴルファーのためのシャフトだとわかります。これまで60g台のシャフトを使っていた人が、ちょっとキツくなってきたからと50g台のヴァンキッシュに替えてヘッドスピードを上げにいったら、結構飛ぶようになると思います。軽くはなりますが軟らからかくはなく、しっかり感があってヘッドが暴れません。
メーカーのカタログ表示ではトルクが多めながら、それはあくまで機械の計測数値。打ってみるとねじれる感じがありません。アマチュアの方には、どちらかといえば軟らかめでトルクが少なめが合うと思いますが、今は硬めでトルクが多いモデルを選んでしまっている人が多い。そんな人には是非試してほしいですね。
注意点としては、シャープに振るというより軽くて加速できる感じなので、腕力に頼りながらも手打ちにはならないように気をつけたい。振りやすいけれど、ちゃんと体を使う意識でスイングしないといけません。その意味では普通にヘッドバランスがあるものを使ったほうがいいです。
ディアマナとヴァンキッシュを天秤にかけると、ディアマナはユーザーのスイングにすごく応えてくれるシャフトですが、そこまでやさしくないので、積極的に動いてはくれません。ですから自分主導でスイングの舵をとりつつ強く叩いていける人に向きます。これに対してヴァンキッシュは、シャフトが前向きに仕事をしてくれるシャフトで、ディアマナに比べると動きが大きく爽快に振れると言えます。ついでにテンセイについても言及しておくと、こちらは切り返しで運命が決まるシャフト。切り返しの間の取り方で合うスペックと合わないスペックが細かく分かれます。その点、ディアマナは切り返しが多少ブレてもインパクトで帳尻を合わせてくれるという感じになります。
というわけで、スイングが固まりきっていない、あるいはパワーが落ちてヘッドスピードが上がらなくなってきたゴルファーにはヴァンキッシュが福音となる可能性が高いと言えます。特にアベレジゴルファーは、プロが使っているから、ネームバリューが高いからと、いきなりディアマナに飛びつくのではなく、ヴァンキッシュから入ると振りやすさと特性を実感できます。

吉本巧
よしもと・たくみ ゴルフ修行のため14歳から単身渡米。南フロリダ大在学中は全米を転戦するなど11年間にわたって選手とコーチを経験したのち、日米の20年の経験から吉本理論を構築。プロやアマチュアのスイングコーチをはじめ、フィジカルトレーナー、プロツアーキャディー、メンタルコーチング、クラブフィッティングアドバイザーなども務める。現在は東京・中央区日本橋浜町の「吉本巧ゴルフアカデミー」で指導中。「吉本巧のYouTubeゴルフ大学」も人気。













