山下美夢有、桑木志帆のメジャー覇者と互角に渡り合う

首位に1打差の2位タイから最終日をスタートした吉澤は2バーディー。ノーボギーで回って通算9アンダーでホールアウト。

1組前で回って9アンダーでホールアウトしていた山下とのプレーオフとなり、1ホール目で敗れました。

とはいえ、昨年のメジャー「AIG全英女子オープン」を制し、今シーズンもアメリカLPGAツアーで1勝を挙げて世界ランキングは日本勢最高の6位とまさに「女王」と呼ぶにふさわしい山下と4日間、72ホールを同じスコアで回ったのは素晴らしいことです。

さらに最終日は今年の「AIG全英女子オープン」優勝の桑木志帆に勝みなみという豪華なペアリングとなりましたが、この日のスコアは吉澤が70で桑木は71。勝は72で最もいいものでした。

最終組の3人でボギーを叩かなかったのは吉澤だけです。

今シーズン後半戦で“日本勢トップ”のポイントを稼いでいる

日本女子ツアーは7月の「大東建託・いい部屋ネットレディス」の後に1週のオープンウィークを挟んだため、2週後の「北海道meijiカップ」からが後半戦、と考えるのが一般的です。

この大会で初優勝を挙げたのが吉澤でした。

ここから「日本女子プロ」までに稼いだポイント数を見ると、メジャーを制した桑木の1195.13がダントツとなっていますが、このうち800ポイントは「全英女子」優勝によるものです。

国内の試合で稼いだポイントに限定してみると、優勝の後も5試合でトップ10が2回。

「日本女子プロ」の2位で240ポイントを獲得した吉澤の510.95ポイントがトップです。

なので、現在の日本女子ツアーでは「最も勢いのある選手」ということになるわけです。

昨年「日本女子プロ」でプレーオフ敗戦の桑木志帆は今年メジャー制覇

「日本女子プロ」がプレーオフ決着となったのは2年連続。

大洗GC(茨城)で開催された昨年の大会で金澤志奈に敗れたのは桑木でした。

その桑木は今年メジャー制覇という快挙を達成し、来シーズンからはアメリカLPGAツアーを主戦場とすることになっています。

プレーオフ敗戦は悔しいことですが、吉澤も桑木と同じように大きく飛躍してほしいものです。

QTランキング76位→リランキング2位→初優勝→ポイントランキング8位の大躍進

今シーズンの吉澤の成績を見ると、そう期待させるだけの大躍進をしています。

開幕時の資格は「QTランキング76位」でした。

レギュラーツアーの試合で、自力で出場できる順位がここまで下がることはまずありません。

それが「リゾートトラスト」2位。第1回リランキングの節目だった「ニチレイ」での8位などでリランキングを2位でクリアすると8月に初優勝して、現在のポイントランキングは8位まで上昇しました。

リランキングで2位となり、以降の試合にコンスタントに出られることが決まると「毎週、トーナメントの環境で練習できることがうれしい」と話していました。

スタッツを見るとその言葉通りの成長をしていることがわかります。

昨シーズンに女王、佐久間朱莉を“上回る”成長の示す数字

「ニチレイ」終了時での平均ストロークは71.4194でした。

この時点で部門ランキング8位だったのも立派ですが、最新のスタッツは70.7463で5位に上がりました。

わずか3か月ほどで18ホールの平均スコアを0.6731も良くするのは驚異的なことです。

昨シーズン5勝を挙げて年間女王となった佐久間朱莉の平均ストロークは、初優勝を挙げた「KKT杯バンテリンレディス」の70.6だったのがシーズン終了時には70.0585になりました。

その差は0.5415。

単純な数字だけの比較ではありますが、吉澤は女王を“上回る”成長を示す数字を残していることになります。

「意味のある順位」

プレーオフに敗れた後の吉澤は「最後の詰めが甘いな、というのもわかりましたし、それを次にいかせたらいいと思います」と話しました。

「日本女子オープン」2勝など日本女子ツアー通算8勝を誇る勝みなみとは4日間同組で回り、日々のスコアでは“2勝2敗”と互角に渡り合いました。

ルーキーイヤーだった2024年はレギュラーツアー19試合に出場するも、予選通過はわずか1回。

39ラウンドで60台が一度もなかったことからすると驚異的な“伸び率”です。

再来週には国内メジャー3戦目の「日本女子オープン」(兵庫・宝塚GC)。

11月にはアメリカLPGAツアーの「TOTOジャパンクラシック」(茨城・太平洋クラブ美野里コース)も開催されるので、ここでどんな活躍をしてくれるかが楽しみです。

(文/森伊知郎)