飛ばし屋、神谷そらとの一騎打ちも自分のスタイル崩さず3Wでティショット

プレーオフの舞台となった18番パー4のレイアウトと最終日のピンポジションは、フェアウェイが途切れるギリギリまで飛ばして、残り100ヤードぐらいからピンをデッドに狙いたいところ。

スコアが相手より1打でも悪ければ即敗戦ですから、バーディー狙いとなればなおさらです。

今シーズンの平均飛距離4位の神谷はドライバーだとフェアウェイを突き抜けてしまう可能性があるため、3Wで残り100ヤードぐらいまで飛ばしていました。

佐久間も平均飛距離12位と決して飛ばない選手ではありませんが、神谷と最終組で一緒に回ったこの日はパー3のティショットの番手がほぼひとつ違っていました。

それだけに18番はドライバーで神谷と同じようなポジションまで飛ばす選択肢があったはずですが、神谷が17番でバーディーを奪って通算13アンダーに並ばれた正規の18番も、プレーオフでも一貫して3Wでティショットを打っていました。

2打目の残り距離は正規のラウンドで約30ヤード。

右ラフに入ったプレーオフでは40ヤード近い差が出ました。

神谷はウェッジでピンをデッドに狙えますから圧倒的に不利な状況でもピンは狙わず、冷静に右サイドを狙いました。

池に泣かされた前回のプレーオフと昨年大会

佐久間がプレーオフを戦ったのは今回が2回目です。

前回は2023年の「リシャール・ミル ヨネックス」で、この時はパー5の2打目を池に落として川岸史果に敗れました。

また昨年のこの大会では首位の神谷そらを1打差で追いかけた最終日の17番パー4でティショットを池に入れています。

バーディーを狙いにいった330ヤードと短いパー4(※昨年のヤーデージ。今年は310ヤードの設定)でボギーを叩いたことで優勝した神谷に2打差の3位でした。

昨年の17番を「あれで負けたと思っている」と振り返っているだけに、こうした経験から、自分で勝負を壊してはいけない、と学んだのでしょう。

偶然でしょうが、今回は相手の神谷が2打目を池に落としてボギー。

佐久間のバーディートライは25ヤードと簡単ではなかったものの、確実に2パットでパーセーブして勝利をモノにしました。

ティショットの時点で2打目が相手より30ヤード長くなることを覚悟するのは相当な勇気がいるはずですが、それでも飛ばし屋相手に自分のゴルフを貫くことができるのは女王の強さだといえます。

「年間女王は諦めない」 次の目標はメジャー制覇

今シーズンは開幕戦の「ダイキンオーキッド」で、ツアー史上2人目となる年間(賞金)女王獲得の翌シーズン開幕戦優勝の快挙を達成したものの、夏場には2度の予選落ちをしました。

それが3戦前の「ニトリ」で2勝目を挙げると、早いペースで今シーズン3勝目となりました。

今後の目標を聞かれると「メジャーを勝っていないので勝ちたい思いは強いですし、それができれば年間女王も見えてくるんじゃないかと思うので、最後まで諦めないでプレーしたいです」と話しました。

女王争いは「AIG全英女子オープン」優勝で800ポイントを稼いだ桑木志帆が独走状態で、2位の佐久間とは600ポイント近い差があります。

それでも2週後の「日本女子オープン」(兵庫・宝塚GC)を制することができれば400ポイントを獲得して一気に差は詰まります。

女王のこの強い気持ちが、今後のツアーをさらに盛り上げてくれそうです。

(文/森伊知郎)