ヘッドスピードでいうなら42m/s以上ならプロジェクトX、38m/s以上ならダイナミックゴールド

「ダイナミックゴールド(以下DG)」と「プロジェクトX」は、ともにトゥルーテンパー社の製品ですが、後者はかつてロイヤルプレシジョン社が開発した「ライフル」というスチールシャフトの進化版です。2006年にトゥルーテンパーがロイヤルプレシジョン社を買収したのに伴い、さらなる進化を遂げたのが現行の「プロジェクトX」で、表面に段差のないステップレスデザインがその象徴です。

両者の特徴をひと言でザックリいうと、「DG120」は重量がありネバってしなる。「プロジェクトX」も重量はありますが、こちらはシャフト全体がしっかりしていて、あまりしなりません。ロングセラーである「DG120」は昔からこのしなり方、すなわち手元側がムッツリとしなります。これが打感に大きく影響していて、「DG」ならではの独特のフィーリングを生み出しています。

「プロジェクトX」は全く逆で硬い。ともに重いシャフトなので、誰でも使えるわけではありません。しかし、スイングが固まって、ある程度振れる中上級者にとって双方のしっかり感は魅力。ネバっこく打つか、しならせずに強く叩くかはプロでも好き嫌いが分かれるところですが、ともにスチールでしか得られない絶大な安定感は大きな武器になります。「DG120」にするか、「プロジェクトX」にするかが、今後のゴルフにとって大きな分かれ目になるといっても過言ではありません。

適正ヘッドスピードでいうと、「プロジェクトX」はドライバーのヘッドスピードで42m/s以上、「DG120」なら38m/s以上といったところ。DGの方がカバーできる範囲が広いので、まずは「DG120」、次にプロジェクトXの順に試すべきです。

数字だけ見るとヘッドスピード帯にかなり違いがあるようですが、誤差とは言わないまでも、この程度の差はスイングタイプによって変わる範囲。シャープに振るハードヒッターの場合、「DG」だとしなりによってヘッドが遅れる可能性があります。逆にクラブの重さを使って打つタイプだと「プロジェクトX」は厳しいでしょう。ちなみに、クラブの重さを使ってうつタイプであれば、アベレージゴルファーの中にも「DG120」を使える人がいます。S200(118g)でもX100(120g)でも、重さを使って打てれば、めちゃめちゃ合うという可能性も少なからずあります。

最近の日本ではあまり見かけない「プロジェクトX」ですが、PGAツアーでは使い続けている選手がいます。私的には20歳前後の学生ゴルファーで、めっちゃ振る子が使っている印象が強い。振ることさえできれば、とにかく曲がらないシャフトですから、しっかりスイングできる人でまだ打ったことがない人は試す価値があります。メーカーからするとアイアンでガンガン使ってほしいところでしょうが、曲がらない特性を考えるとウェッジに入れるのも面白い。事実、時たまそういうプロも見かけます。

話のついでに、アベレージゴルファーが使えそうな「プロジェクトX」も見てみましょう。というのも、「プロジェクトX」シリーズには「RED」と「LZ」というモデルがあり、前者は100gから用意されています。後者の「LZ」は110gからで、私がおすすめしたいのは「LZ」の方。「DG」シリーズが重量帯を広げていることもあり、同じ重量のモデルで振り心地を比較できるので、スイングが固まっていない人が自分のスイングタイプを知る上でも有益だからです。

「LZ」は重量が軽いものの、頑なに「プロジェクトX」で、硬さはしっかり温存されています。ですからヘッドスピードもある程度必要。重量が100gの「LZ」は、いわゆる“軽カタ”、それも筋金入りの軽カタになります。アベレージゴルファーがスチールを打つ場合、重くて硬いシャフトより軽カタの方が手強く、全く打てない感じになる人もいます。例えば同じ重量帯の「DG105」のR300(101g)を打ってみるとかなり差が出ます。「LZ」を打って曲がらなくても、必要最低限の飛距離が打てなければ選択肢から外したほうが無難です。

こうして見ると、確かに「LZ」は中量級ですがノーマルの「プロジェクトX」に疲れた人の受け皿という面が大きいかもしれません。「プロジェクトX」の動かない感じが好きだけど「やっぱり『プロジェクトX』だとシンドイ」という人なら「LZ」は合う。ただ、アベレージゴルファーはスイングが固まっていないので、前述したように「プロジェクトXのLZ」と「DG105」を打ってみるのがいいと思います。


吉本巧
よしもと・たくみ ゴルフ修行のため14歳から単身渡米。南フロリダ大在学中は全米を転戦するなど11年間にわたって選手とコーチを経験したのち、日米の20年の経験から吉本理論を構築。プロやアマチュアのスイングコーチをはじめ、フィジカルトレーナー、プロツアーキャディー、メンタルコーチング、クラブフィッティングアドバイザーなども務める。現在は東京・中央区日本橋浜町の「吉本巧ゴルフアカデミー」で指導中。「吉本巧のYouTubeゴルフ大学」も人気。