三菱ケミカルの新アイアン用シャフト「MMT AMC Iron」が女子ツアーに登場

5月21日(木)から開催される「ブリヂストンレディス」の練習日、三菱ケミカルの新しいアイアン用シャフト「MMT AMC Iron」を試す選手たちの姿があった。

三菱ケミカルの公式サイトでは、2026年5月15日付で「MMT AMC Iron 新発売」と発表されているが、この「MMT AMC Iron」は、どんな狙いで投入されたシャフトなのか。

三菱ケミカルのツアー担当者によれば、MMTブランド自体は米国ではすでに長く展開されているものの、日本国内では新しい提案となる。国内では「MCI」が強い存在感を持つ一方で、アイアン用カーボンシャフトに新規性のあるブランド、テクノロジーを持ち込みたいという狙いがあったという。

また、従来の「OT Iron」シリーズの一部が製造終了に向かっていることもあり、その置き換えモデルという存在でもあるようだ。

「MMT AMC Iron」は60g台のRedと85g台のBlueがあり、それぞれフレックスはRとSがある。価格は1本1万2100円(税込)で2026年7月10日発売予定。

ロングアイアンほど軽く、ショートアイアンほど重くなる“AMC”設計

「MMT AMC Iron」の大きな特徴は、製品名にも入っている“AMC”にある。

「AMC」とは「Ascending Mass Concept」の略で、番手ごとに重量フローをつけた設計のこと。つまり、ロングアイアンほど軽くして振り抜きやすく、ショートアイアンやウェッジに近づくほど重く、しっかり振れるように設計されている。

さらに、単に重量を変えているだけではない。ロングアイアン側はやや柔らかく、球が上がりやすい設定。ショートアイアン側に行くほどしっかり感を持たせることで、番手ごとの役割に合わせた自然な流れを作っているという。

ツアー担当者はこう説明する。

「ロングアイアンほど軽くして振り抜きを良くし、球の打ち出しが高くなるように振動数の設定も変えています。長い番手は軽くて少し柔らかく、下の番手に行くにつれて重く、硬くなるフローを設計しています」

ターゲットは、クラブにやさしさを求めるアマチュアゴルファー。特に、長いアイアンをウッドに近い感覚で自然に振りたい人には、かなりわかりやすいメリットがありそうだ。

女子プロはどう感じた? 「上がりやすい」という声も

今回「ブリヂストンレディス」の会場に持ち込まれたスペックは、60グラム台と80グラム台の2種類。ツアー担当者によれば、男子プロ向けというより、完全に女子ツアーでのテストを想定して持ち込んだものだという。

実際に試した選手からは、さっそく反応もあった。

菅沼菜々は1球目を打った際に「すごい上がりやすいですね」とコメントしていた。これは、ロングアイアン側を軽く、やや柔らかくして球を上げやすくするという設計意図と重なる部分だ。試していたのは7番、80g台のSというスペック。

一方で、天本ハルカや尾関彩美悠もテストしたものの、長い番手については「少し柔らかい」と感じたようで、即実戦投入までは確認できていない。

ただし、ここで面白いのは、選手側から「番手によってフレックスを組み合わせる」というアイデアも出たことだ。

たとえば、8番からPWをRにして、5番、6番、7番をSにするような組み合わせ。アイアンセットの中でフレックスを変えるというのは、あまり例のないことだが、重量が逆転しない設計であれば、そうした使い方も可能性としてはあり得るという。

「上の番手をSにして下をRにしたら揃うかも」とのコメントは尾関彩美悠によるもの。
ドライバーのシャフトは三菱ケミカルの「TENSEI Pro Orange 1K」を使用する小祝さくらも「MMT AMC Iron」を試し、球が上がりやすいとコメントしていた。

スチールからの乗り換えより、軽量カーボン派に刺さる新提案

では、アマチュアゴルファーにはどんな人に合いそうなのか。

ツアー担当者によれば、100グラム台のスチールシャフトを使っているゴルファーが、そのまま乗り換えるには重量帯的に少しギャップがある。むしろ、現在も軽量カーボンシャフトを使っている人、ロングアイアンで球が上がりにくい人、振り抜きやすさを求める人におすすめしやすいという。

特に、ロングアイアンで「振り遅れる」「球が上がらない」「番手なりの高さが出ない」と感じている人にとって、長い番手ほど軽く、やや柔らかくなる設計は大きなメリットになりそうだ。

アイアン用シャフトというと、どうしても重さや硬さをそろえるイメージが強い。しかし「MMT AMC Iron」は、番手ごとの役割に合わせて重量やしなり感を変えることで、セット全体の打ちやすさを高めようとしている。

女子ツアーの現場でどの選手が本格投入するのか。そして、アマチュアゴルファーにとって新しいアイアン用カーボンの選択肢になるのか。今後の動向に注目したい。