ゼロスは超高弾道、850は高弾道、ネオは中低弾道のイメージ

「N.S.PRO 850GH neo」(以下ネオ)、「N.S.PRO 850GH」(以下850)、「N.S.PRO Zelos8」(以下ゼロス)の3機種は、すべて重量が80グラム台。いわゆる軽量スチールシャフトに分類されますが、それぞれが全く異なったキャラクターです。

結論から言うと、もっともやさしいのがゼロス。軽くてしなやかで振りやすく高弾道の球が打てます。次にやさしいのが850。定番になって久しい軽量シャフトの雄N.S.PRO 950GHよりさらに軽く軟らかいですが、誰もが一度は打ったことがある950GHと同じタイプのなしなり方をする日本人好みの先調子です。

これらに比べるとネオはまるで別モノ。重量こそ軽いですが振動数が大きくて硬いシャフト。80グラム台の硬さとしてはアンバランスといってもいいくらいで“軽硬(カルカタ)”の極みといった感じです。私的にはちょっとクレイジーな印象ですが、よく言うとしっかりしていて安定感があります。もちろん軽いぶん950ネオよりも楽に打てます。

打球の上がり方で比べるとゼロスが一番上がり、850→ネオの順に低くなります。ゼロスはシャフトが軟らかくしなり、おまけに先調子なのでインパクトロフトが大きくなりやすい。アマチュアの方が打ってもあからさまに球が上がります。感覚的にはゼロスと850が近しい関係で、ネオだけがやや異質。ゼロスが超高弾道、850が高弾道、ネオが中低弾道といったイメージになります。

ゼロスや850は、球が上がりすぎて飛距離をロスするんじゃないか? という疑問を抱く人もいると思いますが、当然その可能性はあります。ですから選び方がすごく大事になる。そもそもこの3機種はヘッドスピードがあまり速くなく、スピン量も少なくて弾道が上がらないプレーヤー向けです。例えばドライバーのヘッドスピードが40m/s以上ある人がゼロスや850を使うと、スピンが過多になり打球が上がりすぎます。適正ヘッドスピード帯はゼロスで30m/s台前半、850で34~36m/sくらい。ネオだけちょっと上がって40m/s台前半。ゼロスは女性やシニアゴルファーでも使えます。

注意が必要なのはやはりネオ。最前から述べているようにちょっと特殊なシャフトで中心部分がすごく硬い。それゆえ安定するというのがウリですが、中調子という触れ込みながら先もちょっと動きます。もしいまネオを使っていてその動きを感じとれないならオーバースペックなので850やゼロスにした方がいいかもしれません。これは950ネオでも同じで、先のしなりを感じなければ850ネオの方がいいと思います。

「850GH neo」は軽いけれど、誰にでもやさしいシャフトではない

最近は950ネオがアイアンセットの純正で入っていることが多いですが、ネオはフィットする層がめちゃくちゃ狭いのでアマチュアの方にとっては結構危険です。純正で入っていたからと、そのまま使っている人も多いと思いますが、うまく打てないようならシャフトを疑ってみた方がいいでしょう。

ただ、ネオは現代の大型ヘッドとは比較的相性がいいと言えます。ポケットキャビティやデカヘッド系のアイアンを使っている人がネオにすると、ヘッドのブレが少なくなって左に飛びにくくなり、当たり負けも防げます。ヘッドの飛び性能が活かしやすいということです。逆にマッスルバックにネオを入れると“遊び”がなくなってハードな仕様になります。そもそもマッスルバックはヘッドが小さくて芯が狭い。そこにしなりの少ないシャープに振るタイプのシャフトが入るわけですからね。

もっともデカヘッドとの相性という点では850もゼロスも同様で、ともに相性がいい。この3機種に同じデカヘッドを合わせたとしたら、ゼロス、850、ネオの順にやさしくなります。とりわけゼロスは、ヘッドが大きくシャフトもしなって超絶やさしいコンビネーションになります。初心者向けですが、そこからはじめてもっとうまくなりたいと思ったら小ぶりのキャビティに替えたりするのはあり。850でも同様ですが、ネオではそのセッティングは厳しいです。

逆にヘッドの小さいマッスルバック系を組ませることは極めてまれ。850を使っている女子プロが、小さめのキャビティと合わせることはありますが、アマチュアの方はやっても意味がありません。マッスルバックやハーフキャビティはパワーが必要なヘッド。ヘッドスピードがないと打球が上がりません。せっかく球が上がりやすいシャフトを使っているのに、ヘッドでそのメリットを消してしまう。だから意味がないのです。

吉本巧
よしもと・たくみ ゴルフ修行のため14歳から単身渡米。南フロリダ大在学中は全米を転戦するなど11年間にわたって選手とコーチを経験したのち、日米の20年の経験から吉本理論を構築。プロやアマチュアのスイングコーチをはじめ、フィジカルトレーナー、プロツアーキャディー、メンタルコーチング、クラブフィッティングアドバイザーなども務める。現在は東京・中央区日本橋浜町の「吉本巧ゴルフアカデミー」で指導中。「吉本巧のYouTubeゴルフ大学」も人気。