最終組より2時間早くホールアウトしていた神谷桃歌は「プレーオフはないと思ってくつろいでいました」
プレーオフを戦った7人のうち、最も早い組でプレーしていたのは神谷桃歌でした。
スタートは最終組より1時間40分早い午前9時5分。通算12アンダーでホールアウトした20分ほど前にはアマチュアの長澤愛羅が13アンダーでハーフターン。18番グリーンサイドのリーダーボードにはこのスコアが表示されていたこともあり、待機しつつも「みんなもっと伸ばすだろうから、プレーオフはないと思ってくつろいでいました」。
それが、神谷が18番でプレーしている最中に長澤が10番でダブルボギーを叩いて11アンダーに後退します。
この日のバックナインの平均スコアは35.1563だったので、ほぼ1アンダーでした。
62人がプレーしてバーディーが122個あったので、平均すると選手ひとりで約2バーディーです。
それが11番から5連続バーディーを奪った神谷以外の6人の合計バーディー数は9個という少なさで、しばらくの間12アンダーから抜け出す選手がおらず、どんどん「首位タイ」が増えていきます。
倉林紅は、負けたと思って悔し泣き
7人で2番目にホールアウトした倉林紅は、18番でバーディーを奪って12アンダーとしたものの「正直(優勝スコアは)13アンダーになるだろうと思って、クラブハウスに入った時は悔し泣きをしてしまいました」と打ち明けましたが、なかなか13アンダーにする選手がいません。
17番で一歩抜け出した永井花奈が18番で痛恨のボギーでプレーオフへ
均衡を破ったのは永井花奈でした。
17番パー4で2打目をベタピンにつけるバーディーで13アンダーにすると流れは大きく傾いたかに見えました。
ところが18番でティショットを右に曲げると「ここで決めたい、と思ってエッジから転がしてグリーン奥に外したかった」2打目は右手前のバンカーに入っていまい、パーセーブならず。
これで1984年「美津濃オープン」の6人を上回って史上最多の7人でのプレーオフとなりました。
プレーオフが3人と4人の2組に分けて実施された理由は?
プレーオフは最終ラウンドのスタートが早かった順に神谷、宮澤美咲と前多愛が1組目で。
倉林、菅楓華、長澤と永井の4人が2組目に分かれてプレーしました。
ちなみに全員を同じ組でプレーさせるか。複数の組でプレーさせるかは規定などで決まってはおらず、その時の状況で競技委員が判断します。
今回は1ホール目で菅がボギーを叩いて脱落すると、2ホール目は6人が一緒にプレーしました。
4人が一斉にマーカーを拾い上げるなど、珍しい光景の連続
ここからは珍しい光景が続きます。
1組目は全員がパーでしたが、2組目のスコアが確定しないと次のホールに行く。
あるいは誰かがバーディーを奪って敗退となるかが決まらないので、クラブハウスに戻って待機します。
2組目は菅以外の3人がパーで勝負は2ホール目へ。
選手とキャディー6人ずつを運ぶカートが長い列を作って18番のティーイングエリアへ向かいました。
2ホール目は神谷、前田と永井のバーディーパットが入らず。
いずれもパーパットは「お先に」できそうな距離でしたが、ウィニングパットとなる可能性があること、さらには通常のプレーの倍の6人がグリーン上にいることで他の選手のラインを踏まずにスタンスをとるのがまず不可能ということで全員がマークします。
プレーオフでは敗退が決まった後はホールアウトする必要はありません。
次の倉林のバーディーパットが入ると、2打目をバンカーに入れてパーパットを外した宮澤を含めた4人が一斉にボールを置かずにマーカーだけを拾い上げるという珍しいシーンが見られました。
最後は史上9人目のアマチュア優勝の可能性があった長澤がバーディーパットを外して倉林の優勝が決まり、長い戦いはようやく幕を閉じました。
悔し泣きが一転してプレーオフになり、初優勝することができた倉林は「悔しさが吹っ飛んで、これはもう自分のために回ってきたチャンスなんだ、と思うぐらい強気になりました」と振り返ります。
この3試合で5つも起きた史上○○ 次は何が起こる?
この3試合は史上○○祭り?でした。
2週前の「ニチレイレディス」ではイ・ミニョンが「史上最長」2時間6分。「史上最多タイ」の7ホールのプレーオフを制して「史上最大」となる24位からの逆転優勝をしました。
前週の「EARTH MONDAMIN CUP」は「史上5度目」の月曜日決着。
そして「資生堂・JAL」での「史上最多」7人でのプレーオフと、5つもの「史上○〇」が起きました。
余談ですが、菅は昨シーズン「史上初」の開幕戦から3戦連続最終日最終組の記録を作っており、2年続けて「史上○〇」に名前を連ねるのは、これも史上まれなことかもしれません。
トーナメントの運営サイドは大変なことばかりですが、いずれも熱戦につながっていることばかり。
次はどんな「史上○〇」が起こるのでしょうか?
(取材・文/森伊知郎)














