頭が残せないのは首が動かない状態でアドレスしているから

スイングにおいてアドレス時の首の角度や頭のポジションは、スムーズな体の回転と正確なインパクトを生み出すのに欠かせない、極めて重要なポイントです。シニアともなると普段の生活習慣やデスクワーク、最近はスマートフォン操作の影響により、直立した時に頭が胸椎の上に乗らず、首が前に出てしまっている人が多く見られますが、これをアドレスに持ち込まないだけで飛ぶようになります。

首が前に出て頭が下がった(首が正しい位置にない)アドレスからスイングすると、首の回転可動域が極端に狭まります。その結果、バックスイングで肩が回らなくなり手先だけでクラブを上げる、いわゆる手打ちになります。また、ダウンスイングで頭を残そうとしても首の可動域がないため、体が目標方向に突っ込んだり、力が入ってスイングがアウトサイドインのカット軌道になり、テンプラやスライスといったミスショットが出ます。

首が前に出たアドレスだと肩の可動域が狭まって手打ちになり、インパクトで目標方向に体が突っ込む。

ここでスイング中の「首の向き」に注目してみましょう。バックスイングからダウンスイングにかけて、首は固定するのではなく、適切な方向へ柔軟に動かす必要があります。体が右に回転する時、プレーヤーは首をあらかじめ右へ向けておくくらいの感覚をもつことが推奨されます。感覚的には極端に右を向く感じになるかもしれませんが、体が回転していますからスイングにおいてはちょうどいいポジションに収まります。

バックスイングでは首を右に向ける感覚。首が前に出て固定されると肩が回らない。

大事なのはこのあとで、切り返しでも意識的に首を右へ向けます。すでに右を向いているため、実際にはほとんど動かないかもしれませんが、この意識があるのとないのでは大違い。意識がないとダウンスイングで体が前に突っ込みます。意識があると切り返しで頭と首の位置が正しくなり頭を残すことができ、ヘッドが自然と低い位置から下りるシャローなスイング軌道になります。ドライバーではクラブがインサイドから入りやすくなり、アッパーブローでつかまったボールが打ちやすくなるのです。

切り返しで首を右に向けるのがポイント。これができると頭が残り、スイング軌道もよくなる。

こう話すと難しい動きのように聞こえるかもしれませんが、そんなことは全くありません。というのも、冒頭でお伝えした首が前に出たアドレスを見直し、頭と首が胸椎の真上に乗っている姿勢を作って維持するだけでいいからです。アドレスの仕方は以下の通りです。

体を起こして真っ直ぐに立ち、頭が首の真上に乗った状態を作ります。
股関節から前傾してアドレスをとります。頭を下げてボールを覗き込まず少し下目遣いでボールを視界に収めます。背骨に沿ってクラブを当て、後頭部がクラブに触ればOKです。

頭の角度をわずかにえる、あるいは上体の前傾を少し深くするだけでも、首の動かしやすさは劇的に変わるのでアジャストしてください。体の真上に頭があり、首が前に出ないだけで突っ込みや無理な力みがなくなります。そもそもはこれが人間にとって無理のない自然な体勢なので、結果的に腰痛など体への負担が軽減され、再現性の高いスムーズなスイングができます。

アドレス時に頭を正しい位置に乗せ、下目遣いで構えること。そしてスイング中に首の可動域を活かして切り返すのは一見わずかな違いですが、スイング全体に決定的な違いを生み出します。スマホ首などで固まりがちな人も、アドレスでは気を使って首周りのポジションを整えることで正しい肩回転が手に入ります。また、首を右に向けて切り返す動きをドリル的にやることで、ダウンスイングで体が前に突っ込まず軸が決まり、無理せず頭を残してインパクトできるようになります。


解説:中村 修
(なかむら おさむ)

1968年3月26日生まれ。千葉県出身。26歳でゴルフを始め、2005年にPGA入会。PGAティーチングプロB級会員。コーチとして桑木志帆の指導に携わっていた経験もあるが、執筆もこなす。ゴルフクラブに対する造詣も深い。