T島:今回はパターの話です。パターの賞味期限はどれくらい?
野倉:クラブの中では一番長い気がします。
T島:まあルールにさえ適合していれば、一生使えると思います。
野倉:ピンのアンサーって何年ぐらい前なのですか?
T島:1966年だったかなぁ…、俺より3つ下だから60年前かな? 翌年特許を取得しているけど、特許が切れているので各社からいろんな名前で出ています。「ニューポート」とか(笑)。マスターズトーナメントを作ったボビー・ジョーンズさんが使っていたパターが「カラミティ・ジェーン」と言うパターなんですけど、いわゆるL字パターですね。シャフトはヒッコリー。彼が年間グランドスラムを達成したのが1930年。94年前ですが使えると思います(笑)ロフト角は8度だったと言われています。最近、「カラミティ・ジェーン」みたいなパターを使っているオジサンを観ました。
野倉: 確かに一生物ですね。でも毎年新製品が出ます。あとゼロトルクパターとか、今流行っていますけど。
T島:ゼロトルクパター。手のひらにシャフトを乗せるとストローク方向にバランスするパターですね。20年前からありました。周期的に出てきますが、その周期の中でも今回が1番流行っているなぁ。オデッセイは2010年に「バックストライク」というパターを発売しています。この時はゼロトルクと言わず、ストロークバランスパターと呼んでいました。昔のからあるコンセプトなのじゃ……。
野倉: T島さんなんだか口調が仙人になっていますよ。
T島:ゴルフクラブというのは、螺旋的発展していくのです。“アレ?昔あったよな??”という感じです。例えば今、大人気のパターと言えばなんでしょ?
野倉:オデッセイ「TRTL」ですかね?
T島:はい。形状が亀ですが、性能的には“大慣性モーメント”が売りでしょ?2007年「Rossa Monza Spider(ロッサ モンザ スパイダー)AGSA+」と言うパターが発売されました。こちらも大慣性モーメントで大ヒットしましたね。形状こそ違えどコンセプトはあまり変わっていません。
野倉:これ「SPIDER」じゃないですか? メチャクチャデカいですね(笑)
T島 :そうそう初代「SPIDER」ですよ。当時はテーラーメイドの「Rossa Monza」というシリーズの1つだったのです。それが大ヒットして、現在に至るわけです。
野倉:確かに慣性モーメントが大きそうですし、重心深度も深そうでミスヒットに強そう。
T島:実は2000年代初頭に、ボビー・グレースというメーカーから、MO1パターという大慣性モーメントパターが発売されています。コンセプトは同じです。
野倉 :確かにミスヒットに強い印象があります。SPIDERは初代から比べると最近のモデルはかなり小さくなりましたね。
T島:カップの大きさとほぼ同じです。その当たりが最適解と気がついたのでしょう。確かに慣性モーメントが大きい、重心深度が深いとミスヒットに強い。直進性が高い。メリットがあります。デメリットはヘッドが動かしにくいという点でしょう。ゼロトルクにすると、重心位置にシャフトが入るので、デメリットは解消されますが。構えにくいというネガティブ要素も出ます。
野倉:なるほど、重心深度が深いパターって打感がボヤける気がします。ピン型を使うとその差がかなりハッキリしますね。
T島:あとフェースのどこで打っているかわからなくなる。ミスがミスになりにくいメリットがあるけど、パッティングストロークが悪くなっても自覚しにくい。
野倉:素朴な質問なんですが、パターにロフトって必要なのですか? そのまま順回転させたほうが良い気がします。
T島:グリーンって、ボールは浮いていないのです。よく見ると芝に沈んでいるのです。だからキャリーさせるためにロフトが必要です。少しキャリーさせてから順回転となっていくのです。聞いた話ですがタイガー・ウッズのパターのロフト角って6度あるそうです。ちなみにルールでロフト角は規制されていて10度以下となっております。まあロフト角というのがソール基準なのか? シャフト軸基準なのかというという話になるのですが…。
野倉:トーナメントグリーンだと“速い=芝が短い”ということになり、ロフトは少なくても良いということになりますね。
T島:フライハイトさんの新しいパター「THE-G DEEP GROOVE MILLED PUTTER」は、ロフト角6度でキャリーさせて転がす。と明確に謳っています。アマチュアが通常プレーするグリーン状態ならある程度ロフトがある方が良いと思います。ハイロフトのパターも周期的に発売されているのじゃ…。

野倉:また仙人出た。ゼロトルク、高慣性モーメント確かに魅力的ですが、圧倒的にそれだけにならないと言うことは……。
T島:そりゃ蜘蛛が亀になっただけだし、メリットがあれば必ずデメリットもある。圧倒的に有利になるとルールで規制されるだけです。パターの新製品って形状はもう定番で変わらずで、新しいインサートが凄いみたいな売り方をしているわけです。周期的に、今開発されました!みたいなカタカナ付けて、コンセプトは同じというパターが出てくるマーケティングスタイルなのですよ。入らなかったら買い替える口実を作ってあげているのです。
野倉:パターに関してT島さんは仙人だなぁ。要はデメリットをあまり感じないなら買いってことでいいですか?
T島:良いです(笑)メリットしか無いパターは存在しない。難しいと言われるL字パターでも、ダイレクトな打感が好きなら、デメリットは練習で補えば良い。ゼロトルク構えにくかったら慣れれば良いのです。上達したかったら、ピン型買って練習しろって言います。ミスヒットがわかるパターって大事です。スコッティ・キャメロンとかある意味貴重ですね。インサートは要らんけど。ベーシックなモデルをオススメしたい。
野倉:と言いつつゼロトルクを使うT島さん。
T島:それバラしちゃダメ。練習はピン型使っています。

T島氏のプロフィール
ゴルフ関連のライター、動画撮影編集、ブロガー、フォトグラファー、YouTuber的な(笑)、いろいろやってます。ゴルフ、クルマ、カメラ、音楽、映画、ガジェット、が好きです。以前は、店舗の運営、出店、立て直しを25年やってましたが、何故かこんな仕事をしています。
取材協力/大蔵ゴルフスタジオ世田谷
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