「ネジり」から「ヨコの動き」へ。体にやさしいスイング

ヨコに動いても右足の位置はキープ

20代でPGAツアーにデビューしたアダム・スコットは「ホワイト・タイガー」とも呼ばれており、タイガー・ウッズのような最先端のアスリートスイングでした。特徴は体のネジり、捻転で飛ばすスイング。2011年のスイングを見ると、アドレスからトップまで頭の位置がほとんど動いていません。1軸をキープしたまま上半身を90度以上回転している。正面から見たときに、トップで右肩が見えるくらい回っていました。

40代になってからは少しずつスイングが変わってきました。バックスイングからトップにかけて上半身を右方向に動かしながら体を回している。ヨコの移動で反動をつけることで、体を回しやすくしている。2011年のスイングは体の柔軟性がないとできないスイングです。40代を超えるとどんな選手でも柔軟性は衰えます。それをカバーするためにヨコの動きを入れて、体への負担を抑えたスイングになっています。

ヨコの動きを入れるときに気をつけないといけないのは右足の角度です。アダム・スコットは上半身、頭は少し右に動いていますが、右足の角度はアドレスから変わっていません。ここがポイント。右足まで動いてしまうとスエーになってしまう。右足を踏ん張ったまま、スタンスの幅内で少し右に動くことが大切です。

「無事これ名馬なり」という言葉がありますが、アダム・スコットは年齢に合ったスイングに変わっていったことで長く活躍できています。

20代・30代前半は体の「捻転」で飛ばしていた

【2011年のスイング】20代の頃は、タイガー・ウッズのコーチとして知られるブッチ・ハーモンに師事し、スイングも似ていた。

バックスイングで上半身の軸を右へ

【2025年】バックスイングでは頭を右腰の上まで動かし、ダウンスイングでは少し左に戻しながら、スイングスピードを上げている。

46歳で平均313ヤード!両ヒジの距離と前傾を20年間キープ

アダム・スコットのスイングで昔から変わっていないのが、両ヒジの距離がキープされていることです。アドレスしたときの両ヒジの距離がバックスイング、トップ、そしてインパクトまで変わっていない。それが再現性が高いスイングにつながっています。

もう一つは、インパクトのときの前傾角度です。アダム・スコットは若いときも今も、少し背中を丸めています。背中が丸く見えるのは、前傾が起き上がっていないからです。右ワキを締めていれば絶対に伸び上がったスイングにはなりません。

手首のローテーションも10年前、20年前から変わっていません。アダム・スコットは手首のローテーションが少ないタイプのスイングで、インパクトの瞬間まで右手首の角度がキープできています。強引に手首を返す動きをしないこともケガが少ない要因のひとつです。

アダム・スコットはゴルフスイングの教科書になるくらいオーソドックスで、アマチュアゴルファーの参考になるスイングです。

スイング中にヒジの距離を変えないから軌道が安定する

両ヒジの距離をキープしたままバックスイングすると、トップでは左腕を伸ばしたまま、右ヒジが約90度に曲がる。

インパクトで少し背中を丸めて、伸び上がらずに打つ

インパクトのときは右ワキ、右手の角度、背中の角度、右足の蹴り方まで約15年前とほぼ変わっていない。
現在と比べるとトップが高く、フォローでは少し沈み込むスイングで打っていた。
2011年と比較すると上下方向の動きが小さくなり、よりコンパクトなスイングになっている。


アダム・スコット

1980年7月16日生まれ。PGAツアー14勝、欧州ツアー9勝、2013年にはオートリラリア人プレーヤーとして初のマスターズチャンピオンになった。今年6月の「全米オープン」で100試合連続メジャー出場の快挙を達成した。

解説:石井 忍
1974年8月27日生まれ。98年にプロ転向し、現在はツアープロからジュニアゴルファーまで幅広く指導。自身が主宰する「エースゴルフクラブ」を千葉、神保町に展開する。