UT単体ではなく、クラブセット全体の流れで考える

アマチュアゴルファーの方がユーティリティ(以下UT)を使う場合、シャフトは基本的にカーボンにすることをおすすめしています。特にドライバーのヘッドスピード40m/sの人がロフト30度のUTを使うなら絶対にカーボンがいいと思います。理由は以下の通りです。

30度のロフトをアイアンに置き換えると、番手はおおむね7番以下になります。となると、30度のUTを入れたいと思う人はアイアン自体がうまく打てない可能性が高い。そんな人がわざわざスチールを入れる必要はないのでは、という考え方になるからです。ですからスチールに特別なこだわりがない限り、カーボンの方がいいと思うのです。

30度のUTの一番のメリットは球が上がりやすいことですが、その視点で見るとヘッドスピード40m/sは一つの境目になります。このヘッドスピードの人はパワーヒッターというわけではありません。自分の力だけではボールを上げきれないので、多かれ少なかれクラブに頼ることになります。ロフトが30度あれば普通はそこそこ上がりますが、40m/sだとちょっと心細い面もある。そこでシャフトをカーボンにして保険をかけるわけです。スチールよりカーボンの方が圧倒的に仕事をしてくれるシャフトですからね。

また、30度のUTはグリーンに向かって打つクラブになります。タテの距離も安定させたければ、ある程度スピンもかけたい。そんな場合、軽量スチールを入れるのもありですが、そもそも30度のUTを入れる人は、27度や24度など、すでに1~2本ほかのUTを入れているはずです。いくらロフトが30度あるとはいえ、そこにスチールシャフトのUTが1本入ってくるとクラブセットの流れにギャップが生じます。同じUTの中でも、それだけ違う感覚になって気持ちが悪く、打ち方を変えなければいけないと考えるようになります。14本の中にあって宙ぶらりんの存在になってしまうのです。

それならUTをスチールシャフトの1本体制にして宙ぶらりんの状態で使った方がまだまし。実際、昔はそんなセッティングのプロがいましたし、私もスチールを入れていたことがあります。でも、いまではほぼ目にすることはありません。カーボンの方が、打ちやすさ、セッティングの流れ的にもしっくりくるからです。

重量フローが合わないとUTは“宙ぶらりん”になる

さて、そうなるとどんなカーボンシャフトがいいのか? という話になりますが、重量フローを考えて選ぶことが先決です。クラブの総重量は、番手が下がりシャフトが短くなるほど重くなります。アマチュアの方の場合、総重量まではこだわりきれないかもしれませんが、シャフト重量だけはこだわってほしいところです。

まず、アイアンのシャフト重量より重いシャフトをUTに入れるのはダメ。一つの目安として、アイアンのシャフトがスチールなら、そこから20~40グラム軽いものを入れます。アイアンが100グラム台なら80~60グラム台ということです。ウッドから上げていく考え方もありです。ドライバーのシャフトが60グラム台なら、そこを起点にフェアウェイウッド、UT、アイアンの順に増量していきます。重量フローについてはチグハグな人が結構多いので、この機会にチェックしてみるといいでしょう。

キックポイントにも注意が必要で、UTのシャフトのキックポイントが、アイアンシャフトのキックポイントよりも元寄りになることは避けましょう。アイアンが中調子ならUTの中調子はOKですが、元調子は怖いです。番手が長くなるにつれ徐々に動く方向にしたいので、先調子に寄っている方がいいというわけです。アイアンが元調子ならUTはどの調子でも大丈夫です。

吉本巧
よしもと・たくみ ゴルフ修行のため14歳から単身渡米。南フロリダ大在学中は全米を転戦するなど11年間にわたって選手とコーチを経験したのち、日米の20年の経験から吉本理論を構築。プロやアマチュアのスイングコーチをはじめ、フィジカルトレーナー、プロツアーキャディー、メンタルコーチング、クラブフィッティングアドバイザーなども務める。現在は東京・中央区日本橋浜町の「吉本巧ゴルフアカデミー」で指導中。「吉本巧のYouTubeゴルフ大学」も人気。