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渋野日向子の賞金女王戴冠の条件は単独2位以上! 三つ巴の戦いは最終章へ

3日目終了時点で、渋野日向子は首位と2打差・単独3位、申ジエは7打差・17位T、鈴木愛は6打差・7位T

2019/11/30 ゴルフサプリ編集部

いよいよ明日最終日を迎える女子ツアー最終戦「LPGAツアーチャンピオンシップ リコーカップ」。注目の賞金女王争いは、ゴルフファンの期待に応えるかのような熾烈なデットヒートが繰り広げられている。そこで、鈴木愛、申ジエ、渋野日向子の3名が、それぞれどんな条件であれば賞金女王に輝くことができるのか、改めて確認しておこう。

鈴木愛、申ジエの実力は本物。どうなる最終日!?

改めて、賞金女王を狙える位置にいる3選手の現在の賞金額を確認してみよう。1位の鈴木愛は1億5302万5665円。2位の申ジエは1億3803万7195円、3位の渋野日向子は1億3791万4314円となっている。そして、3位の渋野と1位の鈴木の賞金額の差は1511万1351円だ。そして、現在開幕中の「LPGAツアーチャンピオンシップ リコーカップ」は、逆転を狙う申ジエと渋野日向子にとっては、一発逆転の可能性が残される、優勝賞金3000万円となっている。しかし、たとえ申ジエもしくは渋野日向子が優勝をしても、鈴木愛の順位によっては賞金女王になれない可能性もある。ややこしく感じるかもしれないが、3人それぞれの賞金女王への条件を簡潔にまとめた。

まずは、現在賞金ランキングトップの鈴木愛。もちろん優勝すれば文句無しの賞金女王が確定する。さらには、単独2位に入賞(賞金1740万円)すると、たとえ申ジエが優勝したとしても賞金総額の差で、鈴木愛の2年連続賞金女王が確定する。鈴木愛が賞金女王になるためには「自力で単独2位以上」もしくはこれから紹介する「申ジエ、渋野日向子」の順位が大きな条件となってくる。2日目終了時点で「もう、2人以外の選手に勝ってもらうしかないですね」と自虐気味に話していた鈴木だが、3日目終了時点でのトータル1アンダー12位タイから少しでも順位を上げて、賞金を稼ぐことが2年連続賞金女王へと繋がる。

賞金ランキング現在2位の申ジエの逆転賞金女王までの可能性は2つのルートがある。1つはもちろん申ジエ自身が優勝する道。しかし、たとえ優勝しても鈴木愛が3位以下でなければ賞金女王にはなれない。もう1つの道は申ジエが単独の2位に入った場合だ。この場合は鈴木の順位が10位タイ以下、さらに渋野の順位が3位以下でなければならない。しかし、今年の申ジエの最終戦のここまでの内容には、いつもの強さ・コワさが感じられない。昨年は優勝、一昨年は7位タイなど、過去の申ジエはここ、「宮崎カントリークラブ」との相性がとても良い。申ジエは、米ツアー賞金女王、韓国ツアー賞金女王を経て日本ツアーに参戦している、いわば現時点で活躍しているトーナメントプレーヤーの中で最高成績を収めているプロだ。その申ジエの怖いところは、「気づかない間に」いきなりトップに躍り出る可能性があるということ。私たちが上位争いに夢中になっている間に、ふとリーダーズボードを見ると申ジエの名前がいわば「キテル」状態になっていることが過去に何回あっただろうか。そう考えると、今日までのトータルスコアがイーブンの17位タイという順位でも、やはり注目せずにはいられない選手だと言えるだろう。

そして、渋野日向子の逆転賞金女王への条件を説明しよう。渋野の賞金女王への道は2つのルートがある。1つは、もちろん渋野が優勝した場合だ。この場合賞金額の差によって鈴木が3位タイ以下、申ジエが2位以下でなければならない。もう1つは申ジエ同様に渋野が2位に入ること。この場合、鈴木が10位以下、申ジエが3位以下という条件付きだ。3日目終了時点でトータル5アンダー単独3位で、トップのイ・ボミとは2打差と絶好の位置につけている渋野。先週の「大王製紙エリエールレディース」で、賞金女王に望みをつなげる優勝をもぎ取って周囲を驚かせたように、ギリギリから這い上がってくるようなガッツを見せてくれることは間違いないと思いたい。

過去の賞金女王争いも誰が勝つのか。ワクワクした気持ちで見てきたが、今年の女王争いは今までとは違う「何か」がある。その「何か」とは何なのだろうと自分自身に問いかけてみると、1つの考えが浮かんだ。渋野は「新人」、鈴木は「中堅」、申ジエは「ベテラン」と、世代がきれいに分かれているのだ。そして、それぞれが現在の女子ゴルフ界を大いに盛り上げてくれる存在であり、各世代における最強の選手と言えるからだ。女子ゴルフ界は全体的に若年化の傾向にあり、今年のシード確定選手の平均年齢は26.3歳と過去最若。「世代交代」と呼ばれる中で不動の地位を築いている鈴木愛、申ジエに、昨年プロテストに合格したばかりのルーキー渋野が挑む。しかも、渋野が挑むのは賞金女王の座がかかった優勝。こんなにも心踊る、エキサイティングなシナリオには、なかなかお目にかかれないのではないだろうか。“真の最終決戦”は、いよいよ明日最終日を迎える。

取材・文:岩崎愛里
写真:相田克己