新型コロナウイルスで延期が決定!東京五輪ゴルフはどうなる!?
1900年のパリ、1904年のセントルイス大会で開催ののち競技から外れ、前回のリオ大会で112年ぶりに復活した五輪のゴルフ。新型コロナウイルスのパンデミックで延期が決定。金メダルを目指してきた選手達とその現状をお伝えする。
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4年前のリオの大会での女子のメダリストたち。(左から)ニュージーランドのリディア・コは銀メダリスト。金メダルを獲得したのは韓国のパク・インビ。銅メダルは中国のフォン・シャンシャン。
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トップ選手の欠場が多かった男子だったが、金メダリストはイングランドのジャスティン・ローズ‘(中央)。銀メダリストはスエーデンのヘンリク・ステンソン(写真左)。銅メダリストは米国のマット・クーチャー。
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オリンピックでプレーすることで多くの感動を覚えたと語ったリッキー・ファウラーだが、今のところ出場権はない。しかし1年後の開催ということでチャンスが生まれたといえる。
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多くのボランティアが必要なオリンピックだが、来年にもう一度募集することになる。
オリンピックランキングに基づき60人の選手が出場
本来なら代表選考の締め切り前までに世界各地でトーナメントが開催され、その結果に伴って出場選手が決定するのだが、すでにご承知の通り、新型コロナウイルス禍によって2月から各地でトーナメントが中止や延期に追い込まれた。そのため、男子は3月15日付、女子は同16日付で世界ランキング中止の措置がとられ、これに連動してオリンピックランキングも停止した。
現時点では日程も、はたまた開催するはずのコースである霞ヶ関カンツリー倶楽部での開催があるのかないのかも確認できない状況だ。しかしすでに決定されていて、変わらないものもいくつかある。その一つが出場する選手の数。男女ともの60名で、オリンピックランキングに基づいて代表資格が与えられる。
男女ともにオリンピックランキングでトップ15に入れば、1カ国4名までが出場可能。それ以下は2名、該当者がいない国は1名を代表選手として送り出せる。その締め切りが男子は6月22日、女子は6月29日までだったが、これもこれからの議題になってくる。しかし他のスポーツのように対戦して、人数やチームが決まるわけでは無いので、そのあたりの混乱はなさそうだ。
日本の男子は松山、今平、女子は畑岡、渋野、鈴木が代表になるはずだったが……
男子はアメリカ勢、女子は韓国勢がメダル争いの中心
仮に現段階のオリンピックランキングで代表が決まるとして、その顔ぶれを見てみよう。
男子のトップ15は、やはりアメリカ勢が最多で4名。世界ランキングのトップ15には、W・シンプソン、T・ウッズ、X・シャウフェレ、B・デシャンボーらも名を連ねるが現段階では落選となる。ちなみに5位のD・ジョンソンは過密日程を理由に欠場を表明したためオリンピックランキングに名前がない。
前回大会では世界ランク11位(オリンピックランク5位)だったジャスティン・ローズが金メダル、ヘンリク・ステンソン、マット・クーチャーが続いたが、この時も代表選考ではアメリカ勢が圧倒していた。状況的には今も同じだが、上位の選手はいずれも世界のトップ選手。これに加え、地の利がありコンディションを整えやすい日本代表は松山英樹、今平周吾の2名、ただ1年後となると多少顔ぶれは変わってくるはず。特にタイ、韓国などのアジア勢は注目だ。
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今平周吾|2019年の日本ツアーの賞金王で、ランキングも20位と文句ない成績だが、来年開催となると新たな選手がアップしてくることも大いに考えられる。
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ダスティン・ジョンソン|早々とオリンピック欠場を表明。ハードな日程と、プライオリティがPGAツアーの方が上との判断だ。これは来年になっても変わらないだろう。
女子の筆頭は韓国勢で4人枠の全員が10位以内。8位までに4人がランクインした前回同様に強いが、その一角に畑岡奈紗、渋野日向子、鈴木愛の3選手の名前があるのは心強い。同じ3名がランクインしているアメリカ勢も強者揃い。
3カ国三つ巴の戦いは来年開催でも変わらないだろう。
他の競技ほどに出場権などについての問題は少ないとはいえ、今シーズンも実は、渋野日向子などは4月開催予定だったANAインスピレーションや全米女子オープンなどポイントの高いメジャーの試合で出場権を万全のものにする予定だった。それがこの1年でどのように変化していくか。まだまったく見通しも、予想もつかないというのが現実だ。ちなみに前回大会の金銀銅はパク・インビ、リディア・コ、フォン・シャンシャンだった。
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畑岡奈紗|黄金世代で早々と米国に渡りLPGAツアーで活躍する畑岡は、十代の頃からオリンピック出場をひとつの目標にしているひとり。
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鈴木 愛|現時点でのオリンピックランキングは12位で。新たな選手の活躍があると15位から落ちて出場権を逃す危険性も。
◎リオ大会のジカ熱
前回のリオ大会では蚊を媒介とする感染症ジカ熱が流行。各国五輪委員会は選手に参加の見送りを認め、実際にそうした選手も多くいた。結局大会は開催され、幸運にも選手や外国人観光局に感染者は出なかったが、その後、感染しやすい都市部のスラムなど地元住民に対して十分な対策がとられていなかったことが明らかになった。
◎会場は?
1929年開設の霞ヶ関カンツリー倶楽部・東コース(男子7465ヤード/パー71、女子6669ヤード/パー71)。埼玉県初のコースで、57年には現在のワールドカップにあたる第5回カナダカップが国内初の国際大会として開催された。
◎競技方法は?
男女とも4日間72ホールストロークプレー。上位3位までにタイが出た場合はメダル獲得者を決めるプレーオフを実施。
GOLF TODAY本誌 No.575 73〜75ページより