明らかに次のフェーズに入った新時代の「AIフェース・ドライバー」

「パラダイムの名が残っているせいもあって後継モデル的なイメージが強く、実際360度のカーボンやフォージドカーボンなどの作りは一緒なんですが、打ってみると明らかに次のフェーズに入った新しいドライバーに生まれ変わっていました。ジェイルブレイクがなくなったことやフェースの作り方が変わった効果でしょう。

どんな効果かというと、フェースの全面、かなり広いエリアで打点がズレてもボール初速が変わりません。また、インパクトした時のフェースの向きに対するギア効果の出方がこれまでと違っていて”何で曲がらないんだろう?”という感覚になります。曲がっても仕方ないはずのボールが曲がらないんですから、プレーヤーにしてみれば嬉しい誤算といったところですね。

そもそも丸いボールを打っているので、打点が明らかにズレたら曲がるんですが、普通に振り抜けていれば打点がズレても必ずコース内に収まってくれるほど球が散りません。前作のパラダイムも AIフェースで上下左右のブレ幅が減ったのが売りでしたが、それが一段に止まらず、二段も三段も散らなくなっている感じです」

AIフェースの登場以来寄り添ってきたジェイルブレイクは、そもそも人間が付けたもの。今作についても試作段階では取り入れられたが、最終的にAIが不要と判断して削除された。その結果、ヒールやトゥ側に当たっても“たわみ”が大きいトランポリンのようなフェースになり、飛距離アップはもちろん弾道補正までできるようになったという。

前作より若干つかまるMAX、カットに振っても飛ぶMAX D

  • 「パラダイム Ai スモーク MAX」

  • 「パラダイム Ai スモーク MAX D」

「AIスマートフェースができたことで、個別のヘッドも、その特性をさらに生かせる形に作り上げられています。今回はAIに人間のスイングデータをたくさん入れ、それに対して打点ブレを抑える設計になっているため、シリーズのスタンダードモデルであるMAXがベースのヘッドになるのは間違いありません。あえて前作と比較すると、若干ボールのつかまりがよくなり、球が右に滑る感じも少ない。でも左に飛ぶこともないので、効率よく飛んでくれる感じがします。

MAX Dに関しては、入射角が上からダウンブローやカット気味に入った時でも、すごくいいショットになってびっくりしました。今のドライバーは、そうなった時には全く飛ばないのですが、初速が落ちず、飛距離ロスもありません。アイアンが上手な人で、ちょっと上めからヘッドを入れたり、レベルに入る人には今のドライバーは飛ばしにくい傾向がありますが、そんなウィークポイントがまったくなくなり、ストレートから軽いフェードですごくいい球が打てます」

上級者限定でないトリプルダイヤ、MAX FASTは初速が一番

  • 「パラダイム Ai スモーク ♢♢♢(トリプルダイヤ)」

  • 「パラダイム Ai スモーク MAX FAST」

「♢♢♢(トリプルダイヤ)で驚いたのは、従来モデルの良さである操作性や打球の強さだけが際立ったヘッドになっているところ。純正で60グラム台のシャフトが装着され、ヘッドスピードの速い人が使える設定になってはいますが、ヘッドスピードの遅い人が軽いシャフトを入れて強い球を打ちたいとか、コントロールしたい人にも使いやすいヘッドに仕上がっています。上級者限定ではなく、クラブの入り方と、どんな弾道を打ちたいかによって選べるモデルに変わったというわけです。

MAX FASTもすごく振りやすい。純正に40グラム台のシャフトが入り、ヘッドも接着ですごく動かしやすいので、少ない力で効率よくヘッドスピードが上がります。打点ブレしても球が曲がらないので、さらに効率のいい弾道になる。4つのモデルの中で一番速いボールスピードが出たのは予想外でした。その名の通りですね。このように、個別のヘッドタイプが非常に明確になって、しかも振りやすい。驚くほどよくできていますね」

Aiスモークドライバーは、開発途上でAIが125万人、100万ポイントにものぼる膨大なゴルファーのスイングデータを解析している。これを全て織り込み、バーチャル上で試作を重ねること5万回。その結果、製品化された。前作まではロボットテストの結果を反映させてきたが、今作はヒューマンデータがメインとなり、それぞれのモデルにフィードバックされている。

試すならMAXから。ヘッドが決まればシャフトは自由に選べる

「試す場合は、まずMAXを打ってみて、どんなミスが出て、どんな弾道になるのかを見るところから入るといいでしょう。MAXを打って、もっとつかまった方がよければMAX D。ちょっとスピンが多いとか、吹き上がるならトリプルダイヤ。軽いシャフトのアイアンを使っていて、効率よく飛ばしたいならMAX FASTという具合。基本的には弾道で選べばいいと思います。

ドライバーで200ヤード以上飛ばしたいとか、平均飛距離が200~220ヤードくらい、ヘッドスピード的には40m/sくらいまでの人には、意外とMAX FASTが面白いかもしれません。明らかに使える人の範囲が広がっていますから。いずれにしてもヘッド個性がハッキリしているので選びやすいです。

リシャフトを考える人もいるかと思いますが、これだけ曲がらず、なおかつ初速の出方がいいと、もう自分のクラブパスと弾道だけ気にすれば、どんなシャフトを入れてもいい。例えばトリプルダイヤは純正シャフトが前提だと、アイアンで100グラム以上のシャフトを使っている人向きになりますが、軽いシャフトを入れればシニア層でも使えます。逆にMAX Dは上から入れても曲がらないから重いシャフトを入れられます。それもこれも、曲がらないヘッドだからできること。ヘッドスピードが前提ではなく使えるというわけです」

キャロウェイのやりたいこと、イメージしていたことが形になった

「とにかくすごい。驚きました。テクノロジーについて、また、その効果については、ある程度メーカーさんから聞いており、正直なところ「実現したらすごいな」と半信半疑でしたが、実際に打ったら「ああ、こういうことか」と納得させられました。

テクノロジーはすごく魅力的ですが、反面、”計算上こうなるはず”ということが、いざ人間が打つと機能しないクラブも多い。調整機能もそうで、ドローバイアスにしたら全員がドローになるかといったらそうではなく、反応してスライスする人もいます。

要は人間の感覚とコンピュータの間には壁があったわけですが、このクラブはそれが全くない感じ。慣性モーメントも関係ないから振りやすいし、打感も良くなっている。自分の振っている感覚の初速よりも上がっているのは効率よく飛んでいる証拠。スピードがインパクトでロスなくボールに伝わっているということなので、これはフェースのテクノロジーによる以外の何ものでもありません。

最後になりましたが、見た目と構えた感じは、前作よりもスッキリしています。パラダイムで360度のフォージドカーボンにしてからも、プレーヤーが違和感のない形にしたいというコンセプトでしたが、それがより強調されていると思います。AIを使ってキャロウェイのやりたいと思っていたことが、ここにきて1つの形になったというところでしょう」

”曲がらない=大慣性モーメント”だったこれまでの常識を打ち破るかのように、今作は慣性モーメントにはノータッチ。前作パラダイム譲りの振りやすさを受け継ぎつつ、独自の路線を歩み出したAiスモークドライバー。モデル名に冠された”スモーク”とは、ドラッグレースのスタート時やアメコミのキャラが走る時に巻き上がる煙のこと。ボール初速やヘッドスピードの速さを表している。

鹿又芳典
かのまた・よしのり 1968年生まれ。年間試打数2000本超え。全てのクラブに精通するクラフトマン。豊かな知識と評価の的確さで引っ張りだこ。ゴルフショップマジック代表。