「L.A.B.GOLF(ラブ・ゴルフ)」勝手にハンドファーストの構えになる“変わり種パター”を試打したぞ!
野村タケオのゴルフ実験室
みなさんこんにちは。ゴルフバカイラストレーターの野村タケオです。少し前からツアープロの使用率が上がってきている話題のパターがあるんですよ。それも、なんともヘンテコな形をしているのですが、プロが使うんだから「入る」ってことなんでしょう。それが「L.A.B.GOLF(ラブ・ゴルフ)」というメーカーのパター。僕も最近少しパットに悩んでいるので、コースに持ち込んで使ってみました!
〈取材・文・写真提供 野村タケオ〉
ヘンテコな形にはすごい理由があるんです!
「L.A.B.GOLF」には何種類かのパターヘッドがあるのですが、僕が使ったのは「DF3」というモデル。これがなんとも変わった形状のヘッドなのですが、もちろんこの形状には理由があるわけです。
「L.A.B.GOLF」のパターのコンセプトのひとつ、それが「トルクフリー」です。パッティングのストローク中には少なからずヘッドが開いたり、閉じたりというように、勝手に動きたがるんですね。その動きがパットに影響を与えるのですが、トルクを低減するパターというのはいくつかのメーカーから発売されてきました。しかしそれらのパターと「L.A.B.GOLF」が決定的に違うことは、トルクが少ないだけではなく、トルクが「ゼロ」ということなんです。
これがどういうことかというと、ストローク中にヘッドの向きが常にスクエアに保たれるということなんですね。パットにおける出球の方向性の83%はインパクト時のヘッドの向きが関係しているという研究結果があるそうです。ということは、「L.A.B.GOLF」のパターは何も考えずにストロークするだけで、構えた方向にボールが転がってくれるオートマチックなパターということなんですね。また、ミスヒットをした時にも、芯で打ったときと同じように転がるために、パッティングの時に考えることが本当に少なくなるということなんです。
シャフトが斜めになってる!?
そしてもうひとつの特徴が斜めに挿さっているシャフトです。なんとこのパター、グリップに対して少し斜めにシャフトが挿してあるんですよ。そのため、普段通りに構えてもシャフトが少し右に傾き、勝手にハンドファーストに構えているようになるんです。これはフォワードプレスという、テークバックの前に一度手元だけを目標方向に動かしてシャフトを傾けるという動きを、最初から作ってあるということなんです。シャフトが傾いていることで、ロフト角が減ると同時にアッパー軌道でインパクトが迎えられ、綺麗な回転でボールが転がるようになるということです。
実はかなり緻密に計算されたパターなんです
構えてみると、とにかくこの「DF3」は面白い形をしています。シャフトはフェース面よりもずいぶん後方に挿さっているし、ヘッドの後方は扇形のような形状。その真ん中に丁度ボールと同じような穴があ空いています。正直、こんな形状のパターで真っすぐ打ち出せるの? って思っちゃいます。
そして、さらにこのパターの特徴的な部分がソールのウェイトです。合計8個のウェイトがソールに配されているのですが、この場所、そしてウェイトの重さは緻密に計算されているとのこと。そしてシャフトの挿さる角度などとともに、1本ずつ熟練の職人がバランスを調整しながら組み上げているそうなんです。なので、パターが届いた時には「絶対にウェイトなどを自分で変更したりしないでください!」って強めの警告シールが貼られているんですよ。それだけ製品に絶対的な自信があるということなんでしょうね。
ヘッド素材は100% CNC 加工された航空機グレードの 6061 アルミニウムということです。素材にもかなりこだわりがありそう。
とにかくスムーズに振りやすい!
しかし、どれだけ計算され尽くしたパターでも、結局は入らなければ意味がないわけです。ってことで、コースに持ち込んで使ってみました。
構えた感じは、やはり最初は少し違和感がありましたが、ストロークをしてみるとイメージが完全に変わりました。これは振りやすい!とにかくなんのストレスもなくストロークできるんです。自分で意図的に変な操作をしない限り、フェースの向きが変わることもないし、ストロークも真っすぐに勝手に動いていきます。この感覚は今までほとんど味わったことがないですね。これが「トルクフリー」ということなんでしょう。
フェース面さえ合わせれば、あとは完全にオートマチック!
ボールを打ってみると、打音は少し乾いた感じのコツっといい音。少しだけ柔らかめの打感で気持ちがいいです。そして球離れや、出球のスピードが自分のイメージと合っていて距離感も合わせやすい。ボールの転がりもとてもいいです。フェース面の向きが一定のまま動いてくれるので、構えた方向にボールが打ち出されます。なので当然方向性もいいです。
ロングパットの時はとにかく距離感だけをイメージして、しっかり振り幅を決めてストロークすればいいだけでした。ヘッドが真っすぐに動くので、本当に自分では振り幅だけを気にしてストロークするだけで、方向性も合ってきます。
ミドルパットとショートパットも同じ。とにかく目標方向にしっかりとアドレスの時点でフェース面を合わせ、あとは何も考えずストロークしてやれば真っすぐに転がってくれます。手先で操作しようとしたりしなければ、方向性が狂うことはほぼありませんね。打点が多少前後にずれても、あまり打感も変わらないし、もちろん方向性や転がりも変わりません。そして、ヘンテコな形状だと思っていたヘッドもすぐに慣れてくるし、実は打ち出し方向も合わせやすい。やはりよく考えられた形状なのかな~と思いました。シャフトが斜めになっていることも、全く気になりません。
イップス気味の人にもかなりおすすめ!
僕は最近少しイップス気味で、少し曲がるショートパットの時に手がビクッと勝手に動いてしまって外してしまうことがあるんです。これに少し悩んでいたのですが、このパターだとその動きがほとんど出ないんです。おそらくヘッドの動きに対して手が反応していたのが、このパターの場合はその動きを感じないので、そのままスムーズに振れるんじゃないかと思います。これはイップス気味の人にもおすすめですね~。実際にパターに悩んでいたツアープロが「L.A.B.GOLF」のパターで復活したという話もありますし。
これはぜひ一度打ってみて欲しいパターです!
すでにこのパターを数ラウンド使っているのですが、かなり気に入ってますし、パット数も少なくなっています。何よりショートパットの入る確率が上がっているというのが嬉しいです。
パットの時は本当にアドレスでのフェースの向きだけをしっかり合わせ、あとは自然にストロークするだけなので、とてもシンプルに打てます。アドレス後はテークバックスッと引くだけで、あとは何もしなくても転がりが良く、方向性のいい球が打てるというのが本当にありがたいですね。これはパットに悩んでいる人にはとても頼もしい武器になりそう。
ただ、少し値段がお高いので手が出にくいのですが、それだけの性能は十分にあると思いました。今はかなり人気で納期も少し長めになっているとか。なかなか打つ機会のないパターかと思いますが、もし機会があればぜひ一度「トルクフリー」の振り心地を試してみてください。
ゴルフバカイラストレーター、野村タケオ。
京都府出身。様々なゴルフ雑誌やウェブサイト等にイラストやイラストコラムを寄稿。
毎週水曜の22時からYouTubeライブで生放送「野村タケオゴルフバカTV!」を放送中。