パター用シャフトにも流行りがあるんだって! “しっかり系”と“しなり系” 2025年のトレンドは?
鹿又芳典の“推しクラブ” こぼれ話 第45回
ドライバーやアイアンだけじゃなくて、パターのシャフトも多様化が進んでいる。パターというとヘッドのカタチばかりに目が行きがちだが、ヘッドのトレンドに伴ってシャフトの好みも変わってくるという。カリスマフィッターの鹿又さんは、パターのシャフトについて述べた。
3~5年のサイクルでトレンドが入れ替わっている
クラブが好きな人の中には、パターをリシャフトする人もいます。もっとコアな人は気がついているかもしれませんが、メーカーの純正で入っているパターのシャフトにもトレンドがあるんです。
そのトレンドはシンプルで「硬いシャフト」と「ちょっとしなるシャフト」が、3~5年の周期で入れ替わっていること。この2つが“行ったり来たり”をしています。
例を挙げると「スパイダー」(テーラーメイド)の初期は、スチールでも軟らかめのシャフトでした。それが新しいモデルになるにつれてだんだん硬くなっていき、今は硬いシャフトが入ってます。
ツアープロも“しなる”から“しっかり”へシフトした
今はパター用のカーボンシャフトだったり、ちょっとカタチが変わったパター用のシャフトも出るようになりました。「スタビリティー」のようにカタチが違うシャフトは、しなりとネジレを抑制する効果を狙っているモノが多いし、カーボンシャフトは硬いモノと軟らかいモノに分かれていたりします。その中で、ここ数年は硬いシャフトが流行っているということ。
それはツアーでも一緒です。選手たちが「ある程度しなったほうがボールの転がりがいい」と言って、少し“しなる”モノを使っていった後に「ちょっとタイミングがズレるからまったく動かないほうがいい」というふうに、フィーリングが変わってきました。それで今は硬いシャフトに落ち着いていますが、それが続くかどうかは分かりません。
ヘッドが重いマレット型をコントロールしやすい
バックボーンとしては、メジャートーナメントだったり日本や海外のツアーを見ても分かるように、ブレード型のパターを使っている選手と、慣性モーメントが大きいマレット系のパターを使っている選手の割合が6:4から7:3くらいで、今はマレット系が主流になっています。
そうすると、シャフトに負荷がかかる重量が重いマレット系のヘッドをコントロールするには、シャフトが硬くてグリップが少し太いほうが適しているし、そういうヘッドの特性を生かしやすいでしょう。というのが、今のトレンド=硬めのシャフトに落ち着いている理由だと思います。
中・長尺のパターって、基本的に太くて重たいシャフトが入っているもの。パットをある程度、機械的に打とうとすると、硬いシャフトのほうがやりやすいのでしょう。硬いのと軟らかいので「どっちがいいか?」ではなくて「どっちが合うか?」ということですね。
シャフトの好みは不変ではなく、移ろいやすい!?
とはいえ、前述したようにその感覚は永遠ではありません。
実際にボク自身は、基本的にはちょっとしなるシャフトが好きなんですが、ずっとそれを使ってると、たまに硬いシャフトにするとスゴく扱いやすく感じます。かといって、硬いモノばかり使ってると、ちょっとしなるシャフトを打ったときに「こっちのほうが“間”が取れて気持ちいいな」となったりするので。
個人的に、ボクはクラブの中でパターを一番多く持ってるんですが、最近に作ったパターは全部、硬いシャフトが入ってます。ボク自身も、今は硬いほうに行ってるということ。でも、今後どう変わるかは、ボクにも分かりません。
だってもう、次にゴルフへ行くときに「昔のパターを持っていこうかな?」って思ってるくらいですから(笑)。
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鹿又芳典
かのまた・よしのり 1968年生まれ。年間試打数2000本超え。全てのクラブに精通するクラフトマン。豊かな知識と評価の的確さで引っ張りだこ。ゴルフショップマジック代表。